適温のブログ

必要になった時のみ運用

各国解説②フランス

続いてはフランスです。苦手国家を説明できるか!?…まあ理論は知っているつもりですけども。あくまで“つもり”ですが。

 

1.概要

ユーラシア大陸の西側、ディプロマシーにおいては西端に位置する国家。攻防バランスが良いが、その本領はイベリア半島を制してからになる。

陸軍と海軍がちょうど半々くらい必要になる。その理由は、陸にも海にも重要地点を持ち、また攻めにもどちらか一方では難しいためである。ただし当然ながら、組み方次第で割合は変えていく。露を除き、腹の内は仏の意思に反したことを考えている国が多いのが欠点。通常、隣接国とは組んだり戦ったりできるものだが、伊だけは戦うことはあっても、スイスが邪魔で中々協力…支援ができない。そんなこんなで、親仏国家を見つけるのに比較的難儀しやすい国となっている。幸い行軍のポテンシャルが高い国なので、行軍で外交をカバーできると良い。


2.周辺地域(重要度順)

ポルトガル(Por:仏)、スペイン(Spa:仏)…仏の初年度獲得補給地の主力候補地。Porは特殊な地形になっており、隣接するのがSpaとMAtしかない。Porに軍がいるととても取りづらく、Porからの支援はカットもしづらいので、早期取得しておきたい。SpaはMarに隣接しており、BurやPieで初手合意SOしても取得しやすい。伊とはTunからWes経由で1年で到達してしまうので、伊が対仏の際は狙われやすい。

ベルギー(Bel:英独仏)…3国で誰が取得するかの駆け引きが行われる地域であり、仏としてはまずここにアクセスできる地点に行くかどうかから駆け引きが始まる。3国ともエサと捉え不要と答えたり、3国とも欲しいと言ったりする、そんな拠点。Spa・Marのうちどちらかしかとれない移動を考えるなら、交渉次第でもらえることもある。

ブルゴーニュ(Bur:仏独)、ピカルディ(Pic:仏)…Burは本土2拠点に隣接するため、仏領と言って差し支えないが、独もMunが接するため同盟では仏陸軍の退去と空白化を要求されがち。幸い同盟時はまずは英を狙うので、陸軍は余りやすく、その余剰陸軍で合意SOを繰り返してもそれほど痛手にはならない。本当に不可侵を結ぶなら、MunやRuhも空白化してほしいところ。独仏の前線は、仏陸軍2に対し独陸軍3並ぶため注意が必要となる。

中大西洋(MAt:仏)…仏の領海。はっきりと領海と呼べるのはここだけであり、しかも本土は1拠点(Bre)しか隣接していないが、仏の力の源であるイベリア半島の両拠点(Spa、Por)にも隣接しているのが大きい。ここから北に3箇所、南に2箇所侵攻することができ、これは仏の強さ…攻めやすく守りやすい地形に繋がっている。特に北側へは、IriまたはNAt経由でLvpに1年で行け、またEngへの支援も可能と出来ることが多い。

ガスコーニュ(Gas:仏)…仏の庭であり、何とPorを除く仏領4箇所に隣接する。ここに陸軍に入られた場合、非常に苦しい戦いを強いられる。読み合いではあるが、Burからの侵入(撤退含む)やMAtからの輸送には注意。

イギリス海峡(Eng:英仏)…英仏の仲を悪くする一因であり、またどちらにとっても陸軍の輸送ルートとなる。初手でここに入るには陸軍で2拠点取れる工夫が欲しくなる。ここに初手で入るのならば、Spa・Porを取るイベリアンギャンビットで2増となるが、独の理解が得られるならSpaよりもBelを優先した方が、前線の軍を残しやすくて良いかもしれない。

