適温のブログ

必要になった時のみ運用

ディプロマシー雑記

各国解説とは違う気がするので、別枠として。諸々記載。

 

①盤外戦術・外交手法

ルールに則っていても、盤外戦術はあり、そしてそれは利用できる場合もある。逆にグレーゾーンだということを知らずに使えば痛い目を見るかもしれないので、ここで外交手法とともに確認しておく。

 

・直前外交

外交時間締切のギリギリに外交する手法で、相手に意思確認する暇を与えず決定事項を通知する。外交フェイズの次は当然ながら行軍フェイズなので、その決定を揺るがせたり、あるいは裏切りを実行する側が言い訳のように使用するケースがある。

あまり頻繁に使ってくる相手は、忙しいのかもしれないが信用が落ちることをお互いに共有しておく必要があるかもしれない。あるいは、手を切る用意をしておくことも考えよう。

 

・長時間外交

1外交フェイズが30分以下等、リアルタイムの会話で外交を行う場合、相手と直接やりとりする時間が長ければ、相手は他国とは組みにくくなる。とはいえ、同盟したい相手とはしっかりと意思確認したいものだし、懇切丁寧に説明したくなるものでもある。短すぎればドライと捉えられ、長すぎれば迷惑なので、丁寧かつ簡潔に会話する技術はこのゲームでは有効となる。

 

・開幕外交

特に名称はないが、外交フェイズ開始1発目に誰と会話するかというのは第一印象に関わる。例えディプロマシーを何度もプレイした人であっても、ゲームの度に戦略も信頼性も変化するので、常に第一印象は気にする必要がある。

メール型のディプロマシーであれば、外交フェイズ開始前に何を伝えるかあらかじめ書いておくとスムーズ。リアルタイムであればどこかの国を選ぶ他ないが、それは次の項目を見つつ考える。

 

・外交順序

これは外交テクニックであって、グレーではなくホワイト。外交開始前に、どの順序で外交が必要なのかは考えておこう。少なくとも最序盤での優先度的には、対称国と近隣国が同率1位になる。露の場合はどちらかというと南軍、つまり墺土の方が優先度は上。伊仏はほぼ同率。独は土より伊の方が優先度は上。と言ったように各国で微妙な差はあるので、それは各国解説と併せて考えよう。ただ、リアルタイムである場合、開口一番が他国に取られて、待っている間に時間が過ぎるのは考えものなので、他に会話できる相手がいれば優先度が低くても会話しておこう。

行軍と戦略を考える上で、方針が多少変わっても外交できる内容(近隣国の取り扱い、国境および空白地点の確認、情報交換、盤面の確認、中長期での戦略確認など)と、方針が決まってからでしかできない内容(具体的な行軍のすり合わせなど)があるので、例え友好ではない国とでも会話しておくことが今後につながる。

 

・恫喝、暴言、泣き落とし等

非推奨ではあるが、個人的には不許可ではない外交手法で、場合によってはGM判断などでNGとなる。相手プレイヤーの精神にダイレクトアタックを仕掛ける。

貴方が真にディプロマシーのプレイヤーであるならば、貴方の判断で戦争が起き、国が傾き、人が(擬似的に)死に、自国や他国が滅ぶ。なので感情とは別で戦略と行軍は考えるべきである。とは言っても、プレイヤーはもちろん人であるし、相手を信用する心も感情と密接に繋がる部分である。であれば、少なくとも悪意をもって相手にそういう攻撃をわざと仕掛けるのはよろしくない。

ディプロマシーはゲームであるので、そこで不和を生むのはやるせない。ギスギスした一喜一憂を皆が楽しむには、はっきり言って精神攻撃は不要だ。

 

②行軍トリック

どこかで書いたかもしれないが、念の為。基本的なものを記載。

(1)

状況:Pic、Bur、Mar、Gasに仏陸軍、Mun、Ruh、Belに独陸軍

独命令:Mun-Bur、RuhとBelは移動支援(Ruh-Burとそれに2軍の移動支援でも同義)

仏命令:Mar-Bur、Gas S Mar-Bur、Bur-Bel、Pic S Bur-Bel

結果:Bur-Belが成功、Bel独陸軍撤退(-Hol)

Mun軍とMar軍でSO。

 

独命令:Bel-Bur、MunとRuhは移動支援

仏命令:Pic-Bel、Bur S Pic-Bel、MarとGasはBurを維持支援

結果:Pic-Belが成功、Bel独陸軍撤退

 

なので、行軍の読み合い次第だが基本的に陸軍1の差があれば、独仏間のように前線の軍の差があってもカウンターがあるので、攻撃がリスキーになることがある。

 

(2)

状況:Eng、Pic、MAtに仏海軍、Bur、Parに仏陸軍。Mun、Ruh、Belに独陸軍。Lon、Nthに英海軍。1903秋など。

英命令:Lon-Eng、Nth S Lon-Eng

独命令:Bel-Pic、Mun-Bur、Ruh S Mun-Bur

仏命令:Pic-Bel、Eng C Bel-Pic、MAt S Eng H、Bur S Pic-Bel、Par S Bur H

結果:Picの仏海軍とBelの独陸軍の位置が入れ替わる。秋ならBel仏領に。

 

海軍は支援カットは通常通りだが、輸送なら撤退に追い込まれない限り成功する。また、海軍で輸送を挟むと軍の入れ替わりが可能になる。もちろん輸送は陸軍に対してのみ実行可能なため、例ではPic仏海軍は輸送できないため、Bel独陸軍をPicに輸送している。ディプロマシー上ではBel独陸軍はEngの仏陸軍に輸送されてPicに移動したことになる。敵軍なのに…。

 

 

③各種追加ルール

ディプロマシーには別の時代、別のマップもある。だが同じ欧州第一次世界大戦マップであっても、楽しみ方は色々あるので、それを紹介していく。

(1)1900冬開始ルール

最初、全ての軍が配置されていない状態で調整フェイズの前に外交を始める。英伊土が3海軍にしたり、墺露が全部陸軍にしたりできる。もちろん今までのディプロマシーの最初の状態はガラリと変わるため、組み方も色々だ。どれだけ魅力的な作戦を考えられるかが一つの鍵となるだろう。

(2)Age of Empiresルール

元ネタはPCゲーム「Age of Empires」なのだろうか。数人の村人だけで始まり、時代を成長させながら他国を征服するゲーム。

ディプロマシーにおいては、首都1拠点から始まる。英はLon、仏はPar、独はBer、伊はRom、露はMos、墺はVie、土はConだったと記憶している。1900冬開始ルールと同じく調整フェイズから始まる。と言っても、露墺仏は陸軍しか作れないが。

