適温のブログ

必要になった時のみ運用

各国解説⑤ロシア

5カ国目はロシア。イタリア同様、東欧と西欧の間にいる国ですが、その立ち位置もプレイスタイルも大きく異なります。

 

1.概要

マップ東端に大きな本土を持つ大国。最初から4拠点もある上に全てのマスが大きく描かれているため本当に大きく見える。1日卓など時間制限で拠点数を競う場合は別だが、ロシアは南北に海軍が割かれており、通常の拠点数でのカウントでは有利不利を数えることができない。尚、ディプロマシー中では北欧やサンクトペテルブルクは「西欧」という括りとなる(東西GSLの影響)。露の南軍は東欧に、北軍は西欧に…という扱いだが、陸軍はどちらにもシフトできる。このためディプロマシー2番手の陸軍国であり、上手く活用できると良い。

初期配置の東欧側…南軍が3軍、西欧側…北軍が1軍であるが、ワルシャワから西へ、モスクワから北へ行けばどちらも西欧側にアクセスできる(用途は大きく異なる)。露は最初から東西GSLを超えているため、拡大さえできればあまり深く考えずとも制覇しやすい。ただしもちろん、この記事を読んだ方など有識者はそれを踏まえて外交と行軍を考えるため、一筋縄では行かなくなるだろう。

 

2.周辺地域(重要度順)

ルーマニア(Rum:露墺土)…露が墺土露の3国のうち2対1の多数派に入ることができれば取得できる。初期の最有力追加補給地なので、是非とも取得したいが、南に3軍向けたとしてもGalやBlaでSOしていると支援込みでは入りにくくなる。どちらかのOKが貰えるよう、墺土離間を進めよう。伊も協力してくれる。Rumを陸軍で取得するのが通常だが、海軍で取得すると(対墺しづらくなるため)親墺となる。この時Blaを土に取られる事もあるが、陸軍がSevにいるなら土の背後Armを睨める。よく考えて選択する事。

ガリシア(Gal:墺露)…墺との緩衝地帯。初手対土を見せるなら不可侵や合意SO、逆に対墺を見せるなら不可侵からの裏切り侵入になる。最悪の場合墺側は支援付きで侵入され露のRum取得は難しくなるが、その場合墺も2増設は厳しくなる。墺と仲良くしたいなら、合意SOも含めて空白化を維持する事。独が親墺の場合、SweでSOしない条件にGalの空白化を含めることがある。

黒海(Bla:土露)、アルメニア(Arm:土露)…土との緩衝地帯。Blaは頻繁に土海軍とのSOが為される。周辺に多くの拠点を持つため土と駆け引きの場となるが、海軍国である土に勝ちBlaを維持することは、墺伊双方の協力がなければ難しい。Sevへの海軍増設が増設バランス的に難しい事もあり、取れてもあまり長時間の維持は出来ないだろう。ジャガーノート(露土同盟・対墺速攻)の亜種などでは、露海軍がBlaを通過し地中海に出たりArmに行って解体されたりなどする。そのArmは、陸軍で侵入できれば土の首根っこを掴めるのだが、奇襲で海軍で入るのが関の山でむしろ土側の対露用陸路として使われやすいので注意。

スウェーデン(Swe:露独)、バルト海(Bal:独)、ボスニア海(Bot:露)、フィンランド(Fin:露)、リヴォニア(Liv:露)…北欧の南側海域。独露間の緩衝地帯その1。初期配置で海軍がStp南岸にいるため、初年度狙える補給地はSweとなる。だが独海軍が初手でDenに行くと独にSOの選択権が行ってしまうため、最初からそのつもりで外交を進めること。基本はBot経由でSweを狙えば良い。そこからSOを察知してBalに行った場合、独と険悪になるのはもちろんだが北側に増設がなければStpが英から空き巣を狙われる。Mosに陸軍がいれば守れるがそれはそれで動かせる軍の数の負担になるので、空き巣はBot海軍に守らせる方がやりやすい。リスキーな選択と理解したうえでBal行きを実行すること。尚、親独時はSwe侵入後Stp増設してSwe海軍をNwyに動かしてSweを独に明け渡す方が、StpもNwyも守りやすく対英もしやすく手堅い。Finは陸軍がいると北欧が安定するがそこに割く軍が無いことが多い。Livは昔、Sweへの輸送拠点などで使われたことがあるようだが、StpやMosへの支援地点としての意味合いくらいしか無く価値が低い。

