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必要になった時のみ運用

各国解説③ドイツ

各国解説も3カ国目です。西欧最後の国となりますね。

 

1.概要

ディプロマシー地図上、北よりの中央に位置し、土以外の5カ国と隣接する中央国。中央国であることから、比較的陸軍が多いと動かしやすいが、陸軍では英を相手しきれない。また仏との国境も陸軍のみでは独優位ながら、スイスに阻まれ膠着しやすい。さらに弱点を海域に多く持つことも重なって、海軍はどうしてもそれなりに必要となる。

本国拠点付近に隣接した多くの空白補給地(北欧Den・Swe・Nwy、低地諸国Hol・Bel)から得られる序盤の成長スピードと、中央から増設されることで各地へのアクセスが近いこと、攻め込むのに向いた地形であること(比較的マスが細かい)、さらに外交面でも中央国=盤面端を持たない防御力の低さを交渉に活かすことが可能であり、序盤の有利を取りやすいことから非常にスピーディーな拡大が持ち味となる。中央国のため外交量も必然的に増えるので、ディプロマシー(外交)そのものを堪能できる国家だと言える。

 

2.周辺地域(重要度順)

オランダ(Hol:独)、デンマーク(Den:独)…独の第4、5補給地として安定する2拠点。この2拠点では無くても良いが、初年度2増設無ければ独にとっては非常に辛い展開となることを覚悟しよう。序盤にどちらを海軍で取るかで展開は大きく変わる。Hol側に海軍を向かわせれば対英寄り、Den側に向かわせれば対露寄りになる。

ベルギー(Bel:英独仏)、ルール(Ruh:独)、ブルゴーニュ(Bur:仏独)…対仏前線。Belをどの国が取得するかは不明だが、親仏ならばMunを含め上手く交渉してしっかり線引きをし、良好な関係を築きたい。

北海(Nth:英)、ヘルゴランド湾(Hel:独)…英との境目。Belを含む多くの独領に接しており、動向の見逃せない海域。ここに他国の軍がいると、綺麗に守りきるには相当の軍の数が必要となる。対英の際はここを抑えるのが攻防ともに重要となる。親英の場合でもHelは絶対に、Nthはなるべく空白化交渉を通したい。

バルト海(Bal:独露)、スウェーデン(Swe:露)、スカゲラク(Ska:英独露)…独北東の海域。基本的には露と接する。Balは独領3拠点+Sweに隣接しており、独の弱点となっている。侵入を許したくはないが、あまりここに軍が割けないことが多い。露と組むのならば、Skaを利用して露海軍を英に押し出していく。逆に押し込まれる場合の尖兵となるのもSka。初期に北欧を制圧するので無ければ、この辺りは出来るだけ外交で押さえ込んで行きたい。

チロル(Tyr:墺伊独)、ボヘミア(Boh:独墺)、シレジア(Sil:独露)、プロシア(Pru:独露)…独の背後にあたる空白地帯。東欧に手を出すならば使うこともあるが、あまり序盤に進むことは多くない。ジャガーノート(露土同盟・対墺速攻)が見えているなどで、かつどうしても独の行軍で抑え込まねばならないなら、手を出す選択肢が出てくるだろう。Silに露が入って来る可能性はゼロでは無いので一応気をつけよう。Tyrは三国同盟で少なくとも表面上は空白化合意されやすいが、ミュンヘンギャンビット(伊独対仏同盟)などで利用することもあるにはある。

 

3.各国との関係

英:陸海分業によって同盟が比較的組みやすい。しかし一度海軍を揃えられてしまうと崩すのが難しくなる。崩そうとするとBal防衛・Swe進軍にかこつけた海軍の増設や、Nth空白化交渉からの奇襲などの搦め手がどうしても必要になる。本土攻撃するには遠く攻めづらい上に、Nth奪取すると軍数としては楽になるが英からはNthの再三返却要求が来るだろう。攻めるなら一気に攻めるか、Nthの地盤を固める工夫が必要になる。

仏:対英で組める相手だが、その場合余った陸軍をBurに干渉しないようにする必要が出てくる。英を滅ぼす場合、その後北欧を取るにも仏を攻めるにも海戦になるので、仏露の裏切りを考慮しない分には海軍は半々弱くらい作ってもあまり問題にならない。対仏の場合はBurを中心に攻めていくが、独が3陸軍、仏が2陸軍の前線となり陸路では有利が取れる。

伊:近隣国ながら、移動ルートがTyrしかなく、また伊が海軍重視になりやすいため戦争になりづらく、大体の場合友好的でいられる。対仏で組む事が可能だが、伊仏関係は海路距離が遠いため、伊は初手はどちらかと言えば東欧戦線に参加しがちとなる。伊がどこを狙うかによって、西欧・東欧のバランスが大きく変化することから、西欧ながら仲の良い独との関係は欧州全体に波及する問題となる。始めの中央三国同盟でTyrを空ける交渉から、欧州全体を意識して外交するべき相手である。

