適温のブログ

必要になった時のみ運用

各国解説⑥オーストリア=ハンガリー

6ヵ国目は東欧の中央国。ラストスパートと行きたいですね。

 

1.概要

バルカン半島から北へ、東欧の非常に多くの補給拠点と隣接する火薬庫。それを抱える国がオーストリア=ハンガリー(ディプロマシーではオーハン、墺)。墺は英仏以外と隣接するが、伊とはまさに隣り合わせで気が抜けない上、補給拠点の取り分からずっと他国に囲まれっぱなしとなるため独以上の上級者向け国家である。

バルカンの補給地(Ser、Rum、Gre、Bul)にアクセスが良く、そこに干渉する力が強いのがメリットであり弱点でもある。外交を強気にすれば危険視して潰され、弱気にしても利用され潰される。海軍増設港がTriの一つしかなく、しかも伊本土のVenに接しており、易々とは海軍を増やせないことと、バルカン半島との位置関係から陸軍ばかりを増やして固めて運用することとなるだろう。独に近い成長速度や交渉力を持つものの、近いだけでどちらも独以下であり、そのプレイスタイルは異なってくる。マップ上不利をこれでもかと活用する必要のある、最難国と言われるだけはある国。

 

2.周辺地域(重要度順)

セルビア(Ser:墺)…墺の第4補給地であるが、状況にもよるが本土以上の価値がある。Serを含めて周囲6補給地にアクセスできる「東欧のNth」にあたる墺の力の源である。初年度で確実に取得したい拠点と言える。逆に言えば、失うとリカバリーには非常に苦労するので、常に注意を払う必要が出てくる。

ルーマニア(Rum:露墺土)、ブルガリア(Bul:土)…露土の第4・5補給地候補であるが、取得できる状況も大いにある。Serに隣接する2拠点であり、ここにいる他国軍が陸軍か海軍かは墺の安全性に直結する。

ギリシャ(Gre:墺土伊)…墺海軍で取得できる空白補給地。隣接するIonは伊の領海、Aegは土の領海であり、ここに墺海軍を置けば伊土戦争のどちらに着くかの選択権を得られる。ただしどちらに着いたとしても、Greの領有権は要求されやすい。序盤では制海権を求める余裕も興味も少ないので、伊土には海軍での取得をお願いしてSerへの圧力を下げたい。

ヴェニス(Ven:伊)、チロル(Tyr:墺伊独)、アドリア海(Adr:墺伊)、アルバニア(Alb:墺)…伊との境界線。本国が隣接しているだけでも辛いが、これらをどれだけ空白化できるかが2国間の摩擦を減らすポイントになる。Tyrは中央三国同盟(独墺伊)での空白化を依頼し、Adrは墺伊間の不可侵、VenはできるならTriと合わせての空白化交渉を通したい。またAlbは墺は軍を割きづらいが、輸送拠点になったり海軍の支援ポイントになったりするので、基本気にならないが案外無碍にもできない地点である。

ガリシア(Gal:墺露)、ボヘミア(Boh:独墺)…Galは墺露戦争の進行ルートであり、お互い陸軍国であることから非常にぶつかりやすい。幸いGalが空白であるのなら、墺露間は友好的にしやすい(ので、大きく作られているとか)。独が墺の早期衰退を望まないならば、独に依頼すればSwe SOしない条件に初年度のGal空白化を含めてくれることがある。Bohはほとんど使うことは無いが、Galに支援出すとかWarへの進行ルートなどで中盤に軍の余が有れば使うことがある程度。その際は独への許可願いを忘れずに。

 

3.各国との関係

英…唯一の対称国であり、基本的にずっと信用して問題がない相手。墺は最大の陸軍国であり、英は最大の海軍国と言う点でも完全な陸海分業がなされ得るため、一方の国だけ大きくなるなどで無ければ全く同盟に問題がない。英の方が外交的不利を負いがちであるのでそこを墺がサポートし、墺の行軍的不利を英の対露・対独・対仏いずれかでサポートするなど、長く協力できる。

仏…墺と接しない2つ目の国だが、その仏の対称国が露であるため、情報の交換が微妙にスムーズにいかない相手。挟撃するにも、墺からは押し切りにくい伊と、東西GSLを挟み墺からは攻め込む余裕の作りづらい独であるため、リスキーで協力自体が難しい。対伊については仏側も実行の真偽が不明な状況が多く、墺だけ対伊して膠着状態から背中を露土に取られるなどしたら本末転倒となる。英滅亡時などは、代理の対称国としてある程度機能するが、英ほどの組み合わせの良好さはない。露墺関係が良好なほど情報の融通が良くなる相手。

