適温のブログ

必要になった時のみ運用

複数国家戦略②

第二回は、端国の同盟を中心にお話ししたいと思います。端国同士は何故組みづらいのか、という大元の理由に触れるわけではありませんが、組んだらどうなるのか、というのは闇雲に同盟しない為にも知っておくべき情報だと思います。

 

ジャガーノート

露土同盟で対墺速攻するジャガーノートは、色々案が考えられているが、裏切りがどのパターンにせよ簡単であり、かつ裏切りのインパクト(裏切られた際のダメージ)も大きいので、実行されづらいという背景がある。強力であるが、外交面でも裏切り面でも不安があるというのが前提であり、そこを露土両国が覚悟して踏み切る必要がある。尚、各パターンによって裏切りやすさもダメージも変わってくる。

(1)通常版ジャガーノート

露海軍をSevに置いたままにする、あるいは墺のBud-Rum SO狙いで動かすなど、Blaに行かない事になる。また土のAnk海軍はConから地中海へ抜けようとする。露土どちらもBlaに行かないことからどちらからも裏切りが可能である。裏切った側が単純にBlaに入る事になるが、土がロシアンアタック選択となると露のSevが脅かされる。露側の侵入となれば、本土防衛を考えると易々とは土軍を動かせなくなり、露がターキッシュアタック選択なら陸軍のSev-Arm侵入もあり得て非常に危険。尚、初手以降は基本的に土は黒海側に海軍を作る意味が薄い(ジャガーノートで折角海軍を対伊に向けられたのに軍の無駄が生じる)ので、比較的露側が裏切りやすいと思われる。

(2)Arm SO版

Arm SOであれば、露はSev-Arm、土はSmy-ArmでAnk-Conが実現できる。この時露が裏切った場合はターキッシュアタックとなり土陸軍がArmに入り込むがSev陸軍が防衛に使えるので結局露優位、ただし露側も通常版より若干ではあるが簡単にはSev陸軍を動かせない。土が裏切りならSmy-ArmでSOしながらBlaに侵入でき、この場合は陸軍は対露できず、露側の大きなダメージとはなりにくい。どちらも通常版より比較的マシなダメージで済むが、あくまでマシレベル。初手以降SOを続けるなら、01秋にSev海軍がRumへの支援を出せなくなったり、土が陸軍をバルカンに揚げづらくなるのが通常版に比べたデメリットか。

(3)ブラックシー・エクスチェンジ

露がサザンディフェンスでSev-Blaでありそれを通す形。対墺偽装ならターキッシュアタックだがGal不可侵を許すのはジャガーノートとは言えない。つまり露の裏切りは基本ターキッシュアタックとなる。土側の裏切りはBla SOで行われる。土側は裏切ってもBla SOとArm侵入が限界であり厳しく、露側は通常版と同じ形なので初手だけなら露優位のジャガーノートと呼べる。また、成立後は露海軍と土陸軍が交換されたまま双方残り続けるので、どちらからも裏切りは成立しやすい。逆に言えば、それだけ信用が続く間柄とも取れるが。

(4)スリングショット・ジャガーノート

この場合、露海軍はSev-Armとし土海軍がBlaに入れる。ただし土海軍もBlaに入らなくても成立はする。その場合01秋にAnk S Smy-ArmやAnk S Syr-Armとなるだろう。初手Ank-Blaのケース(パスティス定石など)の場合は、露側が裏切ってもBla SO、土側の裏切りはSevやRum急襲だが01秋に露Arm-BlaやArm-Ank(この場合は土の初手Smy-Ank)とする約束なら土側は裏切りに動かしにくい。ただし露側も裏切りにくく、初手裏切りはBla SO、01秋の裏切りはBlaを取られただけと中々裏切り自体は発生しにくい。露陸軍のGal侵入の様子を見てから土の動きも決める事ができ、案外安定するように思われる。が、裏切りでなくとも土海軍がBlaに入ってしまうので、露側の負担は常にある。それと土海軍を露海軍の処理に使う為地中海に出すのが遅れる辺りがデメリットとなっている。裏切り自体はBlaを取れる土側がやはり有利ではある。初手でBlaに侵入しないケース(Ank H)なら露側の裏切りも容易。また思いつきだが土の初手をAnk-Con、Con-Smy、Smy-Ank(or Syr)とすれば地中海進出が早まるが、今度はBul進出が遅れバルカンへの圧力が下がるのでこれもジャガーノートとは言いにくい。成立のしやすさが売りだが速度が遅く結果として旨味も少ないのがスリングショット形のデメリットと言える。中盤以降土側からは裏切りやすいが、成長が早ければ土の裏切りを見てGSLは容易に組めるだろうという意味では土は裏切りづらい…という考え方もあるかもしれない(西欧の様子に依るだろう)。何にせよ露土衝突の最たる原因である露海軍が消え、露陸軍となり墺への攻撃力が増すので、裏切りは比較的少ないかと思われる。しかし進軍の遅さは他国の対応時間ができるということでもあり、無視できない要素である。

