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各国解説①イギリス

少しずつ、ディプロマシーの各国解説をしていきます。追記修正も随時募集しますし、記載の欲しい戦術などありましたらTwitterの方でご連絡ください。

まずはイギリスから。最初なので長めにじっくり書きます。

 

1.概要

初期拠点をグレートブリテン島に持つ、正式マップ唯一の、大陸に接しない島国。攻撃も防御も海を介して行われるため、まずは海軍が重要となる。

海軍比率が7カ国中、当然のように1位であり、重要地域も海域にある。海域からの支援・輸送が多岐にわたるため、特に隣接国への2枚舌外交が強力な外交カードとなる。しかし、海に拠点は無いため、補給拠点に対し支援しているだけでは成長できない。また、いちいち海を介さないといけないので攻撃力も低め。取れる拠点はしっかりと確保していきたい。海軍でしか攻められないので防衛時に敵国の余剰陸軍が出るのが外交的な防衛のポイント。敵の海軍が多ければ、防御力はそう高くない。

 

2.周辺地域(重要度順)

北海(Nth:英独)…英だけでなく西欧の最重要海域と言って差し支えない。6補給拠点(内、2は英の初期拠点)に隣接し、さらに5箇所の空白地域にも隣接している。ここからの輸送や支援が序盤の真骨頂であるが、一度奪われれば奪還には多大な時間と労力を要する。独領となりやすいDen、Hol、Belとも隣接しているため、独に空白化要求される事も多い。どうしても独の協力が必要なら空けざるを得ないが、Nthに隣接する海軍ゼロくらいの交換条件は通したい。

イギリス海峡(Eng:英仏)…こちらは英仏の境界であるが、Nthと異なり本土どうし(Lon、Bre)が隣接する。またお互いの背後にあたるIri、MAtにも隣接している。主に英仏同盟を阻害する原因となる海域であり、初手合意SOは可能であるものの英は確実に初年度2増ができなくなり、仏側も厳しくなる(仏は不可能ではない)。そのため合意SOは結ばれづらい。どちらかが優勢の同盟の時は、優勢な側が入ることもあるが、基本的には不可侵や合意SOとなる。

ノルウェー(Nwy:英露)、ノルウェー海(Nrg:英)…Nwyは英の第4補給拠点であり、Nwyにアクセスする方法の一つがNrgである。Nwyは露領StpとSweに挟まれており、英露衝突しやすい原因となる。北欧(Nwy、Swe、Den)やStpを英が取得する事は、「海軍だけでも安定させられる本土以外の土地」を得る事であるため、露とは衝突しやすい。

ベルギー(Bel:英独仏)…英の序盤の第5補給拠点。初年度の増設は大体ここを焦点として外交が成される。仏独もやろうと思えば1901秋に2軍でアクセスできてしまう。上手いこと独仏争えば、機嫌取りで渡してくれるだろう。仏独どちらも侵攻ルートにあたるので、中盤以降どちらかと組む場合には維持は難しい。

アイリッシュ海(Iri:英)、北大西洋(NAt:英)…英の背後でありながら、仏の領海MAtに面している。英本土のLvpに面しており、英仏同盟中はこの海域に入られない様注意が必要。ただしLvp自体が対仏に使う増設港であり、海軍であれば取られてもそこまでの痛手ではない。…当然、通常の補給拠点よりもマイナスではあるのだが。

 

3.各国との関係

仏:常に背後を脅かされる。Breからの海軍増設が脅威であるだけでなく、MAtが仏の領海であるのが恐ろしい。序盤のチャンスを逃すと攻防のバランスの高さから崩しづらくなる。スチームローラー(略称SR。英仏長期同盟)は強力であるが、考えて選択したい。長期で組めば仏は対伊で海軍を作る機会も増える。その時は海軍の反転には要注意。

独:陸軍国なので仏より組みやすいが、狙われる場合はNthになる。関係が友好でもNth空白化交渉が行われやすいのが辛いところ。英独同盟は対仏も対露もできて、西欧唯一の端国となれる同盟ではあるが、その不利を知っている独相手だと、どこまで同盟を続けてくれるだろうか…。