独…中央三国同盟(独墺伊)と三帝同盟(独墺露)を共通して持ちうる相手。お互いに囲まれれば速攻で滅亡し得るが、相手が速攻で滅亡するというのは、墺にとって言えば西欧の決着が早まるということ。お互い相手の早期滅亡は望まないので、対称国ではないながらも比較的良好な関係を築きやすい。独の外交力を活かし、伊露に対墺を止めるよう説得してもらえると嬉しい。見返りとしては墺の対露などの行軍確約よりもこちらが比較的得やすい西欧(英仏)の情報が良いだろう。特に英の親独が得られれば独は序盤は安定しやすいはず。陸軍国同士、成長後には衝突しやすい間柄ではあるが、逆に言えば成長前ならちゃんと協力できるはずであるので、上手く関係性を利用したい相手。

伊…本土隣接により外交がシビアになる相手。最序盤にこちらから攻め入るのは背後の露土もあり戦力的に難しく、また侵攻ルートに海軍を含めないと戦力が揃いづらい。しかも対伊時の同盟相手(主に土仏)が来るのには時間がかかる。中盤以降余裕を見て対伊となるだろう。同盟時は安全のためにこちらから譲歩しても良いが、やはり外交上はなるべく対等な関係を目指したい。幸い伊側は海軍国であるため、その点で上手く住み分けする様に進めたい。序盤は動きづらいTri海軍の動きも伊にとっては馬鹿にならない影響があるので、しっかり活用しよう。Tri・Venの空白化が成れば、墺としては外交成果が高いと言える。個人の発想なので実現するかどうかはともかく、Ven-Tri交換ができるとより組みやすいかもしれない。

露…東欧で陸軍国同士で衝突しがちな相手。墺側は初年度の陸軍数には余裕が無いので、安易に合意SOとはしたくない。しかし安全を確保したいならGalは確実に守らねばならない。土を懸念する気持ちはBlaの存在により露側の方が大きいところがあるので、上手く露土衝突させたい。せめて、Bla SOであって欲しい(空白化は最悪)。露のStpシステムは墺の安全性は確保されるが、英が苦しくなるので複雑な心境になる選択肢と言える。

土…東欧の海軍国で墺としては組みやすい相手。ただし拡大後これを抑える事は可能でも、衰退させるのは墺単独となりやすく、しかも海軍が必要で難儀する。伊が生きているなら、伊海軍と連携したい。土に露側に成長されると、陸軍を増設して成長するので墺にとって余計に脅威となりかねない。海軍を増設してもらい地中海を侵攻して貰おう。もし墺が海軍を増設し土領を全て掌握できれば、黒海の制圧もでき対露も優勢に進む。ただしあるあるとしてその前に包囲されるだろうが…。なるべく露伊に土を「脅威」と思ってもらうようにしたい。

 

4.初手戦術

ある程度は頻度順に記載

①バルカンギャンビット

Tri-Alb、Bud-Ser、Vie自由(-Tri、-Gal、-Bud、-Tyrなど)

01秋:Alb-Gre、Ser S Alb-Gre

Vieの動きで「〜バリエーション」と呼ばれる(Vie-Triなら「バルカンギャンビットTriバリエーション」)。近年確立されてきた、墺の初年度2増を狙う手。初手でSerに移動する事で、秋にはGreに2軍で臨めるし、SerからRumに干渉しても良い。ただし本国防衛がVieの1軍になるので、対露防衛で-Gal、対伊(Ven-Triやチロルアタック)防衛で-Tri、露伊挟撃がない場合にRumへのアクセスを可能とする-Bud、伊のチロルアタック1点読みの-Tyrなどが候補に上がる。不利な墺を初年度で比較的安定した立ち位置に引き上げられるギャンブル手だが、その見返りは大きい。尚、対土時もこのオープニングが選ばれやすい。キーレパント(イタリアを参照)時も、墺伊間の友好関係を隠すのとGreは取りに行くのでこれに近い形となるだろう。特にTriかBudバリエーションからは、イオニア海の籠手に派生しやすい。Alb-Ion、Ser-Greとする。イタリアを地中海から強襲するが、後述のブルーウォーターレパント(墺伊)へさらに派生が可能。ただし結構な伊の負担になるので注意。

