適温のブログ

必要になった時のみ運用

各国解説④イタリア

東欧に分類され、一応は中央国の仲間とされるが実態は…そんなイタリアで折り返しです。

 

1.概要

イタリア半島を本土とする国家であるが、海軍国としての立ち位置が強い。中央国の一国としてカウントされるが、中央国と言うには盤面南端を取得でき、スイスとの間で柱のように国家を形成できることから中央国とも言いがたい。イタリア半島は陸路はスイスで塞がれ、海路は拠点密度が低く地形が大きいため、陸海ともに進軍されにくく、結果挟撃も受けづらい。

初年度安定して取得できる拠点としてTunを持つが、それ以外の空白補給地にも海軍でしか手出しが難しい。また、防衛も陸軍2あれば陸路はほぼ事足り、海軍の重要性がとても高い。そのため英以外の国と地続きでありながら本ゲーム中2番手の海軍国となっている。その海軍の進軍の難しさから、その行軍には非常に気を使わされるため上級者向けと言える。

 

2.周辺地域(重要度順)

ティレニア海(Tys:伊)、トスカーナ(Tus:伊)…伊の弱点とも言える領海・領土で、ここに敵国の海軍/陸軍が侵入すると伊の勝機が見えなくなる。仏のGas以上に追い出すのには苦労するので、確実に守りたいエリア。攻勢時はあまり出番はない。

イオニア海(Ion:伊)、アピュリア(Apu:伊)…Tys、Tus同様に伊の領海・領土であるが、Tys、Tus程の危険性はない。それでも侵入されるととても苦労するので、気は抜けない。基本的には東欧への輸送など対土・対墺攻撃拠点として機能する。

チロル(Tyr:墺独伊)、トリエステ(Tri:墺)、アドリア海(Adr:墺伊)…墺伊間は本土が隣接しており、VenとTriは緊張状態になりやすい。そこにさらに支援を加える為の2地点がTyrとAdrとなる。ただし、Tyr・Adr両方に軍を入れられなければ2軍で基本どちらも防衛できるため、渋滞しやすい。同盟時はお互い空白化合意がベスト。本土にTriしか港を持たない墺に海軍の増設をされたく無いなら、Venに軍を置いておくのも一考の価値があるかも。

チュニス(Tun:伊)…伊のために作られた補給拠点だとか。初年度から安定して取得できるが、最近は初年度に取得しない選択肢もリスキーだが出てきている。対墺ではない場合、Ionから輸送による陸軍で取得するかそのまま海軍で取得するかで、対土(陸軍時)か対仏(海軍時)かが定石によりある程度判断される。

ピエモンテ(Pie:伊仏)、リヨン湾(GoL:仏)、西地中海(Wes:仏伊)、北アフリカ(NAf:伊仏)…仏伊間の緩衝地帯。基本は空白化で合意するが、伊の対仏時に特に守られることは無いし、序盤にはあまり無いが仏の対伊時にも守られることは無い。Pieは唯一初手で行ける対仏で、ただし陸軍1つなので他は対土に使うなどもできる。GoLは入れると対仏を強力にアシストできるが、ここにスムーズに行く初手行軍はウェスタン・レパントというリスキーな行軍のみ。Wesは対仏で入りやすいが、どちらかと言うと対仏攻撃よりも英海軍をMidに誘導するための拠点として機能する。NAfは、西側と戦争する際に、Midにアクセスできる場所として使うことがある。あまり陸路としては利用されにくい。

 

3.各国との関係

英…対仏で協力できるが、その後Midを巡る海戦となりやすい。完遂前ならPorを渡さずにいられると考えればMidの取得はしやすくなる。また、英が拡大するのを独仏露で止められなくなった場合、止める役目になるのも伊になる。北欧を伊の対称国である露と奪い合いになりやすいが、北欧に陸軍を輸送されなければ露の南軍は生き残りやすい。英露関係も含めて、中々一筋縄ではいかない外交相手となる。

仏…露が仲介する事で仲良くできる相手ではあるが、親仏で動いたとしても特に情報共有以外で協力できる事は少ない。むしろ成長競争となり、軍に余裕が出来た方がもう片方に攻め込むという展開になりがち。対仏については、伊の対仏は特に一国では攻め込みづらく、英独の協力無くしては進まない。対仏をやると決めたらちゃんと、特に海軍を用いて攻め込まないと成就しづらいが、そこまですると今度は露の南軍が厳しくなる。対仏はよくよく考えて選択したい。

独…西欧での対称国と呼べる立ち位置。陸海分業も頼もしい。伊が対仏時は結構譲歩を要求できる相手であるが、東欧攻略時は情報共有に留まる。ただし、独の所持する東欧の情報量は非常に多く、独にとって伊が好ましい動き方(対仏・対墺・対土など)でないと良い情報をくれない事も多い。友好的なら、本来得づらい土や墺の情報が得られるなどメリットが大きい。スイスのおかげでお互い攻め込みづらいので仲が悪くはなりづらいが、悪くなるならなるでちゃんと他国からの情報収集ルートを確立しておきたい。対仏にせよ対墺・対土にせよ、陸路からの対露は控えてもらうよう気をつけておこう。