ジャガーノートに対する各国の反応は以下の通り。

独…墺滅亡後、特に露陸軍の脅威にさらされるためジャガーノートを止めたい。Swe SOにて侵攻を遅らせられるが、対英でKie-HolとしているとSO出来なくなる。対露しようとすると仏の対独で陸軍を割かれるのでまずは北欧から抑える形が多い。対称国のため土の裏切りを誘発できる可能性がそれなりに高い方の国。

英…独と組んだ対露にて侵攻を遅らせられるが、内陸まで止めに行くには北欧へ輸送するしかない。ヨークシャーオープニングの場合北欧への輸送は1増に留まってしまう(その分、イースタンプッシュは可能である)。ウェールズオープニングなどの場合によっては対仏に努めて英独の背中を狙う仏からの守りに専念し、独陸軍を対露に向かわせた方が対称国の墺を生き残らせられるかもしれない。

墺…当然露土両国の脅威に晒されるため、必死で行軍と外交を考える必要があるだろう。最初の外交から違和感に敏感になっておく必要がある。

伊…ジャガーノート側に付くのか防衛側に付くのか微妙な国。対墺後露土戦争を誘発できるのなら対墺しても良いが、露がどちらに付くか分からないとギャンブルになる。露の南軍を対称国とするため、露土離間も有力な国。墺海軍と対土防衛する場合にはAlbやGreなどから墺陸軍への支援要請もあり得る。初年度でジャガーノートを察知しており防衛目的ならキーレパント要請もアリだろう。

仏…どちらかというとジャガーノート側に付きやすい。ただし仏はこの場合近隣に同盟国を持ちえないので、露が北側に戦力を割けなければ成長も難しい。成長速度で負けそうなら露土離間も一考の余地があるだろう。ジャガーノートが止められた後、露が北側に戦線復帰できれば良いが、弱い露の北軍が英独同盟に耐える事は難しい。

という状況になりやすいので、ジャガーノートを実効する場合は各国の対応をよく考えて裏をかける速攻としたいところである。尚、拠点分割については露は北軍を持つため、各プレイヤー毎、あるいは状況ごとに判断が変わってくるので記載しない。

 

⑤スチームローラー(略称:SR)

SRは英仏同盟の一環であるが、ジャガーノートほど決まったパターンというものが存在しない。成立に苦労するという点ではジャガーノートと同じである。止める国の数が4カ国から3カ国に減っており少し止めづらいのはポイントか。ターゲットになる独にとっては大問題であり、東欧にとっても問題である点はジャガーノートと変わりはない。増設面は対独対伊を担当する仏側に色をつける形で、仏は陸軍多目(対伊用の海軍も必要)、英も少し陸軍を作り北欧へ押し出していく。

(1)通常版

Eng不可侵のまま侵攻する。仏はマジノオープニングなどでBur侵入からBelを睨みつつ前進、英は北方オープニング(ヨークシャーよりは仏を疑わない事を示すエディンバラを個人的に推奨)として開始する。対独対露または対独対伊を同時にやるか、対独を中心に行うかは難しいところだが、力を合わせるという意味で対独を中心に侵攻する方が素早く動けるだろう。英陸軍をBelにやるかNwyにやるかは考え所である。独領を取った方が侵攻は早いが後からくる仏陸軍が詰まりやすい上、拠点調整で行軍が忙しくなる。また北欧攻めも英Nth海軍が忙しすぎて思いの外詰まりやすい。行軍を有利にする外交として、英仏露の対独包囲で最初話しているなら露には奇襲が通る可能性が一応はある。また、01春に英は対露、仏は対独と見えれば独が仏露挟撃を嫌い親英のSwe SOをしてくれる可能性が十分ある。英側の行軍面ではBar・Ska・Hel侵入など色々検討できるが、英仏の行軍が思ったようにいかない事も多いので注意が必要となる。