その上で、通常ルールでは出来なかった、初期拠点以外での増設が可能となっているため、例えば土でもBerを占領し海軍でも作ってしまえば海越えができる。また、自国本土を追い出されても軍の数が3以上あるならば、他国を乗っ取って再起の可能性は大いに残る。加えて、墺がGre・Blu・Rumなどで海軍が生産できるし、英は北欧から陸軍を生産し輸送なく押し出すことも可能である。

かなり夢のあるルールなので、カオスではあるがやってみる価値はあると思われる。

(3)自作ルール

色々作れるが、自分が作ったものを紹介。

PCゲーム「大戦略」を元に、"索敵範囲"を盛り込んだ索敵ディプロマシーを1度開催したことがある。簡単な追加ルールは以下の通り。

・所持している補給拠点と軍の周囲1マスの状況のみが確認できる。

・維持命令を受け攻撃を受けなかった軍は、索敵を実行する(3手で移動可能な範囲の状況を追加で確認する)

・視界範囲外を含む命令は、視界範囲外の部分は伏せて表示される。(例:自国が独で1901秋Swe SOした場合、「?国?-Swe」が見える。)

・撤退フェイズがあれば通知される(進行上の問題)

・1901春の前は全軍維持命令だったとみなす。

・視界更新は、外交フェイズ開始直前。

他国から遠い位置だとどの軍を増設したかも不明瞭なので、裏切りながら同盟を続けやすい上に、GSLを正確に引くのも難しいので制覇率は高くなるはず。外交による情報交換と連携が大事なゲームなので、GM負担大きいですがオススメです。

 

 

最後に

色々書きましたが、良きディプロマシーライフをお送りくださいませ!

複数国家戦略④

色々あって、なんだかんだ過去記事を読んでいたら、全然書いてない部分があったので、下書きで終わるかもしれないですが残しておく意味も込めて書いていきます。

残っていたことを忘れていたのもあって、時間もないから結構手抜きなんです。すみません。

 

複数国家戦略の残りになります。

 

⑩墺伊同盟

露土ジャガーノートに対抗する目的で組まれることがある同盟。伊は基本的にレパント系かキーレパントの選択になる。墺側はヘッジホッグ系ではなくバルカンギャンビット選択の方が、成長速度として目的に合っていると思われる。

実際にジャガーノートでなければ瓦解するかというとそういうこともなく、露土激突するなら墺伊はそのまま成長できるのが優秀。墺側は伊の対土に協力しつつ、対露を行う。伊は対称国を失うが、状況により英独が変わってくれることもあるだろう。

拠点としては、海軍での維持しやすさを含めて考えると、伊が土領を丸々取得する形の方が墺としても安定しやすいだろう。Gre・Bluの分配や墺海軍をBlaに浮かべるかどうかは状況により要相談事項となる。

拠点数配分を考えると、少なくとも序盤は墺側優位で進めるべきだが、冠水後の伊海軍を西に向ける時間も考慮すると、4年程度経てば伊側を優位にしてMAtへの進出を急ぎたい。逆にいえば、そうならなければ墺伊激突は時間の問題になるだろう。これは、そこまで先を見なければ完遂が難しいことを意味する。

墺にとって、各種パターンの中では制覇の目が高い同盟となるため、魅力的ではあるが序盤を乗り越えられるかが最大の鍵となる。陸軍でMun・Berを取得するのはGSL越えでは比較的楽な方なので、東欧に残った伊領と合わせて奪えれば勝ちとなりうる。

伊側では、対称国を失うので旨みは低いが、ジャガーノートの危険性を排除しながら成長できるというのがメリットとなるので、最序盤の選択肢には入れておきたい。

 

西欧では、独は対露完遂後狙われるので、最初は良いが成長速度差で負けそうならEFG(西欧三国同盟)を視野に入れよう。そうでなければ生き残れない可能性が高い。もしくは、伊独で墺を挟撃するかだが、その場合は東に戦力を出せるよう早めに西欧で成長しておく他ない。

仏も対土後成長した伊に狙われるので、仏はEFGに比較的同意してくれる。伊を墺仏挟撃できるかもしれないが、被制覇の懸念を残す形になるだろう。

よって問題は英であるが、どちらに傾くかは難しいところ。その時の西欧の状況にかなり大きく依ると思われる。少なくとも初期は歓迎するだろう。

 

11.墺露同盟

非常に難しいが、不可能ではない。どちらかというと予定している状況から外れた場合にはそこそこ生じ得る同盟。例えば、対土包囲で合意したのに伊が全力で西進した場合などである。

最も注目すべきポイントは海軍数。露の北軍の状況によって様々だが、墺露どちらも、可能なら海軍を増設すれば長続きする。特に露側は、北欧取得や対独目的でStp増設なら比較的しやすいだろう。対土完遂後は露は北軍を中心にして対独・対英、墺は対伊・対独となる。ここで海軍の数が効いてくる。墺がTriに海軍を作ることは難しいが、露と仲が良いなら仏は味方になってくれやすいだろう。

 

英独伊は基本的に嫌がるというか、墺露の裏切りを誘発する方向で動くだろう。仏は前述の通りで比較的好意的に受け取られるだろう。

露はあまり外交の相手先を選びにくい傾向にあり、墺は長期で信用できるプレイヤーを求め相手のハードルが高いので、どちらかというと外交時間が短い、外交の少ないプレイヤーがいて信用できないなどで、制限があると生じ得る。

 

12.伊土同盟

墺露ほどは難しくない同盟。ただ組まれるのは似たような理由が多い。陸軍はどの国でも必要だが、特に東欧では海軍はさほど必要でない場合が多い。よって土が陸軍国として成長するならば、伊は対墺後西進して仏から西欧を攻略していくのがこの同盟。こうなり得るのは、伊が露を裏切るというか"見捨てた"場合だろう。対墺包囲で組んだのに露はStpシステムをした…等である。

 

独は最初こそ歓迎するかもしれないが、成長速度で負ければ離間が始まるだろう。英は墺が潰されるだけでなく、伊が海軍国として成長してくるので基本敵対する。仏も伊の最前線に来るので、EFG成立のきっかけになるかもしれない。

 

13.EFG(西欧三国同盟)