ピエモンテ(Pie:伊仏)、リヨン湾(GoL:仏伊)、西地中海(Wes:伊仏)、北アフリカ(NAf:伊仏)…初年度から、仏伊間で不可侵が結ばれる地点。数の多さで分かるが、仏伊戦争は空白地が多く距離もあるため、時間がかかりやすい。不可侵とは言っても仏伊には結構な差がある。序盤は伊の方が攻めやすく、しかし地形的には仏の方が優勢になりやすい。GoLはどちらかというと仏の領海、PieとNAfは伊寄りの土地で、Wesはほぼ中立となる。パワーバランスを考慮しながら交渉したい。


3.各国との関係

英:常に背後を狙い合う間柄。しかし地理的なパワーバランスはこちらに利があり、MAtの所持だけで英の背後を脅かす事が出来る。Engもあるため外交には多少の配慮が必要となる。同盟するにせよしないにせよ、露と北欧を奪い合う事が多いので、対露を認めるスチームローラーやEFGの時を除きうまく英の対露欲求を抑えていきたい。対独親英は、マジノオープニングで示しやすいのは一つのメリット。

独:Burを挟んで陸軍で衝突しやすい。アシカ作戦など対英時には、お互い陸軍が余るためしっかり線引き(合意SOや不可侵)しないといけない。初手自体にはマジノオープニングやBur自己SOなど2軍で接しているので、仏に利がある…と言うよりは、焦点になるのが仏領のBurなので防衛しないと厳しい。しかし、初手対英親独しつつ2増するイベリアンギャンビットは裏切りがとても怖い。露の協力の有無にかかわらず、同盟時には慎重さが必要。尚、長期同盟は露が弱った時に次善の策として考えておくと良い。

伊:GSLを挟んで睨み合う相手。お互いに東西GSLの越えた先で取る拠点の候補地となっており、しかも移動不可のスイスを挟むせいで侵攻の協力も出来ない。成長するまでの序盤は仏から手を出すのは厳しいので、間に空白地帯が多い事を活かした外交で不可侵として行きたい。特に露の協力が重要となるが、英独に対仏選択させない…少なくとも、迷わせて対仏同盟を阻みたい。直接対決なら、地理的優位で勝ちやすい。

露:仏にとって頼り頼られる相手でありパートナー。北軍は対称国として、軍の数は少ないながらも英独の挟撃ができるし、英独が仏露のどちらかを攻めるなら背後から抑えに行ける。南軍は伊を東欧攻めの同盟に組み込んでくれる=伊仏不可侵に協力してくれる。また、もし露がジャガーノート(露土長期同盟・対墺速攻)を選択するにしても伊は結果的に東に向きやすいし、仏はフリーになるのでメリットが大きい。基本は露に益があるように外交していく。ただし、仏のスチームローラーやEFG(西欧三国同盟)時は別で英に対露を許すので、やる時はバレないように注意。

墺:露とぶつかりやすい陸軍国。対伊は協力できるが、どちらかというと伊の矛先を押し付け合うだけであまり挟撃にならない。上手いこと露を拡大させ、伊をこっちに来ないように誘導したいが、中々思惑が噛み合わず難しいところ。

土:墺と同じく、遠方国ながらそこまで仲が良くもない。海軍国であるため、墺よりは対伊してくれる事が多い。ただしそれが墺土同盟だと露が墺に襲われる。対伊完遂後、仏に来る事が多いのでそれも注意が必要。そこまで来たら仏が土を抑えるしかない。


4.初手戦術

戦術名が無いものもある。ある程度は頻度順に記載。仏は非常にパターンが多いため、なるべく主要(と思われる)ものを記載。これを軸に臨機応変にいじると良いと思われる。

①アトランティック・オープニング

Bre-MAt

MAtに海軍で進出するオープニング。様々なバリエーションに派生する。親英よりで2増が比較的安定するオープニング群。

①-1 ブルゴーニュ・オープニング

Bre-MAt、Par-Bur、Mar-Spa

独とのBur合意SOで行なったり、不可侵でも英のご機嫌取りで行う場合がある。最大3拠点取得できるが、序盤の脅威となるためあまりオススメできない。英独のBel取得に支援を出すことも可能だが、独にはPic進出の方が喜ばれるだろう。