ノルウェー(Nwy:英)、バレンツ海(Bar:露)…英露間で衝突し得るエリア。特にNwyは英の第4補給地となりやすいが、Stpと隣接されるため同盟には骨が折れる。対独でSwe露領、Den英領となればStpから順に補給拠点が縞模様のようになり、とても不安定な形となる。対独包囲ならむしろ独本土を貰うなど策を練ろう。初手をMos-Stpとした場合、英のNwy取得を妨害できる(もちろん、支援で無理やり入られる事もあり得るが)。逆に英の対露で、Nwyへの輸送やBarへの侵入が行われるとStpが維持できなくなる。特に陸軍がStpに入るのは滅亡の危険が大きい。仏など含めてよくよく抑え込むようにしたい。

シレジア(Sil:独露)、プロシア(Pru:独露)…独露の緩衝地帯その2。こちらは完全に独の背後であるが、露は南軍が忙しいと手を出す余裕がない。独側も対仏が忙しい時手を出す余裕が無いが、逆に対英時は陸軍が余るため手を出してくる可能性が否定できない。仏を救う場合など、ご利用は計画的に。成果なく押し戻されて信用を失っても損するだけである。

 

3.各国との関係

英…北欧で睨み合う関係。独の協力が無ければこちらからの手出しは難しい。下手に大きくなると、海軍数の差で露が協力しても押し返せない場合が多い。最悪北軍を捨てて、ただしStpは海軍で取ってもらおう。それならいつか取り返せるかもしれない。対独協力できるが拠点の振り分けは根気よく繊細に行い、お互いが納得のいく形としたい。

仏…露が仏の唯一の対称国であるため、情報はほぼ筒抜けになる関係。変に策をこじらせる必要もない。ただし、仏の対伊だけは情報が来ない場合がある。弱い北軍を上手く運用し、南北共に拡大していく為にしっかりと連携したい。

独…陸軍国同士であまり仲が良くない上に、SweのSO権で難しい関係になりがち。ただし独は対英にも難儀しやすいので、そこにつけ込む隙があるだろう。ただ、Swe取得条件の一つにStp北岸への海軍増設というものがある。Stp北岸海軍は対英だが、露としてそこまで対英に攻め込む気が無いなら陸軍の方が南にも気を使えて重宝するので難しいところ。仏に加え伊の協力があれば、同盟はともかく不可侵程度の友好関係は築きやすい。

伊…露の大事な南軍側の対称国。ただし露からはコントロールが難しく、対仏に行ってしまったり墺と仲良くして墺の対露を放置する場合なんてのもある。伊が盤面をどう捉えて露にどう動いて欲しいのか、しっかり話さなければきちんと組んでは貰えない。露をちゃんと長い目で同盟国と捉えてくれれば、英独の情報なども貰えるため勝率は大きく上がるだろう。

墺…独以上、露以上の陸軍国でとてもぶつかりやすい。露からすれば補給地の塊であり、陸軍は邪魔なので組みたい相手とは言いづらいが、伊や独の要請、Blaで土と揉めるなどで対墺ができないケースも多い。墺側が海軍を作るようなら、墺露長期同盟もあり得るのかもしれないが…それ自体が難しいというのがハードルが高い。一応、Galの空白化とRum露領さえあれば墺露間は基本平和でいられる。

土…Blaで海軍同士の衝突が多く、また露側の侵攻ルートの少なさから攻めづらく、組みづらい相手。伊が海軍で背を突きやすいが、その場合露墺程ではないが時間がかかる。組む場合は後ほどの事を考え、伊滅亡後でも仏の海軍と協力して止められるようにしておくなどの策を考えておこう。色々な同盟策が考えられてきたが、最も簡単なのは墺とのGal同様BlaでSOし続ける事である。ただし、その場合対墺攻撃力はとても下がる。

 

4.初手戦術

ある程度は頻度順に記載

南側に3軍向けるのを「南方オープニング」、北側に2軍向けるのを「北方オープニング」と呼ぶ。これはロシア共通。

①サザン・ディフェンス

Mos-Ukr、War-Gal、Sev-Bla、Stp(sc)-Bot

汎用的な南方オープニング。BlaやGalは合意SOの場合も多い。様子見しつつUkrに進軍しRumを窺う。汎用的だが対墺・対土などの姿勢は見せづらい。土Smy-Arm、Ank-Conとなると、秋に土Arm-Sev、露Bla-Conとしてジャガーノート(露土同盟・対墺速攻)の一種のブラックシーエクスチェンジへの派生がある。

②ターキッシュアタック

Mos-Sev、War-Ukr、Sev-Bla、Stp(sc)-Bot

Gal不可侵合意時の南方オープニング。土のターキッシュヘッジホッグ(Ank-Con)などでBlaでSOしない場合にSevに陸軍を置けるようになり土にとって非常に驚異的となる。が、大抵はBlaでSOするので、Mosに残りやすい。ただし土のロシアンアタック(Ank-Bla、Smy-Arm)などでMos軍はSev防衛に回せるので損はしない。