露…東欧の対称国で、独よりも頼り頼られる相手である。攻撃力の低い伊にとって、露の南軍が生き残るかどうかは、伊が東欧に侵攻できるかに非常に大きく関わる。その点と、露の北軍が仏の対称国となる事が合わさって、仏伊戦争を嫌うが、どこかで対仏はしないといけない事を覚えておこう。仏の初手からの対伊は滅多に無いが、逆は大いにあることから、対称国でありながら初年度から全ての情報が露伊間ではやりとりされないことを念頭に置いて外交を進めよう。

墺…本土が隣接するため非常にシビアな外交が展開される。ただし初年度に墺側から伊に手出しする事は難しい。防衛のための攻撃はたまにあるので驚かないように。この本土隣接問題を解決し同盟するための方策が幾つも考えられてきた。独を仲介役とする中央国三国同盟、Ven・Triの空白化、南から対土で陸軍を輸送するレパント(伊)、伊の陸軍を初年度にSerまで押し出すキーレパント(伊墺)、さらにその派生で初年度Tunを取らない対土強襲キーレパント(伊墺)(Nap-Ion-Aeg)…と言った具合である。成長速度としては墺が勝つので、放置し過ぎれば攻め込まれ得る。そのため墺の成長前に攻め込みたいところだが、序盤の対墺は独土がそれを許すかどうかが難しい。一度同盟を組んでも、ずっと粘り強く外交をし続けなければ、同盟を維持できない難しい関係となる。

土…伊を第2の海軍国とするなら、第3の海軍国は土である。Aeg(とEas)を領海とする土は、海軍で成長されると敵対せざるを得ない。土が親露でも親墺でも、墺露どちらも陸軍国なので放置すると海軍を生産されやすい。伊土友好時は地中海側の海軍は1隻までに抑えてもらう必要がある。2隻目を許すと、Ionの大きさが邪魔をして攻め込めず一方的な防衛となりやすい(Greに2隻目の海軍を持ってきてようやく戦力2、土側はAeg・Wes・Bluの3隻まで並べられる)。露の南軍が落ちて墺がTriに2隻目を建造するなどのやむを得ない事情がない限り、あまり大きくなって欲しくない相手となる。対仏時も、土の動き、特に増設については常に気にかけておきたい。

 

4.初手戦術

ある程度は頻度順に記載

レパント

Rom-Apu、Nap-Ion、Venは自由(HやTus、Pieなど)

01秋:Apu-Tun、Ion C Apu-Tun

01増設:Nap海軍

02春:Ion-Wes(or Aeg)、Tun H、Nap-Ion

02秋(02春Ion-Wes時):Tun-Syr、Ion C Tun-Syr、Wes C Tun-Syr(or -Smy)

対土のための行軍として開発されたが、01秋の動きで対仏転換も可能(その場合Ion-Tun、元Ven軍はPie以西に進軍)であるので自由度も低くないため、初手としては選びやすい。対墺にはあまり向かない。対土続行の場合は、Aegを睨みながら(土の海軍と読み合いにもなるが)Wesを奪って土の背後であるSyr(あるいは直接Smy本土)への輸送を実現させる。輸送で海軍がIonから1ターン動かない事がミソで、余りがちな陸軍を有効活用する思想から、この行軍が実現している。対土としてはとても早く有効なのだが、02年は成長できないので、成長速度が早い訳ではない。その時間がもたらす欧州の状況の変化が、あまりレパントの完遂をさせない要素となっている。アレンジとしてVen軍をTri経由で墺領を通過させる(通常、墺の了承が必要)のをキーレパントと呼び、さらにその際墺領で得られる1増設があることから、秋にTunを取得せずIon-Aegとする手もある。この場合、墺は代償として墺の対露の許可を伊に要求するため、その覚悟が必要である。