England、France、Germanの頭文字をとってEFG。どちらかというと東欧に負けないための防衛目的で組まれがちな同盟。例えばジャガーノートが思いの外早く、仏でも制覇の目が無いと思われたりすれば成立する。

長期的に組むならば、英は対露に終始して陸軍の増設もしていき、仏も対伊でMar海軍増設していく。独は双方を支援しながら対露・対伊・対墺する。独陸軍の要求される範囲が大きいので、独は海軍増設の余裕はほぼない。

 

初手から選択する場合、独が大きくなり海軍同士で英仏戦争になる…ということはあまりなく、どちらかというと仏の対独(独本土)や英の対独(北欧)、あるいはそれを懸念した独の反転はあるかもしれない。東欧としては土以外は基本嫌がるだろうが、それを覚悟して進めることになるだろうか。

 

14.英露同盟

北欧を分割しながら南下し対独していく同盟。対独後は、露は南に、英は対仏にという流れになるだろうか。綺麗に分割される範囲は不明瞭であるし、その効果のほども(露の北軍が強くはないので)高くはないが、その分奇襲性だけは高い。

 

墺土は嫌がるだろうし、伊も序盤には北軍に注力されると困るだろう。伊は対仏しても成果が上がらないので、仕方なく対墺か対土を選択するかもしれない。仏としては序盤対独することは歓迎だが、英が対仏に移行してから露が無視するとは思わないだろう。露にとって仏が信用できないのが前提に必要かもしれない。

 

15.東欧三国同盟

伊を除く東欧の三国(露墺土)で組む同盟。露土はスリングショット・ジャガーノートに近い形で序盤を進行する。ただしどちらかというと土陸軍で露海軍を解体した方が良いし、露はStpシステムを採用した方が速いだろう。西欧(例:スチームローラー)に対抗するためか、あるいは奇襲的に組むことになる。土は対伊、露は対英・対独、墺は対独・対伊を行う。

 

あまり知見が取れないため難しいが、仏は微妙な立場になるのではないだろうか。

 

 

まとめ

理論上だけで言えば、どんな同盟戦略でも取ることが可能。考えるべきポイントをいくつか挙げておくと、①その同盟を結ぶ上でのハードルはどこにあるか(短期/中期/長期のどこが問題になるか、拠点配分は比較的対等に行えるか)、②それを他国(特に遠方国)が見た時に、何と思いどのように行動するか。この2点である。

そして、もしどことも組めなかったり、条件がうまく合わないと感じるならば、条件が合うように行軍する他ない。防衛して耐えたり、侵攻して有利をとってから組み直すなどである。

そうやって外交を繰り返し、手を進め、どこかで全員を出し抜けば、きっと欧州の覇者となれるだろう。

ディプロマシー観戦記:COM-Eさん開催2022仕切り直しディプロマシー

こんにちは。

久々に本ブログにてディプロマシー記事を書きます。適温です。

自分としては記憶力が低いため、この長い時間でだいぶん鈍っていて、地名やオープニングの名前が思い出せずこの記事を書くのに四苦八苦しそうですが、書いていきたいと思います。

 

また、観戦記と銘打ってはいますが、外交を見ていないのであくまでも独断と偏見による記事となります。加えて、誹謗中傷する気持ちはありませんが、プレイヤーの方でもし気分を害されたら申し訳ありません。先に謝っておきます。

おかしいな?と思ったらDMなりリプなりなんなりとしていただいても良いですが、できれば「そういう考え方/見方もあるか」くらいで思っていただけるとありがたいです。

 

結末は知っていますが、行軍はほぼ覚えていない(途中で他のディプロマシーログを見たのもある)ですしどの国が誰がプレイしているかもほとんど知らないので、まっさらな気持ちで書いていきます。

 

◯1901春

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西欧は独のBur侵入以外は不干渉な出だし。ただPie SOがあるので、ありそうな話としては英が対仏同盟の情報をリークしたのかなと考えられますね。伊も対仏は嫌がって合意SOになるケースもありますが、Rom-Ven、Tri-Tysなのでその可能性は薄いですね。対仏同盟は3国とも真に合意しないと上手くいかないので、少なくとも仏の早期滅亡は消えました。このケースだと、英が対露に移行するなら英独同盟はできるのですが、英仏同盟をするとなると仏が忙しくて難しいです。伊が西に干渉すると、仏の背を脅かすので判断が難しくなります。

外交次第過ぎて難しいですが、独が親英対露寄りになるなら伊は三国同盟を打ち切り、仏からは手を引いた方が成長しやすそうです。

 

対して3国の睨み合いとなった東欧。Gal、BlaのSOはどこまでが合意か判断が難しいところ。土はArm侵入により対露姿勢で、墺としては悪くない形です。ただし、伊の西進が上手くいかないと、反転する際に襲われやすいのは土よりも墺なので気が抜けないでしょう。結果として土としては伊の西進でとても安定した墺土同盟が組めそうな予感がしますね。

 

◯1901秋

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西欧は昨期からの動きとして順当な流れ。伊が引き、英は対露し、仏は親独姿勢を見せる。そして独はとりあえず3増設。英のイースタンプッシュ(Nwg-Bar)、Nwy上陸、Swe SOの完全対露は中々お目にかかれない。

対して東欧は急な対墺包囲が為される。特にこの情勢でGre SOが墺にとってとても厳しい。初手がバルカンギャンビットに出来るほど安心できる情勢じゃなかったのがここに響いている。この盤面なら、墺は、土の中途半端な行軍に対して露に同盟を持ちかけるのが一つの筋か。英と協力は難しくなるが、しかし自身が生きることを優先せねばならない盤面ではある。

 

◯1901冬

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色々ポイントがあるが、Mar Fが最も目立つ。露にとって最悪の選択と言えるだろう。西欧で使うにしてもMarから運ぶのは遠く、伊が警戒する。仏は3陸軍はおかしい話では無いので、Lvp輸送を狙って動くのなら3陸軍いてもいいだろう。独はBer Aを選択。東欧に干渉するか、Kie Fによる北欧・Nthへの影響力アップを狙うか。いずれにせよ対仏以外では自由に動ける構成で、盤面への発言力は変わらず高い。

仏のお陰で墺がまだ生存の可能性が見える。露は、この秋のBla SOまたは外交によりBlaを奪われる可能性が見えていたなら、墺との組み直しを考えStp安定のためにStp Aでも有りだったかも?ただ、MosであればGalから引くなら独からWarは防衛できるとも言える。何にせよ仏の増設が厳しいか。