露:対英以外では直接的な外交が難しい相手であるが、隣接国である事を気にかけなければならない。基本的にSweでSOする権限を独が持つので、独優位で話が進む。やりすぎは厳禁だが、露独の緩衝地帯(Pru、Sil)の不可侵は最低限として、その他自身の路線で色々注文をつけておこう。露側が「現実的」と考えてくれるラインなら、Sweと引き換えられると思って(引き渡すとは言っていない)受け入れてくれるだろう。序盤以降は、拡大させ過ぎに注意しながら北欧の戦力を利用できると良い。

墺:最もコントロールが難しい相手。独と同様の外交の手広さを持っており、また背を預ける相手とも取れる。GSL突破を考えれば、いずれは侵攻する国どうしではあるが、序盤に速攻で潰されるのは中央国不利や東欧有利を作るために良くもない。親交の良い伊土やSweの権利で優位な露を使って、戦力コントロールを仕掛けるのが良いだろう。場合にも寄るが、ずっと背を預け合うつもりでやっていくのもアリではある。その場合は、Munを奪われないようにだけ注意しておこう。

土:独にとって唯一の隣接しない国家であり対称国。当然外交はやりやすく、最も気楽に外交できる相手になる。ただし状況悪化するとジャガーノート(露土同盟・対墺速攻)を選択され、こうなると独も東に軍を割く必要が出てくる。独に良い外交を選択してくれる事が多いので、長期的に同盟を考えるなら「独よりもゆっくりと」成長させるのが良い。独の盤面状況の見やすさを利用して上手く活用していく。

 

4.初手戦術

ある程度は頻度順に記載

①ブリッツ・クリーグ

Ber-Kie、Mun-Ruh、Kie-Den or Hol

DenバリエーションとHolバリエーションがある。Denバリエーションは、独領内でDenとHolの確保を目指しつつ態勢を整える最も堅実な手で、ほぼどこにも敵対姿勢を見せる事が無い。外交との噛み合わせにもよるが大抵の状況に対応でき、かつ2増も難しく無いというかなり万能な一手であるが、どこにでも行ける分、逆にいえばどこに行くか分からないということ。行軍で姿勢を見せるのには向いていない。最大3増まで可能。Holバリエーションは対英寄りのバリエーションで、Belを2軍で狙いつつNthに睨みを利かせられる。ただしSwe SOの権利を失うので、露には友好的な増設をしてもらう必要がある。

ブルゴーニュ・アタック

Mun-Bur、Ber-Kie、Kie-Den or Hol

読んで字の如く、対仏用に陸軍を動かす…のだが、合意SOの場合はその限りではない。Kie軍は、ブリッツ・クリーグ同様Swe SOの権利を失わないKie-Denか、対英寄りのHol行きになる。

③ラインランドオープニング

Kie-Den、Ber-Mun、Mun-Ruh (or Bur)

Holでの1増を捨てて対仏前線を構築するオープニング。Mun-Ruhならば、仏のマジノオープニングにも対抗でき、仏がSpaの取得を優先するならBurに侵攻できる(仏がBur侵入した場合、撤退でのBel占領を防ぐためBelは英領にして貰う必要があるが)。スチームローラー(英仏同盟)などが懸念される場合に選択する事がある。

④バルバロッサ

Ber-Pur、Mun-Sil、Kie-Den or Bal

強烈な対露オープニング。バルバロッサは通常Balに行くが、Denに行く方が安定するためそちらで記載している。英相手もそうだが特に仏に対し背後がガラ空きになる上、2増設も確約されない。墺土(英)と連係してWarを初年度で独領とし、対露速攻を完遂させるための行軍。実現にはかなりの外交手腕が問われるだろう。

ボヘミアン・ラプソディー

Kie-Hel、Ber-Pur、Mun-Boh

墺露英に向けて軍を進めるネタ行軍。HolかDenで一増しやすいが、何よりも信用を失うのは中央国では致命的と言える。

 

5.増設方針

対仏ならMun陸軍が優先されるが、Munは埋まっている事も多く、陸軍であれば親英という意味ではそこまで問題にはならない。しかし後程の対英を考えるなら、最低でも2海軍にはしておく必要がある。その事を把握している英なら、交渉条件に海軍増設をBerにすること、増設は1海軍までとすることなどが条件に含まれる(でなければ、独が組んでくれないから)。言い訳には北欧とBalの制圧が挙げられやすい。

対英時はKieへの海軍増設が主になる。しかし陸軍が無ければ仏露挟撃には耐えられないので、陸軍は最低でも3は用意、できれば4にしておきたい。ただしNthに海軍がいると、何かと使い勝手がいいので対英後にも海軍数は必要となる。陸軍の方が海軍より少なくならなければおおよそ問題ない。