①-2 マジノ・オープニング

Bre-MAt、Par-Bur、Mar S Par-Bur

重要地点であるBurに、無理矢理にでも進出するオープニング。独に対する強烈なオープニングであるが、初年度の交渉と増設次第で和解も不可能ではない。不可侵よりも合意SOの方が、心象は悪くなるだろう。

①-3 イベリアン・ギャンビット

Bre-MAt、Par-Gas、Mar-Spa

3軍ともが西へ向かう。独伊の牽制が無ければ、2陸軍でイベリア半島(Spa、Por)を取得できる。MAt海軍は秋にどこへ動かしても良いが、対英なら春からEngでも良いだろう。親独しつつ対英、対伊もあり得る手だが、Bur、Pie、Eng全て防御できないため、防御力は低い。ギャンビットの名に恥じないギャンブル手。

①-4 リスボンのかえる跳び

1901春 Bre-MAt、Par-Gas、Mar-Bur(SO)

1901秋 Mat C Gas-Por、Gas-Por、Mar-Spa

イベリアン・ギャンビットと同じく2陸軍でイベリア半島を取得する。独とBurでの合意SOにより春に独のBur侵入を避けることができ、かつ海軍のロスはPorに行く2手よりも輸送の1手で抑えることができる。扱いやすい防御手だが、独側がわざと合意SOをスカす「かえる釣り」と呼ばれる手もあるので注意が必要となる。

①-5 Bur自己SO

Bre-MAt、Par-Bur、Mar-Bur

名称が検索しても出てこない初手。英独どちらにも喧嘩を売らないでBurを守る。2拠点を取得しながら様子見という点ではリスボンのかえる跳びに近い。

①-6 ピカルディ・オープニング

Bre-MAt、Par-Pic、Mar-Spa

Belに対し圧力をかけながらイベリア半島を取りに行く。Engに入られても2増が見込める、対英防御の構え。対英攻撃ならBre-Engとなる。

①-7 ベルジアン・ギャンビット

Bre-MAt、Par-Pic、Mar-Bur

ピカルディ・オープニングとは打って変わって強烈な対独オープニングとなる。英に対する罠の意味でなければBurは不可侵で交渉する。英とスチームローラー(SR)で合意しているならば、Belはもらえるかもしれない。

②マンシュ・オープニング

Bre-Engを含む対英オープニング群。マンシュは英仏海峡の仏語名だとか。独(および露)と組むことでアシカ作戦(アシカの日)と呼ばれる、対英包囲となる。Engに出るためにもEngは不可侵で合意し、英の裏をかくようにする。(あるいは、特殊な合意条件を持ちかける等)

②-1 対英攻撃

Bre-Eng、Par-Pic、Mar-Spa

Picからの輸送を匂わせつつ、実際に輸送したりBelを取りに行ったりする、強烈な対英の初手。MarはホールドやBur又はPie合意SOに使っても問題ない。

②-2 対英防御

Bre-Eng、Par-Gas、Mar-Spa

ある程度SO前提でEngに進出し、イベリア半島は陸軍で取得する。イベリアン・ギャンビットの亜種。アシカにももちろん使える。伊独が親仏なら2増が確定する。

③ピエモントシステム

Mar-Pieを含むオープニングを指す。基本的に合意SOで選択するが、初手対伊の場合もこうなる。春にBre-MAtとして秋にMAt-Wesは流石にしないと思うが…。

ボジョレー・ヌーボー

Bre-Gas、Par-Gas、Mar-Gas

英の初手ヨークシャープディングの亜種だが、仏はこれでも初年度1増できる可能性がある。そのためネタ度が薄いという意味でヨークシャープディングには負けている。

 

