適温のブログ

必要になった時のみ運用

複数国家戦略①

これからは考えたことや思いついたことをつらつらと書いていきます。各国にとって何が良くて何が悪くて、そしてその上でどうすれば裏をかけるのか…そういったことを考えるきっかけになればと思います。

自分が書くことは、あくまで自分の考え方での盤面の見方であったりディプロマシーのやり方であり、汎用的かと言われると分かりません。自分にとってディプロマシープレイ時には汎用でも、他人にとっては汎用ではない、という意味です。なので参考程度に読んでみてくださいませ。

 

はじめに:複数国家戦略とは

まずはこの記事の内容について触れておく。先に例を挙げる。ジャガーノートは強力だが、英独墺土が同盟し、かつ仏が英独伊の背中を突く気が無いのなら失敗と言える。例え英伊が対露・対土の力がそこまで出せないからといって、4カ国対2カ国で勝てる道理はほぼ無いからである。動き出しの差、行軍力の差によって露土側が勝てることはゼロでは無いが、それでも外交的には失敗と見て良いだろう。ではジャガーノートはどのような盤面ならより効率的に利用できるのだろうか?スチームローラーなら?秋の祭典なら?そういった各同盟における利点・問題点を洗い出していく、というのがこの記事の趣旨である。

各国の盤面事情についてはこれまでの記事で述べているので、もっと盤面全体的な視点を持つ…というのが大きな目的と言える。

 

①中央三国同盟(独墺伊)

現行ディプロマシー中、初手で最も話の上がる同盟である。基本的な考え方は「壁を持たない国同士、お互い侵攻しないことでお互いの領土を壁として背を預ける」というもの。ただし伊は第4補給地のTunは盤面端だし、スイスも近い。また独は独でスイスに隣接している。スイスはマップ上盤面端には見えないが、スイスも盤面端と同じく通行不可の領域であると考えれば、スイスに隣接することは柱のような細い壁を持っていることと同義となる。つまり、本当の意味で壁を持たないのは墺だけとなる。ただし、スイスはやはり小さいので、独はやはり隣接国が多くスイスには頼りきれない。伊については、陸海2軍ずつくらいで結構な防御力を持つことが可能であり、壁の恩恵は十分にあると言える。

そのため、中央三国同盟の枠組みというのは、現状その実質的な意味合いは変化している。墺独間は、お互い背を預けて壁を作るという本来の意味で変わりはない。伊独間は、そもそも侵攻ルートがTyrくらいしかなく(Bohに出れば違うが)、そのため敵国となりにくい。対仏で協力できる事もあって友好的である。しかし墺伊間は、どちらかというと伊側からの一方的な敵対関係にある。墺側からは攻めづらいが、敵国となりやすい事に変わりはない。よってこの同盟が成立するには、墺伊関係の友好化を望む国が主体となって交渉を行う必要がある。墺は伊の対墺を嫌う。これは直接的で分かりやすい。伊が墺伊友好関係を望むケースというのは、例えば伊の盤面戦略から言って対墺よりも対土や対仏の方が有力と考えているケースである。独が墺伊友好関係を望むケースというのは、(1)伊の対墺が墺の早期滅亡を招き東欧の進行が早まることで、独の西欧侵攻が間に合わなくなる事を忌避している場合や、(2)墺伊戦争が露の拡大やジャガーノートなどの引き金となる事を嫌う場合、が考えられる。

独墺伊の三国は、当然ながら全て全く同じ中央国では無いので、上記の利点が欠けたならば中央三国同盟は自然に瓦解する。例えば伊の思惑が元々対墺なら無意味だし、墺独どちらかが中央を奇襲して制覇する思考を持つならばもとより壁の思想も関係ない。中央三国同盟がその交渉のテーブルに乗るというのは、この思想に対する意思の確認と、それに反する国家があるなら他2国からその譲歩を得るかどうかを話し合うということである。現行、墺独間は流石に序盤の戦争はほぼなく、また独伊間は尚のことと考えるなら、伊の対墺のみがこの枠組みの懸念である。これを嫌うなら、墺独から伊に対価を出すのが筋であると言える。と言っても、情報の融通や伊の対土対仏協力が引き出せる関の山であるので、形骸化も止む無し、と言えるのかもしれない。