オーストリアアタック

Mos-Ukr、War-Gal、Sev H(or -Rum)、Stp(sc)-Bot

対墺用南方オープニング。通常Sev-Rumだが、墺の対露がBud-Rumの時代にSO目的などで選択されたようなので、現行主流のSev Hで記載。この場合、秋にRumへの支援をSevから出せるのが利点。土との合意次第ではSev-Arm(Arm合意SOや、秋にArmを土軍で解体(スリングショット・ジャガーノートへの派生)狙い)もアリ。Bla不可侵合意時などに。露よりも土にとって重要度が高いBlaに侵入される可能性は高いので、その点注意は必要になる。伊土に親土対墺の姿勢を見せることができるオープニング。

④Stpシステム

Mos-Stp、War-Ukr or Gal、Sev-Bla、Stp(sc)-Bot

北方オープニングのうちMos-Stpを選択するものをStpシステムと呼ぶ。現行の北方オープニングはこれが主流。アシカ作戦(仏独露による対英速攻)ではこれが採用される。このうち、War-Ukrはスクイッド(イカの英訳)、War-Galはオクトパス(タコ)と呼ばれる。最も主流はスクイッドである。三帝同盟(墺独露の3つの陸軍国家による同盟)成立時などでGalは不可侵となり、南側が初年度対墺でなければ陸軍を割く必要が薄いので、スクイッドが候補に上がる。北の英を妨害できるが南は大分脆くなるので、墺露対土の確信が持てる時に実行しよう。また、伊側がこのオープニングを嫌う場合もあるので、そこを外交で躱せる場合でないと難しい。北方オープニング自体の採用率が高くないが、特にスクイッドが有力手なのは間違いがない。対英の重要度が高いと判断されたら、Stpシステムを選択肢に入れよう。

ワルシャワシステム

Mos-War、Warは自由(War-Ukrなど)

War-UkrならばGalに2軍隣接させられる。墺との関係性がどうしても悪く墺Vie-Gal、Bud S Vie-Galが見えている場合などに。SO狙いならサザンディフェンスでも問題ないが、こちらなら対墺しない姿勢を見せられる。

⑥ジャーマンアタック

War-Sil、Stp(sc)-Bot、他自由

仏のBur侵入が無いと厳しい対独の北方オープニング。北方オープニングは陸軍を投入するのでどうしても対墺防御は下がる。墺露同盟して独の対称国たる対土に残りの軍を使う感じになるだろうか。

リヴォニアシステム

Mos-Lvn、Stp(sc)-Bot

01秋:Bot C Lvn-Swe、Lvn-Swe

昔使われていた北方オープニングの一つ。Sweを陸軍で取得し海軍はBalを睨むので対独寄りであるが、他の北方オープニング同様墺に弱い。また現環境は独Kie-Denがとても多い為、輸送までしてSwe SO貰うくらいならSilに入ってしまう方が良いだろう。

 

5.増設方針

南北の軍の連携をとるために陸軍を基本とする。しかし近隣国の要請は大概、その近隣国に攻め込めない位置への海軍の増設(例:独のStp(nc)海軍増設要請など)である。時間制限などであまり外交が多くない卓なら、話してないのをいいことにしれっと陸軍を増やすのが良い。少なくとも最初の1増設は陸軍としたい。北側に1、南側に3も陸軍があれば本土がとても安定し動きやすい。もちろん、海軍が減れば対土・対英は難しくなるが、そこは元々他国の力も頼って攻略する位置である。陸軍増設チャンスを逃さないようにしたい。ただしもちろん陸軍が増えてくれば対墺対独路線なので、その点は把握して先を読んで運用すること。

 

6.将来展望

GSLで言えば、初期配置で東西GSLを跨いでいる上に、少し南下すればすぐ南北GSLを越えられるので、他国に比べあまり悩む必要はない。露は敵対しやすい近隣国(英独墺土)と、協力しやすい対称国(仏伊)がはっきりしており、近隣国間では露を抑える方策(どの国が抑えていくか)が議論されている。この近隣国間が友好的なままだと、そのうち滅ぼされるか、良くて成長できない生殺し状態にされてしまう。なので外交で粘り強く墺土間、英独間の離間を進めよう。そこに亀裂が入れば、露の成長の目が出てくる。

基本は南方オープニングを選択すれば良いが、北方オープニングも忘れないようにしたい。南方には余裕があるのに北方(Stp)が潰された…では勝機が遠のく。南北どちらも少しずつ上手くいくように、常に盤面を見て南北の勢力をコントロールしていく。他国と比べて南北どちらでも成長でき、また盤面端を背にすることから拡大を急ぐ必要はない。攻め時を見誤らないようにしたい。