②サザン・ヘッジホッグ

Tri-Ven、Bud-Ser、Vie-Gal

対露対伊防衛の初手。基本的に初年度1増で安定しやすい。海軍が伊の本土Venに移動するが、海軍であるため大抵秋には弾かれて終わる。そのため攻撃用ではなく防御用と言える。Serを取りに行かずにBud-Rumとすると冠詞なしでヘッジホッグと呼び、より対露色が強くなるが土にお腹(Ser)を見せてしまうのであまり推奨できなくなる。またBud S Vie-Galとすればヤマアラシと呼ばれる。この場合秋にBud-SerでSerは取りに行けるが、土が対墺路線ならSOの可能性が出てくる。逆に、Vie S Bud-Galとすると「死せるヤマアラシ」となりSerを取りにいけなくなる。メリットは微妙だがより親土感があるくらいか?

③ロードホッグ

Tri H、Bud-Rum、Vie-Gal

サザン・ヘッジホッグ同様、ヘッジホッグの派生行軍。Tri Hとした事で、親伊を示す…のだが、Tri-Albでも無いので保険の意味合いがある。強烈な対露に変わりは無い。Bud-Serとすればサザン・ロードホッグも。ヘッジホッグのバリエーションとして記載。

ブルーウォーター

Tri-Adr、他自由

初手でAdrに入る。バリエーションとしてフォンメッケブリッツ(Vie-Tyr、Bud-Tri)が有名。3軍での全力の対伊になるが、取得できるのはVenのみ…と寂しい。むしろヘッジホッグ系(Tri-Ven)で良いように思う。伊がVen空白化に同意した場合、Tri-Serにより2増の可能性が生まれるが、そこまで計画的に外交で盤面を動かせるなら他のオープニングでも十分と思われる。他のバリエーションとして、Vie-TriやBud-SerまたはBud-Galなどと組み合わせると良いかもしれない。ブルーウォーターの派生でブルーウォーターレパントがあり、01秋にAdr-Ionとして、02春に伊のTunとNapの海軍でこれを撤退させ、撤退フェイズにてIon-Eas  or -Aegを確実に成功させるという手がある。どちらかと言うとフォンメッケブリッツから墺伊和解の選択肢…とした方が良いのかもしれない。ただし、土がジャガーノートを選択し初年度で土海軍がAegまで出てくると、Smy海軍増設によりブルーウォーターレパントはEasもAegも空かなくなる点には注意。ブルーウォーターレパント自体はTri-Adrからでも実行可能。もちろん、これと見せかけてIonからTysなど西側に行くと…後は想像にお任せする。

 

5.増設方針

基本的に陸軍で良い。陸軍が4以上になり安定したぐらいから、海軍増設をすべきかどうか考えておこう。少なくとも、海軍がいなくても墺の序盤にそこまでの問題は発生しにくい。むしろ、仮定だが初期配置でTriが陸軍だったら、もっと最序盤は安定したのかもしれない。地中海の覇権は露と長く組むならば必要になるが、伊土どちらかと長く組む場合は必要ない…というより、伊土には海軍国になって貰わないと襲われやすくて困ってしまう。なので、例えば伊が対仏していて対土に海軍が必要な時など、稀なケースでしか2隻目の海軍増設はできないと思った方が良い。拠点数減少で軍が減る場合も、海軍は有力な解体先となる。バルカンの安定こそが墺の安定である。陸軍で固めるようにした方が安全。

 

6.将来展望

東西GSLの観点では、とても越えやすい位置にいる。墺独間のマスは細かくて攻めやすい。その上でMunは大きくBerも狙いやすいので、陸軍の余力さえあれば簡単に奪えるだろう。もちろん維持には非常に苦労するので、どのタイミングで越えるかはよく考える必要があるが。

最序盤から、中長期目線で考えてくれる相手を探したい。墺の周囲の国(露土伊)が全て長期同盟に向かない場合、待っているのは滅亡と心得よう。バルカンの周囲で裏切りが飛び交うなら、その裏切りの対象になるのは補給拠点の多いバルカン半島での約束が大半になるからである。下手な拡大よりも信用である。ただしもちろん、中央国なので不利な外交(例えば、同じ拠点数での同盟など)を呑めば、そもそもタイマンでも拮抗してしまう。こちらだけは背後に壁はなく、挟撃されるのを待つだけ…なんて事にならないように。