 

◯1902春

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露の受難が続く。仏伊戦争の間に英独墺土同盟が迫っている。東欧が停滞するなら仏伊戦争はありなのかもしれないが、現状では露仏伊共にマイナスと言えるだろう。墺伊は2正面作戦、あるいは挟撃の形となり、形が崩れて辛いところだ。

 

◯1903秋

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墺土は陸海分業で合意したようだが、墺土同盟内の土において伊仏を敵と見做せないならば土に余裕が出てしまう。しかも墺4土5なので戦力は逆転してしまっているため、この状況でStpにフタをしてしまうのはあまりに辛い。見えている同盟崩壊を前にどう行動するのかだが、露が入り込んでしまったため止まれないのかもしれない。

西欧はStpを取れないと踏んだ英が対独反転。ただそれは独も分かっていた様子。個人的には、読み負けするなら来年くらいにはStp取れそうなのでまだ「見」の方が独の信用があってよかったのかもしれない。ただの結果論だが。ここでの対独反転がこの先の英の衰退に繋がると言うのは大袈裟だろうか。仏も英と呼応する様に対独反転しているが、いかんせん遅くなってしまっているし、陸軍2がここで響く。

 

◯1902冬

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順当な増設だが、結果的に見て独包囲の攻め手が不足している。中央国なのでまだギリギリの範囲、しかも東欧に手出ししているのでなんとかなるかもという状況。ただし英墺は独の協力があった方が伸びられる。難しい判断だろう。

 

◯1903春

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墺がTysを奪取。ここに入られると伊は身動きが取れない。仏は独からは取れないとの判断か対英反転。ただ3F2A構成なら実際アリだろう。墺は一旦Mos侵入を果たすが、増設面も考えて本土回復に努めた方が良い気がする。今更かもしれないが…。土のSer移動が、Aeg-Greから言って墺を取りに来る動き。個人的にはやはりコロコロ同盟を切り替える相手は信用ならないので、協力すべき相手でも警戒は必要だろう。元々Aeg-Ionで話していたんじゃなかろうか。

英は対独続行。Stpを取得しても維持できないとの判断が昨年春時点であったのだろうか?

 

◯1903秋

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激戦が続く東欧。露がここで滅亡した。伊のVie攻撃だけは理由が分からないが、西欧の対土要請の介入でもあったのだろうか?と言ってもその内の独はMun-Tyrを入力しているし、相当外交の騙し合いが複雑だったのだろうと推測はつく。

英はStp取得を優先、Sweは放棄の形。だが陸軍を輸送したのにこの形は悲しい。そしてLvpに上陸を許す。やむを得ない状況で仕方ないが、ただでさえ陸軍の少ない仏が上陸を選択するのは中々リスクを負って独仏同盟を組んでいると言える。このまま行けば独は北欧を取れるが、Nthを確保できるかどうかは西欧の勝敗に直結するので、仏との成長競争となった時どこまで先を見据えられるかは難しいところだ。

墺に続き土仏が海軍で対伊参戦し、動けないだけではなく領地の刈り取りが始まった。

 

◯1903冬

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墺は6拠点ながら本土が無いため5軍。

仏Mar Aは順当ではあるが独の反転攻撃が怖いところ。

 

◯1904春

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ここの独の動きが、本卓の趨勢を決定づけたように思う。GSL突破しているのだから、独は数的不利になるがそれは拠点数で補えている。ここでStpにアクセスするLvnか、対仏のためにBur侵攻の準備を進められれば西欧の覇者にはなれたかもしれない。仏が英伊の深くまで踏み込み戻すのに迷うタイミングが大事で、土が墺の領土を食って大きくなるここだからこそのタイミングだ。逆に言えば、土はこの先独をパートナーと考えるのならば、歩調を少し合わせにいかねばならなかったのではと思う。

 

◯1904秋

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伊の滅亡へのカウントダウンが進む。伊が居なくなることは当然隣接する3国の拡大を意味する。仏も防衛としてだろうが、Burに移動するなど独仏間もキナ臭くなってきた。先期の事もあり、独の軍は一手間に合わない。独にとっては英仏を蹴散らす手立てが無くなってきた。

 

◯1904冬

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土の3増設が目立つ。制覇の夢を見られる国が少なくなってきた。ここで、独仏どちらを育てるかを、土は本当は選ばなければならなくなったのでは無いだろうか。前もって手を打てるのがディプロマシーではあるが、かと言って先見の明というのはやはり難しいところだ。仏が2増したのだから、もはや土は独を切ってMun・Berを狙いに行く方がよかったのかも知れない。

 

◯1905春

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西欧三国が全面戦争に突入。その上で英伊の領土を確保するための動きが活発になってきた。土は悠々と領土を取れば良い…訳では無い。裏でずっと動き続け、独仏の動向をコントロールし続けなければならない。これがディプロマシーの大変なところで、勝者こそが常に考え、盤面の行く末を見続けなければならない。また時には劣勢にならねばならない。他国に制覇を諦めさせないために。

 

◯1905秋

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土の食い荒らしが続く。西欧は先期あたりからGSLを考え始めなければならないだろう。という事は、英なら生き残れるかも知れないが、墺伊は持たない。墺伊独ははっきり言って戦争している場合では無いと思うのだが、補給拠点の位置関係が悪く、外交上どうしようもなかったのかもしれない。独仏は膠着状態。英の切り取りが進行していく。

 

◯1905冬

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土の独走体制。ここまで行くとGSL突破するか他国を伸ばすかで悩むところだが…。後7拠点はちょっと遠いか。仏の増設によって独仏戦争の行く末はさらに遠のき、むしろ正面対決なら仏の方が海軍で勝てそうである。しかし仏海軍はGSL形成に使用せねばならないし、独仏戦争の陸路が狭いことを考えれば、大差はないがBre Fも有りだったかも知れない。

 

◯1906

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盤面の色が統一されていく。ある種の予定調和であり、かつ収束点である。もう点Pはほとんど動かないのだ。

 

◯1907

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ディプロマシーから外交が抜ければ、そこにあるのは行軍だけである。もう余地も無いだろう。後はGSLを突破できるかどうかだけだ。

 

◯1908

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終戦

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土がジブラルタル海峡とMun・Berを抜けられず、進撃はここで終わった。一時の平和が訪れた。

 

