適温のブログ

必要になった時のみ運用

動き出した盤面

ディプロマシー、外交から組むか、行軍から組むか」というのは人によりけりですが、やはり盤面認識があって初めてどちらが良い選択をできるかが決まると思います。

ではその盤面認識のための盤面解説ですが、1902までは拮抗した戦争でした。この1903である程度動きが出てきました。

 

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 西欧戦線は混迷を極めています。独は露領スウェーデンを攻撃しつつ英の急所北海に入り、また仏領との境界に陸軍3を展開しています。どこを狙っているのでしょうか。土は幸い包囲を脱しましたが、ジャガーノート相手ではバルカンの取得によって土の成長が早く追いつかれやすい事が一つの懸念です。加えて露の成長もそのうち独に手が伸びるため看過しづらいところです。また墺はもちろん伊も窮地に陥っており、今後の対仏を考慮するなら救いの手を打たねばなりません。懸念事項払拭のためにも西欧で成長の手段を見つけたいですね。

英は露領サンクトペテルブルクを突きつつスウェーデンは守り、また対仏に有効なピカルディへの輸送が成功しています。独同様、行き先不明瞭に見えます。対称国である墺の減産もあり、すぐにでも連携できる近隣国と、それに協力できる遠方国を見つけたいところです。

仏目線ではこのピカルディの英陸軍は、独領のベルギーを狙う事も可能ではありますが、イギリス海峡に続き不安材料が増えた形となりました。方針は対伊で一貫しているため、英独ほどの奇妙さはありません。が、その英独の妙な動きが最大の不安材料となっています。

伊は仏海軍から攻撃を受け続けているだけでなく、仏陸軍のピエモンテ侵入、土海軍のイオニア海侵入を許しました。セルビアに支援してトリエステにも移動、しかしその親土を裏切られたようです。非常に苦しい盤面ですが、後1年読み合いで勝てば保たせる事が可能です。その間にどれだけ仏土を不利にするよう他国を説得できるかにかかっています。かなり目が少ないですが土と和解する場合、その際はイオニア海退去は絶対条件でしょう。

(尚、ピエモンテ自体は領土としては伊寄りです。そのため伊としては入られると厳しいです。)

 露はブダペスト奪取はなりませんでしたが、結果として墺の減産には成功しました。むしろ露土同盟を長期的にするには、どちらかに利益が偏らない事が必要なので、来年度ブダペスト(又はウィーン)が取れるかどうかが重要になります。北欧は不安定ながらも膠着状態にできています。唯一の不安材料は仏伊関係がずっと悪い事ですが、和解に導くことはできるでしょうか。

 墺は当然ながら厳しい状況です。セルビアを失ったためバルカンへの影響力が半減し、伊とは組み直せそうですがギリシャの陸軍だけで何ができるでしょうか。つまり既に墺伊だけでは止められない状況であり、露土の仲を引き裂くしかありません。英独で露の減産を狙うのもアリですが、北欧が奪われても止まらない軍の数のため、さらに手を借りるなら独陸軍の協力が不可欠でしょう。

 土は第5拠点を得て、これからの巻き返しができる盤面です。西欧の停滞、伊仏の不仲も追い風です。問題があるとするなら露土間の関係をどれだけ続けるかと、露の北軍の進行を外交的にどれだけ(露に)許したり(英独で)抑えたりするかという点、それと伊仏間に和解を許さない外交が必要な点でしょうか。最終的に露に勝つプレイイングの意識が必要そうです。

 

盤面の傾向はこの通りですが、これを覆せるのがディプロマシーでもあります。このままで終わらないプレイイングに期待が高まりますね。

バルカン-東欧の欲望の地

バルカン半島はヨーロッパの火薬庫と呼ばれる、絶え間ない戦場だった訳ですが、ディプロマシーでもそれは大差ありません。その理由は、東欧の4国(伊露墺土)で東欧のたった5つの空白補給地を分け合いますが、その内訳はチュニス以外4拠点がバルカンにあるためでしょう。
対して西欧も4国(英仏独露)で空白補給地を分け合いますが、その総数は7と多く、内訳も北欧3、低地諸国2、イベリア半島2とバラバラとなっています。

 

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1903春の行軍は、西欧では停滞し、東欧はついに本国への敵国侵入を許しました。東欧で勝つためには、当然ながら西欧諸国の成長スピードを超えなければならず、そしてその為には停滞した西欧よりも早くどこか1国を潰すか、バルカンの全取得くらいしか選択肢はありません。もちろん、空白補給地の数からいって西欧の方が侵攻スピードが早い場合も多いです。遠交は対称国を代表とする友好国の成長のためだけでは無く、成長スピードの調整にも一役買います。

