適温のブログ

必要になった時のみ運用

たったひとつ

1901春の平穏は過ぎ去り、動乱の秋となりました。しかしまだ、ディプロマシーに潜む闇の入り口に足を踏み入れたばかり。たとえ同盟と言えど、その終わりは思わぬタイミングかもしれません。ただ声のこだまする洞窟で、誰かを信じる他はありません。

 

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 英はヨークシャーオープニング。海軍は東へ北へ、陸軍をヨークシャーへ移動し、その意味は英にとって2増しながら待てる手です。どちらかと言うと対独よりの手ですが、対仏も可能な他、ベルギーではなくノルウェーに輸送する事でイースタンプッシュ(対露)にも繋がります。露が南3軍を選択したため、2増の可能性は高いです。

 仏はマジノオープニング。支援付きでブルゴーニュへ行きます。仏に許された初手対独の一手で、独に行軍で防ぐ手立てはありません。ブルゴーニュはベルギーに手が伸びるのも影響力が大きいところで、ベルギーへ支援や移動、ルール・ミュンヘンへの突撃の手があります。英仏海峡不可侵が成立したため、2増が確定で取れます。あまり見ませんが、3増も無いわけではありません。

 独は親露・親仏・対英よりのオープニングです。陸軍は仏を刺激しないルール・キール行きは普通ですが、最近では珍しい海軍のオランダ移動が目を引きます。キール海軍はデンマークに行く事で、スウェーデンSO(SO:スタンドオフの略)の権限を独が持てる訳ですが、外交上の信用や配慮からか権利を放棄しています。それとオランダに海軍が入る事で、ベルギーに2軍で影響力を持てる訳ですが、英相手にこの海軍を今後どうして行くかは説明が必要でしょう。独は最大3増の可能性が見えていますが、仏のブルゴーニュ侵入がミュンヘン・ルールを脅かしており、また伊のチロル侵入もミュンヘンに隣接しているため気になるところです。

 露は南方オープニングの一つ、親墺対土の一手です。黒海は不可侵を破った…と言うより土の項で話しますが、外交上露が入る事になっていたのかもしれません。黒海SOならばモスクワ→セヴァストポリの移動には意味が薄いですが、今回は有効に働きました。ただ、伊のチロル侵入で対土包囲網が崩れないかどうかは心配です。2増はおそらくできるでしょう。

伊の初手はチロル侵入が目を引きますが、同時にレパント(対土・陸軍をチュニス→シリアへ輸送の行軍)の構えは崩していないように見えます。レパントの際、陸軍をアピュリアに置いた方がヴェニスの守りが利きますが、それをナポリにした事で墺仏共に遠くなります。その点から言えば、アピュリア移動のパターンよりもチュニス輸送は固そうです。が、やはりチロルも気になります。通常チロルアタックはローマ→ヴェニスで行いますので、レパントの構えを崩さずチロルに侵入する事の意味は一体…。チュニスで1増が安定しますが、他を狙えば0〜2増となります。

墺はバルカンギャンビット・ブダペストバリエーションです。セルビアギリシャがほぼ取れます。親伊・親露・対土よりのオープニングですが、ブダペストに入る事でセルビア1軍ではなく2軍でルーマニアに支援や移動が可能です。バルカンギャンビットは対土よりではありますが、現在の墺の主流であり、ここからの動きにはパターンが多いのもあり親土反転もあり得ます。墺は2増が有力、3増は無くはないですが、許す国があるでしょうか。

土はターキッシュ・ヘッジホッグです。始めは対露として開発されたオープニングですが、現在では強力な露土同盟であるジャガーノートの亜種「黒海交換(ブラックシー・エクスチェンジ)」の意味合いが強いです。ただ、露がガリシア不可侵を守った=親墺のため、ジャガーノートに同意したようには見えません。露に黒海に入られた点をどう挽回するか、または挽回するためにどう外交するかが重要でしょう。土は1増が有力です。

 

総評として土がきつい他、独の危険がそこそこ高いと見えます。盤面把握は、ここから各国の方針を聞いたプレイヤーの皆さんが「どこが成長/衰退して、それがどこの国にとってメリット/デメリットがあって、では今後の外交/行軍をどうすれば良いか?」と考える材料となります。

外交では嘘はつけますが、盤面だけは嘘をつきません。他国の命令一つ一つの意味を理解し、本意を看破するのがとても大切だと思います。

そしてその先に、外交の洞窟の暗闇の中にある財宝…補給拠点を多く持ち帰る未来があると思います。