同盟では、南方は対土包囲(墺露伊)、対墺包囲(露土伊)、ジャガーノート(露土)が有力な選択肢。北方はアシカ作戦(独仏露)、対独包囲(英仏露)辺りが選択肢に上がるだろうが、オープニングの選択によって力の配分が大きく変わり、両立しづらい択もある。

対土包囲(墺露伊)…露のSev海軍一隻ではBlaを奪う事は難しいので、墺伊の海軍に動いてもらいAegやEasを狙う形になる。Rumを取得して以降はしばらく待ち状態となるため、Gal不可侵が成立すれば北に手を割きやすい。露の取り分はRumに加えAnkである事が多いだろう。特に墺が土の拡大を危険視する際に選択されやすいが、やはり陸軍国同士なので対露反転も割と多いので注意はしておくこと。完遂後は伊と対墺挟撃するか、対独などに路線変更があり得る。

対墺包囲(露土伊)…墺を攻めるのは露が主体となる。この場合、伊が完全に東欧に絡む場合は、Greを伊領とするか土領とするかという問題が始めに生じるが、そこは伊土間に任せて良いだろう。露の取り分はRum、Vieとなる。伊がTriとGreまたはBudなど、他が土領…という具合に変化しやすい。Rumを土に渡して露がVie・Budというのもアリ…というか、土はこちらを好むかもしれない。ジャガーノートの形に伊が加わる場合もこの状況になる。完遂後対土するか対独などに路線変更するかは好みと状況で分かれる。対土包囲に比べて陸軍を増設しやすいので、陸軍を少し北に動かせば対独は実現できるだろう。ただし初年度から2陸軍を対墺に使うので、北方オープニングは選択不可となる。

ジャガーノート(露土)…露土による対墺速攻。同盟が続くなら北側を露が南側を土が西へ西へと制圧していく。増設はWarやStpが主体となる。割合などは要相談だろう。伊が対墺時に加わると侵攻が早まるが、その後の状況をジャガーノート継続にするか伊と組むか悩ましくなるだろう。ジャガーノートは主に派生が現在3種類ある。①Sev H又はSmy-ArmとのArm合意SOなどでBla空白化するタイプ(通常版)。②Sev-Bla-Con、Smy-Arm-Sevとして初年度初期拠点と1軍をを交換、後は土陸軍はバルカンへ露海軍は地中海へと押し出していく黒海交換(ブラックシー・エクスチェンジ)。③手間はかかるが初手Sev-Armとし土に2軍で解体させ陸軍に変えるスリングショット・ジャガーノート。提案する場合はこれらの派生のメリットデメリットを把握してから提案しよう。ただしBlaを土に取得されると土はとても硬く、また露としても攻め込まれ得る危険性が生じるので、Blaを空けるというのはとても難しい。それを乗り越えた上にジャガーノートは成り立っている。もちろん、北方オープニング非対応。

アシカ作戦(独仏露)…アシカ作戦とは、独仏で初年度からNthを奪いに行き、露は北方オープニングからNwy取得を妨害しにかかる3国共同作戦のことを示す。対英包囲ならばアシカ作戦である必要はないが、アシカ作戦の方が仏としては好ましい場合がある。南方が対土で決まり、北方オープニングに問題ないと判明した状態で行うこと。基本的に、北方オープニングの情報は墺伊土には知られてはならないのでその点も注意。(英に流されやすい)

対独包囲(英仏露)…この場合、無理に北方オープニングで干渉する必要は無いかもしれない。独が「露には味方でいて欲しい」と思えばSweをくれるかもしれないし、そもそも3国間でBot-Balの作成になる可能性もある。Swe SOを誘発してマクデブルク(露Mos-Stp-Nwy、Stp(sc)-Bot-Bal、英Edi(or Lon)-Nth-Den(or Nth C Yor-Den)、独Kie-Den-Swe)とする手もあるが、初手から選ぶ理由が少ない。英が露の対墺を極端に嫌うならあり得るかもしれないが…。ともあれ、Stp(sc)海軍は普通に対独には使えるので、War-Silも視野に入れつつ無理のない手を選びたい。尚一点注意として、独に仏への応対が悪かったりするとスチームローラー(英仏長期同盟)に持ち込まれる恐れがある。その辺りよく話しておく必要がある。

 

7.その他

南北をかすめ取るようにして拡大していくには、近隣国同士の不和が不可欠である。その溝が大きければ大きいほど旨味がある。ただしある程度侵攻したならちゃんと滅ぼす判断も必要である。

世界の2大大国へ向けて、欧州を席巻できるよう地道に外交を重ねよう。