◯総評

1902で前提ができ、1904で決定的になったと思う。

各国の感想は下記。

英:途中で言及しましたが対独反転がもう少し遅ければ未来も違ったのかなと思いました。最後生き残れるかと思いましたが、独仏の方針からか生き残らせては貰えませんでしたね…でもよく粘ったと思います。

独:土の甘言に乗ったからかは不明ですが、東欧に手を出し過ぎて仏の伸長を許してしまったのが厳しかったのかなと思います。いつ攻撃すべきかの判断は難しいですよね。ある程度墺伊に土を抑えさせる判断も必要だったのかも?序盤の判断が良くて強く育ったのかなと思います。

仏:序盤は守勢でしたが、露の滅亡まで独を抑えられない形にしてしまったのは、最初の増設では無いかと思います。が、対称国無しで良く粘り成長したと思います。やはり仏の地力は高いですね。

露:伊仏を宥める手段が有ればいいのですが、露に選択肢はそんなに無いのですよね。墺と和解できなかったのと、伊の反攻が痛手でしたね。

土:行軍判断はとても良いですが、ご本人が話されている通りパートナー国を育てられなかった、あるいは育つまで待てなかったので、制覇まではできませんでしたね。それでも優秀な結果だと思います。何度かやってれば制覇も出そうかな?と思います(制覇したことが無い人が言う言葉ではない)。

伊:墺仏からヘイトを買ってしまったのか、包囲されてしまいましたね。特に墺と和解できなかった事は、この結末に大きく影響しました。成長を狙うべきか生存を狙うべきか、動きの遅い伊は特に早めの判断が求められますね。

 

まあ好き勝手書きましたが、プレイしてない人の言葉なぞ適当に流していただければと思います。

これを読んで「興味深い」「参考になる」などともし思っていただけたらうれしいです。

プレイヤーの皆様、本当にお疲れ様でした。

次の制覇の夢が叶うことを祈ります。

ボードゲーム雑記:ワイナリーの四季

「ワインを作って出荷するゲーム」

と言われれば、これをプレイする前の自分はどんなものを想像しただろうか。多分、ブドウカードを集めてワインにし、出荷する程度のステップ数だっただろう。

 

だが「ワイナリーの四季」は違う。

金策をして、

②労働者を募り、

③ブドウの樹を育てるのに必要な設備を建て、

④ブドウの樹を植え、

⑤ブドウを収穫し、

ワインセラーを拡張し、

⑦ワインを醸造し、

⑧ようやく出荷できる。

 

②、⑥辺りは「必要に応じて」という側面はあるものの、大概これらは必須なので、最初からだとおおよそ上記の8ステップかかる計算になる。

次からは①②③④⑥辺りがスキップされかなりスムーズになるが、その頃には⑤⑦⑧のアクションは混み合っている。ワインを作るというテーマもそうだが、プレイの上ではこのゲーム性が面白い。

 

基本的にはワーカープレイスメントであり、先に労働者コマを置くのはもちろん大事だが、さらにボーナスのマスがある故に、最初の手番というのはかなり大事である。このボーナスはおおよそ1.5〜2倍の価値を持つものが多く、初手でお釣りが来る場合もある。後ろの手番は自身のやりたい行動が他プレイヤーと被らないかどうか、もしくはそれは必要なボーナスであるかどうか考え、計画性を持って選択したい。

 

他、ゲームのコツという意味では、夏/冬の訪問者カードに目を向けたい。訪問者カードは非常に多くの種類があり、強弱様々であるが、多くのカードは「その季節の他のアクションを代替する」効果が多い。また、最初や最後の方でしか使えない限定的な効果の場合には、代わりとなるような効果が付いている場合が多い。「植樹できるカードで、条件を満たして植樹するとポイントが入る」とか。もしくは、そもそもその季節が暇になる時に使えるカードもある。例えば、夏には金⇄勝利点の交換カードがある。序盤は金策に使用し、終盤は勝利点稼ぎに使える。冬に建築が行えるカードなんかも有用だ。

 

少し、早期建設でとても有利になる建物「宿泊施設」について触れておくと、夏/冬の訪問者カードが多く拾えるようになるが、逆に言ってカード使用マスに多く止まる事になる。他プレイヤーが宿泊施設を初期に建設するならば、その4リラ・2、3手分で早期出荷できれば同等以上が取れるかもしれない。元々このゲームはやはり運ゲー部分も多いので一概には言えないだろうが。

 

ゲームをプレイしていくと分かる事だが、案外「1章利点」が馬鹿にできないので、金策などで勝利点をマイナスするのはよく考えたほうが良い。そういう意味では畑の売買のボーナスマスや建物「風車小屋」「試飲室」も有効だ。特に中盤辺りからワーカーが余るようなら、視野に入れておいた方が良い。安い出荷では2勝利点程度なので、終盤にそれを出荷するよりも多く稼げるだろう。

 

書く気になったので書いてみた。

また他のボドゲでも気が向いたら適当につらつら書くかもしれない。

 

それでは、良きワイン作りライフと、良きボドゲライフを!

複数国家戦略③

第①、②会では紹介していない中で、メジャーなものを順次紹介していきます。このくらいになってくると有名度は同等くらいのような。

 

⑦墺土同盟

伊露挟撃を嫌う国同士で組む同盟。陸海分業による土の対伊と墺の対露が基本。ただし土側が墺と同等くらいの拠点数だと、土の先見の明または良心によって同盟が続くケースもあるほど、墺の立場というのは危うい。墺は攻防の多くを土に支援してもらわないと侵攻が難しく、また土については墺の僅か1海軍を借り受けて対伊を敢行するのがセオリー。バルカンギャンビットの存在から初年度はGreを墺領としても良いだろうが、02年以降はバルカンは移動経路から考えてBul・Greを土領、Ser・Rumを墺領としつつ墺側に拠点数の配慮がある(つまり墺の方が拠点数が多い)と長続きしやすいだろう。墺海軍は最終的にはAdrに入るのが(Ven墺領も相まって)安定そうではある。2海軍目が許されるかどうか、あるいはいつなら許されるかは土と要相談である。逆に土側は海軍を中心に増設していく。陸軍を増設するにしても、増設したそばから輸送で押し出していかないと墺の裏切りに遭うだろう。Greまで移動しておいてIon経由でApuに行くなどが考えやすい。ただ陸軍の移動ルートとしてバルカン南部を使うと、墺の特にSerなどを脅かしてしまうため、なるべくバルカン半島内部の陸軍を減らすのが墺との同盟のコツ(譲歩ポイント)と言える。海軍を押し出せたのなら、後は攻めるのみ…としやすくなるだろう。墺土同盟は比較的土の裏切りは少ないように思う。というのは土側は裏切られても固く崩れにくい所があるのと、東西GSLを越える手段が乏しいため早いうちに越えておきたいという点があるから。…という点に裏をかくこともあるだろうので一概には言えないのだが。逆に墺側は土に相対するのは自国だけになるので、ちゃんと拠点数の融通が利かないなら簡単に裏切るだろう。