北欧、英独露間では英露対独から英独対露に組み変わったように見えます。が、何か連携ミスがあったのでしょうか?うまく動いていないようです。それに加え、出し抜こうとしたのか北海SOが起きています。まだまだ北欧の決着は遠いようです。

低地では北欧同様の小競り合いとなっていますが、ベルギーとイギリス海峡で争っていては、仏は防衛に軍を割かなければならず、しかも急に英独組まれても困ります。早急に制御の手を入れないといけないでしょう。

 地中海については、西地中海周辺はSOとなりましたが、リヨン湾に仏海軍が出てきたのは西側では大きく、また土の東地中海・エーゲ海進出も含めて、伊の修羅場となりそうです。

 東欧に移ってシレジア周辺は独は下がったのに対し露は進出しました。独のベルリン陸軍増設を受けてのSO狙いとして和解と表面上はなるでしょうが、墺のガリシア進出(=ワルシャワまで1マス)も含めて考えれば独露どちらにも頭の痛い問題です。

 そしてセルビア周辺。読みあいでブダペストに露が侵入しました。ここで一つのポイントは、侵入したのが土では無く、また伊でも無く、露であるという点、そして何より1903春であるという点です。撤退先含めて、各国ここの検討がとても重要な盤面です。

 

地形的な話はここまでですが、戦略的な話だと、現在英墺が4拠点ずつから減退していこうとしており、そして利益を得るのはどこでしょうか。そこが利益を得たとき、各国に何の影響があるでしょうか。幸いまだ秋があります。本卓はこの秋を分岐点として、またジリジリとした盤面になるかどうかが変わってきそうです。

移ろいゆく戦線

こんにちは。並行して行われている別の卓と比較すると、こちらは少し秋空寒い、ジリジリとした盤面となっています。大味なディプロマシーも拮抗するディプロマシーも、中々見応えがあります。(プレイヤーはどうでしょうか。)

 

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撤退可能な先は、伊:ルール、土:アルバニア です。墺のブルガリア陸軍は強制解体となっています。

 

1902秋、外交フェイズが終了して、少しだけ情勢の変化が見え隠れする、そんな盤面になりました。

英はスカゲラク侵入とスウェーデンの維持支援で対独の構えですが、北海ではなくイギリス海峡に入ったのはどのような理由でしょうか。「独に腹を見せる」意図の解釈で色々と変わります。露は、英の対称国の墺から土と同盟を組み替えており、このまま対独するのか対露するのかは、自国の利益と全体のバランスの取り合いで難しいところでしょう。

仏は対伊防衛で秋は収めた感じで、ブルゴーニュも領土回復できました。英の英仏海峡海軍と、それについてきたロンドン陸軍が気になるところです。まだ少し他の補給拠点には主力が遠いため、遠方の外交コントロールが重要でしょう。

独はスウェーデンを攻撃する対露と、受け渡したミュンヘンの回復に努めています。しかし東から露が迫っており、またスウェーデンも英露同盟により奪取できなかったため、1軍の増産でも不足しそうな不安な状況となっています。

伊は仏を攻撃しましたが全て弾かれてしまいました。ここから仏の領土を奪うには、英独のせめてどちらかの協力が必要ですが、協力してもらえるでしょうか。またギリシャを確保したものの、ミュンヘンの返却により増設ともなりませんでした。東から来る露土同盟の気配もあり、ブルゴーニュの陸軍を撤退させるか解体させ本土に軍を作るかで、動きが色々と変わりそうです。

露は先期にセヴァストポリ海軍を残したものの、今期は親土対墺に反転しました。また北軍は英と組み、複雑な状況ながらも北欧を維持しています。ここから1年遅れのジャガーノートとなるかどうかは、露にかかっていると言えるでしょう。その分、外交でそのカードをどう切っていくかで、露が衰退せずに成長する道を見つけたい所です。

墺はブルガリアが取得候補でしたが、ギリシャを伊に渡したために、支援不足で奪われてしまいました。露土同盟相手に4軍は心許ないです。ギリシャを渡した伊の協力を始めとする対土対露策が急務でしょう。 初年度に次いで外交が忙しくなりそうです。