この枠組みの成立自体は、伊の対土対仏の確率が少し上がる程度のものであり、他国にさほど影響を与えない、というのも形骸化の実例と考えられる。

 

②三帝同盟(独墺露)

ディプロマシー中の3つの帝国の同盟のためこう呼ばれる。中央三国同盟よりも枠組みについての会話が減ってきた印象のある同盟思想である。この3国はディプロマシー中の3大陸軍国でもあり、そのためWar近辺で陸軍の衝突を起こしやすい。それは他国の利益となるので、陸軍国同士だが仲良くしましょう…というのが大元と思われる。実態としては露の拡大抑制の意味があり、対土対英に制限をかけている。墺に対しても対土という制約になるし、独にとっても対英とは言わずとも対露はできない、となる。

ただしこの同盟が最も有効に機能するのは1901年度中の話となる。というのは、三帝同盟に使われる交渉カードの中で最も基本的なものは独の持つSwe SOの権利だからである。露としては少なくとも01春に親墺親独を見せておかないと、Sweを貰えないという事になる。墺に切れるような有効な交渉カードは無いので、独が露墺戦争、特に露の対墺を嫌う場合に、この枠組みが成立し得る。露がSweを捨てる場合、あるいは墺独が元々対露思考だったりするとすぐ破綻するが。01春からの露土対墺と言えばジャガーノートがあるので、それを嫌ってこの同盟の話をする事もある。状況が許すなら、その後も三帝同盟が続くケースは稀にある。

尚、当然だが01春からの同盟選択肢が減る土にとっては痛手であり、逆に言えば成立しなければ墺にとって痛手になり得る。英にとって成立時露のStpシステムの可能性が上がり少し危険になる。仏にとっては対英選択が少ししやすくなるだろうし、伊は対土なら同盟を組みやすいかもしれない(ただし、結局Swe SOで瓦解するのは01秋で、伊が対土できるのは02以降なのがネックである)。

 

③対仏包囲(英独伊)

この同盟は比較的序盤組まれやすい同盟であり、逆にそれが仏のよくある序盤情勢になりがちなので、仏はよくよく警戒せねばならない。包囲される理由として、仏は勝率的には高い国であるからというのもあるが、もう少し別の側面が多いように思う。一つには、仏の補給拠点がイベリア半島であり、仏の後ろ側にあり他国は初年度誰も取得できない専用の補給拠点である事が挙げられるだろう。初年度どうしてもこれを取りに行く仏は、その序盤こそ最も隙ができ攻めやすいと言える。次に、墺土外交模様があるだろう。墺も土も伊の攻撃を受けたくはない。なので伊は西に行って欲しいが、その場合墺土の対称国である英独に対仏包囲を依頼する形になる。英独両国が呑めば、伊は簡単に西に行けるようになるだろう。ちなみに露は伊の対仏に反対するだろうが、少なくとも初年度の範囲で制裁を加えるなどは難しい。後ほど協力時に非協力的にしたり裏切りを交えるのが関の山であり、またGSLを越えるためと後で言われれば責めるのも難しくなるだろう。第三に独については、中央三国同盟の対墺しない対価として対仏となるケースもあるし、そもそも伊墺戦争(墺の早期衰退)、伊土戦争(独の友好国どうしの戦争)を望まない結果、独自ら伊を西に引っ張るべく動くというのもあり得る。英も対称国の墺の保護のため伊の対墺は望まない(対土は許すと思うが)事が多いように思う。これらの理由から選択されやすいが、仏の防衛が巧ければ時間稼ぎができ、また英独伊全て全力の対仏かどうかも場合によりけりなので、そこに崩しのポイントが出来ることも多いだろう。初手で選択された以降は、あまり綺麗に足並みが揃わないし、各国の思惑もまた変わってくるので、全力対仏というのは減ってくる所だろう。

 

今回は比較的有名でかつ選ばれやすい同盟について解説しました。今後段々とマイナーになって行きますが、3つずつくらいで、参考になる程度の情報が書けていけると良いかなと思っています。

ではでは、また次回に。