(2)Hol SO版

英の1増を捨てるなら、Lon-Nth-HolとするとSOが可能。もちろん独にスカされれば取れるだろうが、まず無理だろう。英側は初手北方オープニングであり、ほとんど対独を明かす必要はないが仏はBurに入るなど対独を明かす必要がある。しかも、仏が対独していくにつれ英は仏の背中を刺せる位置になってくるので、仏側の方が軍が必要である。この2つの問題点を解決するため、英が01秋にHol SOにて独の増設を抑え対独を示し、仏に拠点数上の譲歩を行うのである。ただしこの場合は逆に英側は仏露の同盟がきちんと切れるかどうかを信じなければならない点が、通常版同様英の最大の不安のまま残るだろう。

(3)ヘイ・ブレスト・スチームローラー

正式に上記の名前がある訳では無い。ヘイ・ブレストとは、仏のBreを英領にすることで仏の英側海軍増設を止めた英仏同盟の事を指す。ただしSRに利用するならBreを英に譲渡するだけ…というのは英側が過剰に有利という話になってしまう。そこで、個人的にはBre英領・Lvp仏領にする案を挙げておく。Bre英領はすぐに成るがLvp仏領は03年などになるので、少し長い目で同盟できないと厳しい。しかし裏切りの増設拠点となるBreとLvpの交換が上手くいけばお互いに裏切りにくくSRを進行しやすくなるだろう。もちろん、反転を計画しているなら困るだろう提案である。(ヘイ・ブレストはキーレパントを元に考案されており、「キー」の代わりに「ヘイ」と名付けたのだが、「キー」はキーレパント考案者の人名であり鍵のことでは無いので、挨拶の「ヘイ(Hey)」は意味合いが合っていない…)

どのSRでも、敵対する伊露独は嫌う。この中で最も有力な裏切りを誘う外交ができるのは仏の対称国たる露である。伊独は難しいので、行軍にもかなりの工夫をして防衛しつつ粘り強く外交が必要になる。墺土は仏の対伊や英の対露があり比較的許容しやすい。特に墺はSRを見たなら墺土英仏同盟の結成を画策できるだろう。しかも墺は対称国の英の裏切りに比較的寄与しやすく、また仏とも対称国である露程では無いが仲良くはしやすい。SRの裏に墺の計画がある…なんて事も、墺独間が思いの外不仲だとあるかもしれない。

 

⑥英独同盟

対仏包囲から伊が対仏ではなく対墺または対土を選択したパターンで、よく見かけるパターンの一つ。ただし実態は変わり、伊が参加するものに対して特に独側の裏切りを誘いやすい。対仏完遂時に独のみでの対英が厳しい(無理では無い)のが理由となる。露や伊が対英に参加できる状況ほど、裏切りは先延ばしになるかも知れない。同盟を続けるには英は独の3海軍目をどこかで許容しないといけないだろうが、その判断は非常に難しいだろう。尚、仏領の取り分は対仏包囲時の伊の取り分だったSpa・Marを両方独領とするかSpaは英領として分け合うか、くらいが選択肢として有力だろう。あまりそのまま完遂まで行くとは思いづらいが、しかし先の事を考えておかないのは外交面で裏切りの発覚に繋がりやすいので話しておく事を推奨する。対露の可能性と伊の対仏で軍が割かれる可能性が残るという点、及び対称国が生き残りやすい点で墺土には比較的歓迎されるだろう。伊にとってはどうかというと、盤面及び国家間の枠組みの考え方に依るところが大きく人によって良し悪しは大きく変わるだろう。

 

端国の同盟として有名な2つ(ジャガーノート、スチームローラー)と、比較的序盤に多い英独同盟について挙げました。有名どころはまだまだ残ってますので、書くのに時間がかかりそうですね…。ではまた次回。