5.増設方針

陸海のバランスが偏らないようにするのが基本。そうすることで高い防御力を得られる。初年度2増設を得られたならば、対独で2陸軍、対英でBre海軍、対伊でMar海軍の増設となり、誰から見ても分かりやすい。しかし、1増で陸軍のみならば分かりづらい。2枚舌のジリジリとした序盤で優位を取ろうと思うなら、2拠点を取得しつつも1増にする選択肢もゼロではない。対英もしくは対伊の場合において、2海軍増設は独に対する防御力が極端に下がることと、軍を回すまでの間に狙っていない方(対英なら伊)に不信感を与えやすく、結果対仏包囲につながりやすいためオススメできない。陸軍が3か4くらいあれば対独防御は安定するので、そこからは海軍の方が多くなることもあるだろう。


6.将来展望

序盤は西欧3国の中で、2対1の2の方に入れば良い。遠方国は、スチームローラー(SR。英仏)やアシカ作戦(独仏露。アシカの日なら独仏)、または西欧三国同盟(EFG。英仏独)からの近隣国長期同盟などの狙いが無ければ、露と仲良くしていけば安定する。

将来を見据えた時に、最も悩ましいのは伊の取り扱いである。まずは共通の味方となりやすい露を利用して、露伊仏同盟を結び伊仏間不可侵を承諾させるのは常套手段である。しかしそれが成立した上で仏が成長した時、いつどのタイミングで対伊をするかは非常に難しい。チュニス(Tun)を取得すれば東西GSLを越えることができるが、当然ながら露伊仏同盟を失う事になり露の協力が得られなくなる可能性も高い。西欧で成長する時間の過ごし方を間違えないようにしたい。

墺土については、親露に誘導しながら情報収集を行い、仏にとっての理想の東欧が出来上がるように微妙な調整…例えば、均衡させるために裏切らせるとか、GSLを引かれないようにある程度拡大させるとか…そういった外交をずっと繰り返していく必要がある。

対英包囲(仏独+露)…序盤から仕掛けるならアシカの日になる。東欧の状況次第では露を誘ってアシカ作戦に持ち込もう。仏の方が独より英に近いため、英本土への侵攻は仏の方が速いことが多い。それは独の方が裏切りやすいことを示しているため、独軍を「待つ」ことが時には必要になる。Belを軍の調整用の拠点とし、Bur周辺をきっちり住み分けしながら対英を行う。仏の取り分はLvp以外はあまり安定しない。その後対独をするつもりがあるなら、海軍で独領となった北海(Nth)を落とすことを常に視野に入れておくこと。

対独包囲(仏英+露)…SRの選択肢もあるが、露の状況を考えながら選択する。露を捨ててもいいまたは捨てざるを得ないならば、SRは有力な選択肢となる。英仏同盟は拠点数に偏りを減らすのが難しく、特に独領に仏側に多く拠点があることからお互いに接触しやすく、こまめに外交して英側の裏切りがないように注意が必要となる。英への裏切りに露を使うなら、海軍力として用いても良いが、その後西欧を制覇するつもりならば北欧の英領を退かさせるくらいで良いだろう。海軍を増やされると後々Nthが脅かされやりづらくなる。

西欧三国同盟(仏英独)…通称がアルファベット3文字でEFGとか他にも言い方がある。西欧の決着があまりにも速い場合(特にジャガーノートがすんなり決まった場合)に、表向きにはGSLを引く名目で組まれる場合がある。この場合仏は対伊となり第6補給拠点の取得が遅れるが、GSL突破の名目にもなる。英独は対露を行い成長が早いことと、英の行き先が無くなってくることから英独を先に半目させれば仏のメリットも十分に出てくるだろう。やるならば長期的な目を持って実行しないと、補給拠点も取れず時間と信用だけを損して同盟が切れる。


7.その他

何かあったら追記

 

フランスはここまでです。次回は独の予定。気長にお待ちください。急かすと筆が進むかも分かりませんが…。