土はブルガリアを奪還しましたが、ギリシャの軍は撤退となりました。この先どの補給拠点を狙うかによって、撤退となったギリシャ陸軍のアルバニア撤退または、解体からの本土増設が変わります。今までの外交や同盟の枠組みの流れと、今後の流れの計算によって様々な選択肢があります。伊と同様に、撤退した軍の処置が注目されます。

 

今回はこんな所です。こういったジリジリとした盤面では、各プレイヤーの一手一手の微妙な違いが大きく響くことがあります。慎重にプレイして上手く出し抜き、さらに最後まで気を抜かない事が要求されているように思います。

GMの一休み

撤退フェイズでは動きがあまりない事もあり、解説済みのためGM的にはお休みです。一応、盤面は貼っておきますが。

 

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 常に質問を受け付けるスタンスは変えませんので、プレイヤーの方はお気軽に質問をしてください。

 

ついでに少し自分の話をしておきます。今卓とは全く関係が無いので、読み飛ばしても戦略上なんら問題はありません。

 

全て持論ですので、間違いも意見違いも多い事前提で書きます。

ほぼあり得ない話ですが、ディプロマシーでもし、全員の立場が互角だったらどうなるでしょうか?おそらくですが、皆さんは、他人と会話した時の印象と条件を元に誰を信じ誰を切るか決定するでしょう。

ではこの印象と条件はどこからくるものでしょうか。条件は理屈・左脳ならば印象は感情・右脳と呼べるでしょう。

交渉を受ける側で考えます。交渉の条件は、メリットが無いと感じればもちろんダメですが、メリットが大きすぎるのも問題です。メリットが大きすぎる場合は、どこかに視点欠けがあるか、もしくは初めから遂行する気が無いかのどちらかです。それと、相手方のメリットがあるかどうかも判断材料となります。相手が有利な交渉なら、多少相手方に色があるでしょうし、こちらが有利なら、配慮があってしかるべきです。特に遠方国の外交では、直接的な制裁措置を加えられないため、弱国(交渉面では有利な国)への配慮は重要です。最も上手く交渉が成立すると長期同盟となりますが、これを崩さないためには交渉のメリットデメリットのバランスが必要です。

次に交渉の印象です。これは特に人によりけりなんですが、先入観こみで決定されるため、匿名卓以外では多少、平等ではなくなります。いくつかの交渉パターンを挙げると「スムーズ(≒分かりやすい)な交渉を好む人」「高圧的 or 腰の低い外交に弱い人」「面白い or 期待の大きい作戦が好きな人」「しっかりと理由こみでの説得 or 感情に訴える説得に弱い人」「固い言葉 or 崩れた(親近感のある)言葉に弱い人」…キリが無いですね。感情は総合的に感じるものなので、自分は勘で言葉を選んでいます。ただポイントは、通らないと思ったら口調を変える事です。条件が悪く無く組むのが自然な状況なら、どれかは響くでしょう、おそらく。始めは丁寧語から入って、会話の中で変えていくと良いのではと思います。

相手の感情を操作する…そんな芸当が必要とは思いませんが、相手に気に入られる努力をすると勝ちやすいかなと思います。リアルのことも考えると、なかなか業の深いゲームですね。

 

今回はここまで。次は明日深夜かな?

時は進む

1年半が経ち、各国の主力ががっぷり四つで組み合わさって来た頃です。しかしそう考えると、やはり伊海軍の足はやっと前線という感じで遅いですし、逆に独陸軍は低地諸国(オランダ・ベルギー)を取りながら侵攻するため速いですね。黒海周辺は海軍無しでは支援が届かないためすぐに停滞し、北欧は独の妨害が無かったため英独露全軍揃ってこの1902春から3つ巴の交渉対象となりました。

 

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仏土の撤退可能場所はパリ・ルールとギリシャです。

 