 

6.将来展望

東西GSLに接しているため、越えるのは容易…ではなく、逆にMun・Ber辺りが狙われやすいことに注意が必要。西欧から取りやすい東部GSL内部の拠点はTunであるので、独が東西GSLを維持するのは難しいだろう。取るならVieやVenなどよりもWar&Mos辺りが取りやすいだろうか。

序盤はとにかく拡大をする、というプレイイングも可能だが、まずは独は外交の目を磨こう。独は土>伊>墺の順で東欧に仲の良い国が多い。そのためその中で各国が盤面をどうしたがっていて、どことどう組みたいかという情報が最も集まるので、独が育つ盤面になるよう必要なところに情報を流して反目させたり、友好関係を後押ししたりし、また想定される東欧の状況と併せて英仏露の中で組む相手を決めて行く。露とのSwe SOの権利も含めて、外交カードが多いので上手く切っていこう。そうして、最終的に望む形で成長できるよう手を回していく。

同盟では、対仏包囲(英独伊)、英独同盟、独仏露同盟(アシカ作戦)、独仏同盟(アシカの日)が主体となる。他、対露速攻や対墺も選択肢としてあるが、かなり選択されにくい。中央国である以上、同盟できたとしても、同盟完遂後の挟撃や反撃不能な膠着状態を作り出さないよう立ち回っていく必要があり気が抜けない。

対仏包囲(英独伊)…伊を西進させるには、東欧の対土包囲が要求されるケースなど、伊の要求をある程度飲む必要があるケースも多い。しかも、独の取り分はBel、Parの2拠点となり、完遂後北欧のSweを加味せず7拠点、英伊はStpが露領なら6拠点ずつであり、あまり間の国としての有利が無いように見える。しかしこの同盟のメリットは、英伊がどちらも海軍国となるため、その陸海分業を続けながら英伊どちらにつくかを決める権利を独が持てるところにある。もちろん、英伊が大西洋と地中海で住み分けしないよう外交のコントロールは必要になる。

英独同盟…仏露挟撃に対応する同盟。完遂後、英海軍に対抗する手立てが必要なのがネック。英が海軍での成長を望み、そのまま対伊に向かうか、陸軍を露領に送り込んでそのまま南下を狙うならずっと組むことは一応可能である。しかし英独どちらかが西欧の覇権を望むなら、反撃の手段を用意しておかねばならない。手始めはNthの取り扱いであり、Nth空白化を要求する必要がある。Nthを握られている以上は独領の防衛に多くの軍を割かねばならないので、対仏・対露へのスピードアップに軍の必要性を説くなどしてNth空白化を達成させ、Nthを狙いながら英本土以外の拠点を奪い取り海軍数で上回ろう。もちろん、伊露が生きているなら利用するのも○。

独仏露同盟(アシカ作戦)…速攻を選択した場合は「アシカ作戦」と呼ぶ。仏Bre-Eng、独Kie-Hol(Denでも不可能ではない、その方が奇襲味は増す)、露Stpシステム(Mos-Stp)から、秋にEngの支援でHol-Nthと奪う。撤退させた英Nthが空白補給地に入れないようにしておく必要もある。Nthを奪うと英と和解はかなり難しくなるので、Nth奪取後は完遂を目指すと良いと思われる。拠点の振り分けは、個人的に独Bel、Swe、Lonをオススメしておく。露がNwy、Edi、仏がLvpとなり、露の北軍3、仏6、独8となる。仏のLvp取得が早い場合には仏の対独反転による同盟瓦解の危険が出てくるので、外交による進捗管理をしっかりと。露にEdiを取得させるのは、Edi取得を目標とさせ時間をかけさせる事で、対英協調を続け露仏の対独挟撃を遅らせる狙いである。そのためにも、一時Swe露領としてからNwyに海軍を押し出すことをオススメする。露が北欧に興味が薄いなら、Edi仏領でも構わない。

独仏同盟(アシカの日)…速攻に露が参加しない場合を

アシカの日と呼ぶ。ただし同盟関係的にも領土権的にも独仏露同盟と大きくは変わらない。信用が高く問題ないと思える場合には、独仏同盟を続行して対露や対墺する場合もありうる。

 

7.その他

…こだわりのため多少多く書いたが、各国の情報を収集し、その中で理想とする盤面を決め、それに向かって各国を動かしていくという基本が最も求められるのが独と言える。中でも、各国を動かす力は高いので、それを有効に活用するように。他国からもそれを「各国に望ましいように」求められるので、そこを上手く時には受け止め、時にはかわし、時には反抗していくと良いだろう。

尚、ネタ行軍として「ケーニヒグレーツの幻想」というのもあるが、ここでは紹介しない。