尚、墺が対伊・土が対露でも組めるが、その場合墺が海軍を作り土が陸軍を作っていく。土はより固くなりやすいので、この組み方をするなら墺側に、より拠点数の譲歩が必要かもしれない。しかし、墺が海軍数で土を上回れるなら土の背後を取れるかも?拠点数も有ればタイマンで土に勝てるかもしれない。一考の価値はあるだろう。考えてみて欲しい(丸投げ)。

墺土同盟への反応は、英は北欧の露と海軍国の伊の衰退をある程度歓迎するだろう。独については、歓迎する場合もあれば、対仏後伊と対英したい独なら伊の衰退を嫌がるだろうので、独土挟撃なんてのもあるかもしれない。仏は、伊が対仏する余裕が消えて一安心であるが、露の生存を考えればある程度で墺土どちらかとの組み直しを望むだろう。

 

⑧アシカ作戦(独仏露)

いわゆる対英包囲の一環で、速攻の部類に入る。全力全開で行うなら仏はピカルディオープニング(Par-Pic、Mar-Spa)のBre-Eng版、独はブリッツクリーグ・オランダバリエーション、露はスクイッドが有力択になる。この後Eng侵入が成ったなら、Hol(or Den)-Nth、Engがその支援となる。なので英が北方オープニングを選択したなら、英はNth防衛かNwy取得かどちらかを選ぶ形になるだろう。英が無理に妨害に手を出そうものなら増設0かつNth失陥の憂き目に合う。独がデンマークバリエーションに変えると、独のみ対英の姿勢を示さない初手となり、信用は得づらいが外交面は一時的に有利に立てるだろう。潰しきるのが難しい英を速攻で潰せる選択肢であるが、露のStpシステムがまず難しい。次いで、仏独が息を合わせて行軍できるかという問題になる。特に仏側はギャンブルするほど防御力が低下する。初手対仏包囲が多い現在の環境だと、踏み切るには相当の覚悟が必要かもしれない。しかし仏目線では独を対英させるだけで大きなメリットがある。独が乗り気でも中々難しい判断となるだろう。ジャガーノート程とは言わないが、露が飲む場合アシカ作戦は悩ましい選択肢となる。初年度を乗り越え独がNth侵入を果たすと、今度は独が不安になりやすい。Nthに侵入したため英と組み直しは余程でない限りできない。また、露が予定どおりStp北岸に海軍(または陸軍)を増設したとしても、Swe-Nwyとしてバルト海側から退きSweを譲渡してくれるかは不明瞭だし、仏がEng-IriなどからLvp取得が早いと露仏挟撃待った無しになるからである。仏の対英での取り分はLvp(仏6-独8-露(北軍)3となる計算の場合)となりやすく、英がNthにこだわる程Lvpは隙だらけになり仏に取られやすい。このため独はLon取得を急がねばならず、できるなら仏Engに仕事(Walへの輸送、Nth維持支援、Lon攻め支援等々)を与えて止めておきたいところ。あるいは、初年度仏1増に抑えさせるのも1手だろう。しかし仏露も独のLon・Swe取得が早ければ対仏・対露されやすいのは分かっている話なので、成立後の特に独の外交は非常にシビアなものとなるだろう。

ターゲットになる英の対称国の墺は厳しいが、露がStpシステムのため対露は容易であるので一長一短ある。初手対土だと厳しいかもしれない。土は対墺しない露とは組めないので、墺を露にけしかける外交になるだろう。伊としては仏は伸びやすく露の南軍が衰退しやすいので厳しい。墺を対土に向けられれば露の南軍は生きて伊も伸びられるので、それを狙いながら、墺が対露するようなら陸軍で押さえ込みにかかる必要があるだろう。対英完遂後の独仏戦争に参加して南仏を頂くのもアリではあるが、その後独に勝てるかどうかは不利と言えるだろう。

 

⑨対土包囲(露墺伊)

対仏包囲程ではないが、比較的初年度から組まれやすい。若干、現環境は対墺包囲にシフトしていっている気もするが。独が墺の早期滅亡を望まないほど、三帝同盟やSwe SOの権利にて露の対墺を牽制するため露墺間が不仲にならない。すると選択肢として露は対土になる。伊は対土包囲が組まれるなら、墺の対露を警戒しつつ土に向かうのは有力択となる。墺としては、初手から墺土同盟を組めたとしても陸路は露伊に塞がれ、成長は厳しくなりやすい。また伊土戦争は墺の生存戦略として重要となる。という辺りで、対土包囲は組まれやすいと思われる。拠点配分として露Rum・Ank、伊Tun・Gre・Smy、墺Ser・Bul・Con辺りが考えられる。完遂後の露伊挟撃があり得るためその譲歩としてGreかSmy墺領もありだろうし、Rumがある方がバルカンが安定するためCon露領Rum墺領も良いだろう。だが土本土を攻める前後に墺が対露反転することが多いため、この拠点配分は夢物語になりがち。ただし拠点配分の話をしないのも今後の同盟を考えていない事になるので、配分案は覚えるなり考えるなりしておこう。墺は露伊挟撃が見えているため、対伊や特に対露反転しがち。露は陸軍国なので、墺陸軍で攻めやすいのもポイントだろう。同盟を続けるには墺露間でGal SO、場合によっては2軍SOなどで陸軍を余らせないようにした方が長続きしそうである。それでも裏切りは起こり得るだろうが。

独にとっては微妙だが土が滅亡しても伊が対称国に成り代われるのでそこまで痛手という程ではないし、土が生きて墺が反転しやすいのでBlaに侵入されたなどでなければそこそこ生き残りやすいだろうのであまり問題にならなかったりする。仏としては伊の矛先を土が受けてくれて露も多数派に入れて満足、英としても序盤に墺が安定するという事で受け入れられる。なので土としては防衛して耐えながら反撃のチャンスを伺い、墺の反転を待って墺土同盟に以降などが有力択。西欧は情報収集しておき土が役に立つことを地味にアピールしていくなど、粘り強い行軍と外交が求められるだろう。あまり対称国の独をアテにもできない事も多いので、行軍や土地勘でカバーしていく必要がありそうである。