伊:対仏包囲では同盟だが、地中海最大の海軍国であり大きくなり過ぎるのは考えもの。組むならMAtやMAt-Wes間でしっかり線引きしたい。かと言って陸軍増設を許すと対称国の墺を狙いやすい。比較的友好国ではあるが、終始その取り扱いに困る国。

露:北軍と北欧の取り合いになりやすい。軍の数では勝るものの、西欧で仏独と事を構えないのは難しい。組むことができれば、強力な対独でNthが安定する。特に初手、Mosの動向と初年度Stp(特に北岸海軍)への増設には注意が必要になる。

墺:対称国。最大の陸軍国であり、最大の海軍国である英とは直接衝突する事がほとんどないため、まず友好的に扱って良い国。最難国は伊達では無いので、例え出し抜く相手と捉えたとしても多少は協力したい。墺が滅亡して東欧の他国が成長する方が痛手となる。成長すれば露独、場合によって伊の挟撃ができ、また手の届かない土を抑える役目も可能な国。

土:露挟撃の為の端国。伊と同じく海軍国化しやすい国だが、流石に遠すぎる。海軍で争う頃には英土どちらかが制覇しかかっている。そういう意味では海軍国化しても問題が無い…と言うか、海軍国化して墺と争わないでいてくれると嬉しい。大きくなり過ぎると止められないので、独同様バランスに注意しながら誘導していく。

 

4.初手戦術

ある程度は頻度順に記載

①ヨークシャーオープニング

Lvp-Yor、Edi-Nrg、Lon-Nth

様子見オープニング。比較的親仏の初手だが、仏にEngに入られてもLonを陸軍で守れるため、守りながら2増の可能性を残せる。2増の場合にNwyには輸送できないのが唯一のネックであり、これが少々対独要素でもあるので注意。まあ海軍増設をLvpにすれば、独との和解はすぐできるのだが、独に海軍1増されたり、Swe SOを拒否されても文句は言いづらい。イースタンプッシュ(秋:Yor-Nwy、Nth C Yor-Nwy、Nrg-Bar)への派生が可能。派生すると2増を捨てて完全に対露になる。

ウェールズオープニング

Lvp-Wal、Edi-Nth、Lon-Eng

対仏オープニング。Eng SOで一つ、露のStpシステム(Mos-Stp:スクイッドやオクトパス)で一つ増設が消える。Wal陸軍の輸送先をBre、Bel、Picから選択する。英単独で見ても、読み合いに勝てばBre海軍増設を潰せるメリットがある。リスキーながら強力なオープニング。

エディンバラオープニング

Lvp-Edi、Edi-Nrg、Lon-Nth

対露オープニング。ヨークシャーオープニングと異なり、仏にEngに入られるとLon防衛の読み合いに頭を悩ませる事になる。Belを取得しに行ってもNwyへの輸送が可能なオープニング。ヨークシャーオープニング同様イースタンプッシュへの派生があるが、最初から対露姿勢なので奇襲感はない。

④スプリット

Edi-Nrg、Lon-Eng、Lvpは自由(WalかEdi推奨)

親独オープニング。Nthを空けて親独を示すが、正直ここまでしなくて良い。Lvp陸軍がWalに行くなら結局NwyをEdi海軍で取ることになるので、Lvp陸軍はEdi行きが良いだろうか?

⑤アトランティック・バインド

春:Lvp-Yor、Edi-Nth、Lon-Eng

秋:Eng-MAt

強烈な対仏オープニング。ウェールズオープニングとは異なり、Engに入った海軍に輸送の役割を与えない事によって、読み合いで秋にMAtへの侵入を可能とする。もちろんEng-BreやPic、Belも選択肢の一つであり、仏とバチバチの読み合いとなる。

⑥ヨークシャープディング

Lvp-Yor、Edi-Yor、Lon-Yor

ネタ行軍。初年度増設が消える上に、行軍ミスという言い訳もできない。これで勝てたら相当ヤバイ。何がとは言わないが。

 