東欧の国の中でも比較的、西欧に仲の良い国を持ちやすくはあるので、独同様に西欧の情報収集から外交コントロールをするプレイイングは可能。独のコントロールが弱いようなら、西欧コントロールを利用して欧州全体をコントロールしてしまおう。そんな外交が通るだけのマップ上の不利を墺は負っている。独が外交を大事にする相手なら、情報を交換しながら相手の腹の内を探っていくことになるだろう。墺をぞんざいに扱うなら、英仏を独にけしかける…という手もやればできるところを場合によっては見せる必要がある。あらゆる弱さを使って、周囲の国を跳ね除けるように強くなる必要がある。

同盟としては、墺土同盟、対土包囲(伊墺露)、墺伊同盟あたりが選択肢。墺露同盟も不可能ではないが特に墺側が厳しい。一度だけ東欧三国同盟(露墺土)も見たことがあるが、確率的には非現実的であることに変わりはない。

墺土同盟…墺土で対露伊をするのが通常。陸海分業の為には、墺が対露して土が対伊することになる。拠点の割り当ては墺:Ser、Rum、Ven、Rom、露領(Sev・War・Mos)、土:Bul、Gre、Tun、Nap辺りが望ましいだろうか。Sevが墺に無いと(陸軍のArmの経路が消えるので)裏切りが土側から一方的になりやすく、また海軍を西に押し出していく形にしたいのでなるべく海路を土に渡していく。この比率だと拠点数10:7だがRomを土領とするなら9:8。この辺りは西欧攻めのタイミングと合わせて状況判断しよう。Rom土領の方が安定はする、その代わりに墺がMun・Berなら11:8で理想的かもしれない。この同盟に限った話では無いが、お互い及び英の成長速度には注意のこと。

対土包囲(伊墺露)…あまり良い拠点数振り分けがない。やるなら伊Tun・Gre・Smy、露Rum・Ank、墺Ser・Bul・Conだが完遂時露南軍5、伊6、墺6で墺が挟撃回避が不可能なレベルになる。Greを墺領にしても5:5:7で挟撃はやはり厳しいし特にConが形も悪い(Rumと交換もアリか?)。しかし土領を3分割にしないと完遂前に反転されやすい。そのため対土包囲は途中で墺が対露に反転しやすいと言われており、実際そうせざるを得ないことが多い。対露であって対伊ではないのは、陸軍による攻め込みやすさの差である。最序盤に対土するのは、その後墺土同盟に移行したとき拠点数の振り分けを墺優位にしやすいメリットがあり、そういう考え方で選択するのもアリか。

墺伊同盟…キーレパントなどで選択肢に上がる。墺土同盟から伊土交換した感じになる。拠点数振り分け例として墺:Ser・Blu・Rum、露領(Sev・War・Mos)、伊:Tun、Gre、土領(Con・Smy・Ank)とすれば9:8である。Gre墺領で10:7になる。伊は対土から対仏反転に時間がかかるので、墺の侵攻が早ければGreやBluで調整するのもありだろう。伊側が拠点維持のために1軍くらいは陸軍が土領に残る想定なら、土領に閉じ込めておくように。伊が露の滅亡を許すかどうかが微妙な点だが、そもそも優勢にならなければ制覇は有り得ない、その為には高い信用の同盟が必要と考えるタイプなら、墺伊同盟は成立し得るだろう。

墺露同盟…拠点数振り分けはともかく、お互いに陸軍国同士、そこそこ理想から外れて仕方なく選択すると思われる。対土完遂後、墺海軍を生産し西へ、露は北側海軍や陸軍で北軍を西欧へ…となる。仏を同盟に組み込めれば、海軍が少なくても墺仏による対伊挟撃を成立させられるが、仏が大きくなれば仏露挟撃の憂き目に…。とても難しい同盟。

露墺土同盟…露土はスリングショット・ジャガーノートの形で露海軍を消し、露は北側に注力する。土は対伊、露は対独、墺は対独対伊の2正面作戦。やはり中央国なので少し多めに拠点を貰おう。その後英仏も潰せば完遂だが…同盟序盤が難関すぎる。

 

7.その他

長期同盟の視点については、今後別途解説予定であるが、別にその重要性は墺に限った話ではない。ただ墺は長期同盟になれなければ滅亡が見えやすい、つまるところ長期同盟をしてくれる国なんだと「思わせる」ことができれば…勝機もきっと見えてくるだろう。