 

次回はキーレパントなど、まだまだある有名な同盟について書いていきます。

複数国家戦略②

第二回は、端国の同盟を中心にお話ししたいと思います。端国同士は何故組みづらいのか、という大元の理由に触れるわけではありませんが、組んだらどうなるのか、というのは闇雲に同盟しない為にも知っておくべき情報だと思います。

 

ジャガーノート

露土同盟で対墺速攻するジャガーノートは、色々案が考えられているが、裏切りがどのパターンにせよ簡単であり、かつ裏切りのインパクト(裏切られた際のダメージ)も大きいので、実行されづらいという背景がある。強力であるが、外交面でも裏切り面でも不安があるというのが前提であり、そこを露土両国が覚悟して踏み切る必要がある。尚、各パターンによって裏切りやすさもダメージも変わってくる。

(1)通常版ジャガーノート

露海軍をSevに置いたままにする、あるいは墺のBud-Rum SO狙いで動かすなど、Blaに行かない事になる。また土のAnk海軍はConから地中海へ抜けようとする。露土どちらもBlaに行かないことからどちらからも裏切りが可能である。裏切った側が単純にBlaに入る事になるが、土がロシアンアタック選択となると露のSevが脅かされる。露側の侵入となれば、本土防衛を考えると易々とは土軍を動かせなくなり、露がターキッシュアタック選択なら陸軍のSev-Arm侵入もあり得て非常に危険。尚、初手以降は基本的に土は黒海側に海軍を作る意味が薄い(ジャガーノートで折角海軍を対伊に向けられたのに軍の無駄が生じる)ので、比較的露側が裏切りやすいと思われる。

(2)Arm SO版

Arm SOであれば、露はSev-Arm、土はSmy-ArmでAnk-Conが実現できる。この時露が裏切った場合はターキッシュアタックとなり土陸軍がArmに入り込むがSev陸軍が防衛に使えるので結局露優位、ただし露側も通常版より若干ではあるが簡単にはSev陸軍を動かせない。土が裏切りならSmy-ArmでSOしながらBlaに侵入でき、この場合は陸軍は対露できず、露側の大きなダメージとはなりにくい。どちらも通常版より比較的マシなダメージで済むが、あくまでマシレベル。初手以降SOを続けるなら、01秋にSev海軍がRumへの支援を出せなくなったり、土が陸軍をバルカンに揚げづらくなるのが通常版に比べたデメリットか。

(3)ブラックシー・エクスチェンジ

露がサザンディフェンスでSev-Blaでありそれを通す形。対墺偽装ならターキッシュアタックだがGal不可侵を許すのはジャガーノートとは言えない。つまり露の裏切りは基本ターキッシュアタックとなる。土側の裏切りはBla SOで行われる。土側は裏切ってもBla SOとArm侵入が限界であり厳しく、露側は通常版と同じ形なので初手だけなら露優位のジャガーノートと呼べる。また、成立後は露海軍と土陸軍が交換されたまま双方残り続けるので、どちらからも裏切りは成立しやすい。逆に言えば、それだけ信用が続く間柄とも取れるが。

(4)スリングショット・ジャガーノート

この場合、露海軍はSev-Armとし土海軍がBlaに入れる。ただし土海軍もBlaに入らなくても成立はする。その場合01秋にAnk S Smy-ArmやAnk S Syr-Armとなるだろう。初手Ank-Blaのケース(パスティス定石など)の場合は、露側が裏切ってもBla SO、土側の裏切りはSevやRum急襲だが01秋に露Arm-BlaやArm-Ank(この場合は土の初手Smy-Ank)とする約束なら土側は裏切りに動かしにくい。ただし露側も裏切りにくく、初手裏切りはBla SO、01秋の裏切りはBlaを取られただけと中々裏切り自体は発生しにくい。露陸軍のGal侵入の様子を見てから土の動きも決める事ができ、案外安定するように思われる。が、裏切りでなくとも土海軍がBlaに入ってしまうので、露側の負担は常にある。それと土海軍を露海軍の処理に使う為地中海に出すのが遅れる辺りがデメリットとなっている。裏切り自体はBlaを取れる土側がやはり有利ではある。初手でBlaに侵入しないケース(Ank H)なら露側の裏切りも容易。また思いつきだが土の初手をAnk-Con、Con-Smy、Smy-Ank(or Syr)とすれば地中海進出が早まるが、今度はBul進出が遅れバルカンへの圧力が下がるのでこれもジャガーノートとは言いにくい。成立のしやすさが売りだが速度が遅く結果として旨味も少ないのがスリングショット形のデメリットと言える。中盤以降土側からは裏切りやすいが、成長が早ければ土の裏切りを見てGSLは容易に組めるだろうという意味では土は裏切りづらい…という考え方もあるかもしれない(西欧の様子に依るだろう)。何にせよ露土衝突の最たる原因である露海軍が消え、露陸軍となり墺への攻撃力が増すので、裏切りは比較的少ないかと思われる。しかし進軍の遅さは他国の対応時間ができるということでもあり、無視できない要素である。

ジャガーノートに対する各国の反応は以下の通り。

独…墺滅亡後、特に露陸軍の脅威にさらされるためジャガーノートを止めたい。Swe SOにて侵攻を遅らせられるが、対英でKie-HolとしているとSO出来なくなる。対露しようとすると仏の対独で陸軍を割かれるのでまずは北欧から抑える形が多い。対称国のため土の裏切りを誘発できる可能性がそれなりに高い方の国。

英…独と組んだ対露にて侵攻を遅らせられるが、内陸まで止めに行くには北欧へ輸送するしかない。ヨークシャーオープニングの場合北欧への輸送は1増に留まってしまう(その分、イースタンプッシュは可能である)。ウェールズオープニングなどの場合によっては対仏に努めて英独の背中を狙う仏からの守りに専念し、独陸軍を対露に向かわせた方が対称国の墺を生き残らせられるかもしれない。