②チロル・アタック

Ven-Tyr、Rom-Ven、Nap-Ion

中央三国同盟で不可侵とされるTyrに初手から突っ込む事で、Triに2軍で攻め込む姿勢を見せる。墺のサザンヘッジホッグ(Tri-Ven、Bud-Ser、Vie-Gal)や、余裕によっては独のMun-Tyrなどで防がれる事もある。直接的な対墺の1手であるが、これ以外に初手Ven-Triもアリ(スタブレパントと呼ばれる)。墺の滅亡が早いのとMunに隣接するので独に嫌われやすいため、その点は注意。ここからさらなる対墺としてボヘミアンクラッシャー(Tyr-Boh、Ven-Tyr、Ion-Tun、Ven陸軍増設)への派生があるが、土に地中海での海軍数で負けないように注意が必要。また対仏への派生として秋の祭典(ミュンヘンギャンビット(伊が独領Munを借りる)の派生)がある。01秋Ven-Pie、Tyr-Mun、Ion-Tunとし、Nap海軍と、Rom海軍かVen陸軍(墺の信用度などにより変化)を増設する。ここからさらに02春Tun-Wes、Mun-Bur、Pie-Mar(SO)、独Ruh S Mun-Bur、英Bel S Mun-BurとしてBurに伊陸軍を進軍させる事で、Marを伊独力の2〜3軍にて攻撃できるようになる。Mar取得が確約された時点でMunを独に返却するので、増設には良く良く注意が必要。支援カットされやすいBur軍が伊軍であることにより、Marを伊領とするためにBurから支援ではなくBur-Marと移動すれば良いため、比較的スムーズに対仏できる。独の負担はかかるが伊としては有力な一手。

③アルプスのチキン

Ven-Pie、Rom-Ven、Nap-Ion

対墺対仏どちらか分からない、中途半端と言われる初手のため、チキンの名がついている。Tunは取りに行くが、Pieを攻めでもTyrに2軍で攻め込める…という状態になる。レパントではないため対土にはなりにくい。対墺防衛でも機能する。

ウェスタン・レパント

Ven-Pie、Rom-Tus、Nap-Tys

01秋:Tus-Tun、Tys C Tus-Tun、Pieは自由(通常、Pie-Mar)

01増設:Nap海軍

02春:Nap-TysTys-GoL、Tun Hなど

全力の対仏行軍。Tunを取得しながら02春にGoLに到達できるのが魅力。自動的にVenが空いてしまうため、墺側がバルカンギャンビット選択など伊に向かう気が全くない場合などに選択できる。またIonも比較的無防備になってしまうので、墺土戦争とは言わずとも露土墺の駆け引きで墺土間は同盟ではなく泥沼…くらいの状況は必要。攻め込めるチャンスがあれば早めにTun陸軍を仏領に輸送し、危険を感じるならこの場合も早めに本土防衛に戻す必要がある。

 

5.増設方針

初年度の1増設は、攻防一体のNap海軍が推奨される。それ以降の増設は、墺領や仏領に陸軍でなだれ込める状況や、土領へ輸送できる状況なら陸軍を選択しよう。他は海軍が良い。東欧には、海軍で維持しやすい拠点(伊領Nap・Rom・Tun、Gre、土本土(Smy・Ank・Con)程度)のうち空白補給地が驚くほど少ないので、序盤は海軍の方が大切ながらも、動かしづらい陸軍も運用せざるを得ない。仏領であるイベリア半島(Spa、Por)も西欧ながら海軍で維持しやすい拠点であるため、伊にとっては垂涎ものであるが、取得のし辛さとそこを攻撃中に放置されやすい対称国の露の南軍の事を忘れてはならない。

伊の場合は基本的には、割合というよりも取得した拠点を維持できるように増設を考えていく。

 

6.将来展望

東欧と西欧の間のような立ち位置で、どちらも攻撃できるがとにかく移動に苦労する。またTun以外の拠点も取得後安定しづらく、維持に軍を割くため国力が増えても攻撃力がさほど上がらない。防衛も考えると攻撃に使えるのは最大3軍、少ないと2軍どころか1軍のケースもある。

攻撃力が低いのに攻められては全くもって成長できない上、多少の成長では押し返されるので、墺土同盟で攻めてくる土や、初手たまに攻めてくる墺、成長すると攻めてくる仏の攻勢は外交戦略で回避しよう。例えば、言葉尻を捉えられるなどで、こちらが「攻めたい」と思っている気持ちを悟られて先に反撃されてはならない。伊の成長後も、伊よりも攻めねばならない国を残しておくなどの策が必要となる。

成長のためには、もちろん同盟国が必要で、西欧なら独(次点で英)、東欧なら露の南軍を頼りとする。特にどちらかと言うと東欧なので露の南軍が潰されないようにしたい。あるいは、対仏して中途半端に信用を失ってジャガーノート継続に持ち込まれる、または英独同盟から独の裏切り無しで英に地中海まで南下されるのも負けパターンとなるので、望みの枠組みを作れたからといって油断しないこと。基本自由に動けるが、常に同盟国を持たねばならない意識が重要になる。同盟するにはその状況だけではなく、中長期的な視点で信用できるかどうかも問われやすい。軍を動かすのに時間がかかるのなら、尚のこと先を考えて動くように気を配ろう。

 

7.その他

伊の外交は特殊で、交渉カードは「どこに攻めるか」というもの。拠点を渡すかどうか、とある地点を空白化するか、何を増設するかなどではないのが特徴的。そのため他国も外交時は「枠組み」での交渉となりやすい。一味違うディプロマシーを体感できるが、この点はあまり初心者向けとは言えないだろう。