5.増設方針

対仏ならLvp、対露ならEdiに増設が主。特にLvpは言い訳が効かない。陸海の選択については基本的には海軍となる。しかし、陸軍がいなければ1国まるまる入手する事はできないし、仏や伊と組むなら大西洋側しか海軍を展開できないので、陸軍増設が必然的になる。

海軍だけでは各国の海岸表面しか取れないことから、海軍だけ増設していくと2枚舌…対称国などの遠方国と協調しながら近隣国には裏切りを重ねて成長する形となり、ある程度陸軍を輸送していくとその地域から軍を動かしづらくなるため、近隣国との長期同盟路線となりやすい傾向がある。

 

6.将来展望

東西GSL(グレートステイルメイトライン…東西をちょうど17拠点に二分する引き分け線で、これを越えないと制覇ができない)を超えるタイミングが難しい。西欧で最も遠いので、序盤の状況からある程度的を絞っておきたい。海軍重視で成長して地中海進出するならTun、北欧を制圧して露領を侵攻するならMosが有力になる。Ven・Vie・Warは少し難しいだろう。

 

 まずは近隣国の海軍増設を抑えながら、必要に応じて反転できる状況を整えよう。その上で北欧を(露と組まないのならば)狙い落としていく。安全だけを考えるのなら、仏独露の港(Bre・Kie・Ber・Stp)を優先して潰していく。

同盟は、対仏包囲(英独伊)、英独同盟、対独包囲(英仏露)、スチームローラー(英仏)が主な選択肢。当然ながら盤面の進行速度や完遂後の状況に違いがあるので、完遂すると不利になるならその前に反転したり、これ以上利がない同盟を切ったり、逆に利を与えてまだ組んでくれるようにしたり、完遂後相手国に不利が無いようにして同盟を維持したりするのは各国共通。

対仏包囲(英独伊)…伊が西進するパターン。伊は単純にTunを海軍で取得して西進したり、アルペン・ダブルバック(伊が仏土両方を狙う)パターンや、ウェスタン・レパントミュンヘンギャンビットのパターンがある。パターンで取り分や進行速度に違いが出るが、基本的に英の取り分はBre・Porとなる。Porを取るのがほぼ対仏完遂時になることに注意したい。独だけが陸軍国なので、MAtを挟んで英伊睨み合いになりやすく、その場合独に同盟の主導権がある。独との同盟であるので、英の将来展望上問題が無いなら北欧にも手を出せる。

英独同盟…自然同盟などと呼ばれる仏露挟撃に対抗する同盟。伊が東進したパターン。やる事自体は対仏包囲と大差はない。英の取り分にSpaが増えるくらいとなる。

対独包囲(英仏露)…Nthを確実に安定させる同盟。海軍増設拠点を北側に2箇所持つ独を潰せる。Hol、Kie、Denあたりを英領とするが、NwyやBelは要相談となる。個人的にはNwyは残したいところ。完遂後に仏露挟撃にならないようにする為に、完遂前に伊の西進を誘ったり、露の南軍を忙しくさせたり、囲まれない策を弄する必要がある。 Engの取り扱いやMAt海軍に注意が必要。

スチームローラー(英仏)…序盤は対独であるが、大きいのは対独後に対露が許される点。同様に仏側も露に反して対伊に手を伸ばしていく。Engの取り扱いに悩むが、可能なら長期不可侵…特に、EngだけでなくMAt、Iri、NAtも不可侵にすると安定しやすいだろう。スチームローラーとは少し違うがヘイ・ブレストというBreを英領とする英仏同盟作戦も提案されている。それならLvpは渡して良いかもしれない。

 

7.その他

2017/10/29追記:ここでマクデブルクを紹介しておく。英露で独を騙す。露はStpシステム(露の項で解説。初手Mos-Stp)をした上で、秋に独にSwe SOを依頼して英はDenに、露はNwyとBalに、独はSweに入る。独の弱点Balをつきながら英露増設をする。…のだが、あまり露がStpシステムをしたがらない。

 

イギリスはここまで。次回は仏の予定です。遅筆なのでごゆっくりお待ち下さい。