墺…当然露土両国の脅威に晒されるため、必死で行軍と外交を考える必要があるだろう。最初の外交から違和感に敏感になっておく必要がある。

伊…ジャガーノート側に付くのか防衛側に付くのか微妙な国。対墺後露土戦争を誘発できるのなら対墺しても良いが、露がどちらに付くか分からないとギャンブルになる。露の南軍を対称国とするため、露土離間も有力な国。墺海軍と対土防衛する場合にはAlbやGreなどから墺陸軍への支援要請もあり得る。初年度でジャガーノートを察知しており防衛目的ならキーレパント要請もアリだろう。

仏…どちらかというとジャガーノート側に付きやすい。ただし仏はこの場合近隣に同盟国を持ちえないので、露が北側に戦力を割けなければ成長も難しい。成長速度で負けそうなら露土離間も一考の余地があるだろう。ジャガーノートが止められた後、露が北側に戦線復帰できれば良いが、弱い露の北軍が英独同盟に耐える事は難しい。

という状況になりやすいので、ジャガーノートを実効する場合は各国の対応をよく考えて裏をかける速攻としたいところである。尚、拠点分割については露は北軍を持つため、各プレイヤー毎、あるいは状況ごとに判断が変わってくるので記載しない。

 

⑤スチームローラー(略称:SR)

SRは英仏同盟の一環であるが、ジャガーノートほど決まったパターンというものが存在しない。成立に苦労するという点ではジャガーノートと同じである。止める国の数が4カ国から3カ国に減っており少し止めづらいのはポイントか。ターゲットになる独にとっては大問題であり、東欧にとっても問題である点はジャガーノートと変わりはない。増設面は対独対伊を担当する仏側に色をつける形で、仏は陸軍多目(対伊用の海軍も必要)、英も少し陸軍を作り北欧へ押し出していく。

(1)通常版

Eng不可侵のまま侵攻する。仏はマジノオープニングなどでBur侵入からBelを睨みつつ前進、英は北方オープニング(ヨークシャーよりは仏を疑わない事を示すエディンバラを個人的に推奨)として開始する。対独対露または対独対伊を同時にやるか、対独を中心に行うかは難しいところだが、力を合わせるという意味で対独を中心に侵攻する方が素早く動けるだろう。英陸軍をBelにやるかNwyにやるかは考え所である。独領を取った方が侵攻は早いが後からくる仏陸軍が詰まりやすい上、拠点調整で行軍が忙しくなる。また北欧攻めも英Nth海軍が忙しすぎて思いの外詰まりやすい。行軍を有利にする外交として、英仏露の対独包囲で最初話しているなら露には奇襲が通る可能性が一応はある。また、01春に英は対露、仏は対独と見えれば独が仏露挟撃を嫌い親英のSwe SOをしてくれる可能性が十分ある。英側の行軍面ではBar・Ska・Hel侵入など色々検討できるが、英仏の行軍が思ったようにいかない事も多いので注意が必要となる。

(2)Hol SO版

英の1増を捨てるなら、Lon-Nth-HolとするとSOが可能。もちろん独にスカされれば取れるだろうが、まず無理だろう。英側は初手北方オープニングであり、ほとんど対独を明かす必要はないが仏はBurに入るなど対独を明かす必要がある。しかも、仏が対独していくにつれ英は仏の背中を刺せる位置になってくるので、仏側の方が軍が必要である。この2つの問題点を解決するため、英が01秋にHol SOにて独の増設を抑え対独を示し、仏に拠点数上の譲歩を行うのである。ただしこの場合は逆に英側は仏露の同盟がきちんと切れるかどうかを信じなければならない点が、通常版同様英の最大の不安のまま残るだろう。

(3)ヘイ・ブレスト・スチームローラー

正式に上記の名前がある訳では無い。ヘイ・ブレストとは、仏のBreを英領にすることで仏の英側海軍増設を止めた英仏同盟の事を指す。ただしSRに利用するならBreを英に譲渡するだけ…というのは英側が過剰に有利という話になってしまう。そこで、個人的にはBre英領・Lvp仏領にする案を挙げておく。Bre英領はすぐに成るがLvp仏領は03年などになるので、少し長い目で同盟できないと厳しい。しかし裏切りの増設拠点となるBreとLvpの交換が上手くいけばお互いに裏切りにくくSRを進行しやすくなるだろう。もちろん、反転を計画しているなら困るだろう提案である。(ヘイ・ブレストはキーレパントを元に考案されており、「キー」の代わりに「ヘイ」と名付けたのだが、「キー」はキーレパント考案者の人名であり鍵のことでは無いので、挨拶の「ヘイ(Hey)」は意味合いが合っていない…)

どのSRでも、敵対する伊露独は嫌う。この中で最も有力な裏切りを誘う外交ができるのは仏の対称国たる露である。伊独は難しいので、行軍にもかなりの工夫をして防衛しつつ粘り強く外交が必要になる。墺土は仏の対伊や英の対露があり比較的許容しやすい。特に墺はSRを見たなら墺土英仏同盟の結成を画策できるだろう。しかも墺は対称国の英の裏切りに比較的寄与しやすく、また仏とも対称国である露程では無いが仲良くはしやすい。SRの裏に墺の計画がある…なんて事も、墺独間が思いの外不仲だとあるかもしれない。

 

⑥英独同盟

対仏包囲から伊が対仏ではなく対墺または対土を選択したパターンで、よく見かけるパターンの一つ。ただし実態は変わり、伊が参加するものに対して特に独側の裏切りを誘いやすい。対仏完遂時に独のみでの対英が厳しい(無理では無い)のが理由となる。露や伊が対英に参加できる状況ほど、裏切りは先延ばしになるかも知れない。同盟を続けるには英は独の3海軍目をどこかで許容しないといけないだろうが、その判断は非常に難しいだろう。尚、仏領の取り分は対仏包囲時の伊の取り分だったSpa・Marを両方独領とするかSpaは英領として分け合うか、くらいが選択肢として有力だろう。あまりそのまま完遂まで行くとは思いづらいが、しかし先の事を考えておかないのは外交面で裏切りの発覚に繋がりやすいので話しておく事を推奨する。対露の可能性と伊の対仏で軍が割かれる可能性が残るという点、及び対称国が生き残りやすい点で墺土には比較的歓迎されるだろう。伊にとってはどうかというと、盤面及び国家間の枠組みの考え方に依るところが大きく人によって良し悪しは大きく変わるだろう。

 

端国の同盟として有名な2つ(ジャガーノート、スチームローラー)と、比較的序盤に多い英独同盟について挙げました。有名どころはまだまだ残ってますので、書くのに時間がかかりそうですね…。ではまた次回。