結果的に仏は伊のブルゴーニュと西地中海への侵入を許しました。しかしピエモンテがSOで海軍がマルセイユに戻ったため、南側は海軍2揃えれば簡単に守れますし、ブルゴーニュをパリに撤退させれば、ブルゴーニュに3軍攻撃ですぐに取り戻せます。まだまだ仏は固いと見えます。伊の海軍が2隻ともこちらに来ていれば多少攻略の道も見えてくるところですが、現状だと工夫が必要そうです。東に行った伊海軍はアピュリアがホールドである事から輸送用途に見えます。ギリシャを陸軍上陸で取るのでしょうか。土領まで行くには海軍が不足するのでqそれをギリシャで賄う事は可能ですが、そうすると伊の拠点数が6になります。伊は本土こそ狙われづらいですが、取得した領土の維持が不安定なので、反転して削られるのには注意が必要です。土は黒海を取り返しましたが、露がセヴァストポリに上手く海軍を引いた事で黒海からの有効な支援が難しくなりました。露の余剰陸軍を使えばセヴァストポリを守りながら支援カットが可能です。露の南軍は対土の構えを崩さない一手だったと言えるでしょう。その隙に墺がブルガリアを奪取。ギリシャに撤退可能ですが、戦力差から押し潰される可能性が高いです。対して露の北軍は英に協力する形でデンマーク攻撃でしたが、維持支援された上独海軍のバルト海進出を許しました。英露仲が良いのは珍しいですが、それは独包囲網の結成を意味します。独はキールからの維持支援でデンマーク維持には成功したものの、ルールを空けてしまい結局対仏の一手ブルゴーニュ攻撃は秋に失敗する目算が立ってしまっています。

 

全体的に見て膠着する西欧と少しずつ盤面が進む東欧という形は崩れていないように見えます。ただこれでも盤面に変化は起きており、それは特に露が英に付いたことが大きいと思います。現状伊露が大きいですが、もしここが組めているのならどうやってお互い拡大するかを話すと思いますし、お互いに出し抜き方も考慮していく必要があります。他国はトップ目争いのそういう「出し抜く気持ち」の部分を揺さぶりWin-Winの利益を提示するなど、盤面をひっくり返す計画を立てていく必要がありそうです。

余談

ディプロマシーの地図の略称は複数見受けられますが、オススメはコレです。

 

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尚、実際のボードゲームとして販売されているアヴァロンヒル版の、マニュアル中に出て来る略称とは中大西洋(Mid-Atlantic Ocean)だけ異なっています。

アヴァロンヒル:Mid

上記:MAt

別の地図:MAO

 

実際のボード上では略されずに地名が表示されている為か、別のツール等々で略称が変わるようです。

ただ、略称自体には共通のルールがあるので、正式名称をイメージすると分かりやすいでしょう。良く略称が変わるのは、複数単語のプロヴィンス(province:マスの事)です。

 

略称共通のルールとは、元の単語から大文字小文字を引き継ぐ事です。前の例の中大西洋(Mid、MAt、MAO)もそうですし、リヨン湾(Gulf of Lyon)ならGoLです。他、サンクトペテルブルク(St. Petersburg)はStP、北アフリカ(North Africa)はNAf、北大西洋(North Atlantic Ocean)はNAtまたはNAOとなります。

 

他は大体同じになりますが、別の意味で最もややこしいのはノルウェー海(Norwegian Sea):Nrgとノルウェー(Norway):Nwyの区別です。

こいつは…どうしてこうなったんだ…( ゚д゚)?

 

別段、役に立つわけでもありませんが、知っておくとデキる外交官気分になれるかも?

そして年は巡る

1902春がやってきました。ここからは、最序盤とは異なる、ほぼアドリブで外交が要求される世界です。一歩間違えれば優勢から劣勢に真っ逆さまになるのはディプロマシーの常に近いです。これは当然で、7カ国全てが勝ちを目指しているのですから。

 

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しかし、秋増設で書いた通りで、これ以上言うべきことがあまりありません。

そのため、各国どうするかと言うよりも、状況解説に留めたいと思います。最も選択肢の多かった露がワルシャワを空け、またサンクトペテルブルク陸軍増設とすることで独墺に配慮を示しました。所謂「三帝同盟」(成立要件:独露墺の3国間不可侵)の形です。チロルは伊による春侵入でしたが、独のミュンヘンギャンビット(伊にミュンヘンを貸与して対仏協力を得る)が明らかになり中央三国同盟は継続できるように見えます。ただ、1901秋の墺の動きから言って、墺に無断と見えるため、墺側の印象は悪くなっている恐れはあります。西では英仏の協力体制と見えますが、先の三帝同盟から言って、対独包囲と言うよりスチームローラー(英仏長期同盟)対独伊露という構図で膠着状態になりそうです。東も土の黒海奪還が見えており、伊に対土の余剰海軍が無いため膠着状態に見えます。

 

ここから盤面を自国に利のある方へ崩したプレイヤーの勝ちとなる…のは当たり前と言えば当たり前ですが、その為には遠方国の誘導も同様に重要となります。最序盤と大きく異なる盤面をどう動かすか、柔軟な戦略が必要とされそうです。