適温のブログ

必要になった時のみ運用

複数国家戦略①

これからは考えたことや思いついたことをつらつらと書いていきます。各国にとって何が良くて何が悪くて、そしてその上でどうすれば裏をかけるのか…そういったことを考えるきっかけになればと思います。

自分が書くことは、あくまで自分の考え方での盤面の見方であったりディプロマシーのやり方であり、汎用的かと言われると分かりません。自分にとってディプロマシープレイ時には汎用でも、他人にとっては汎用ではない、という意味です。なので参考程度に読んでみてくださいませ。

 

はじめに:複数国家戦略とは

まずはこの記事の内容について触れておく。先に例を挙げる。ジャガーノートは強力だが、英独墺土が同盟し、かつ仏が英独伊の背中を突く気が無いのなら失敗と言える。例え英伊が対露・対土の力がそこまで出せないからといって、4カ国対2カ国で勝てる道理はほぼ無いからである。動き出しの差、行軍力の差によって露土側が勝てることはゼロでは無いが、それでも外交的には失敗と見て良いだろう。ではジャガーノートはどのような盤面ならより効率的に利用できるのだろうか?スチームローラーなら?秋の祭典なら?そういった各同盟における利点・問題点を洗い出していく、というのがこの記事の趣旨である。

各国の盤面事情についてはこれまでの記事で述べているので、もっと盤面全体的な視点を持つ…というのが大きな目的と言える。

 

①中央三国同盟(独墺伊)

現行ディプロマシー中、初手で最も話の上がる同盟である。基本的な考え方は「壁を持たない国同士、お互い侵攻しないことでお互いの領土を壁として背を預ける」というもの。ただし伊は第4補給地のTunは盤面端だし、スイスも近い。また独は独でスイスに隣接している。スイスはマップ上盤面端には見えないが、スイスも盤面端と同じく通行不可の領域であると考えれば、スイスに隣接することは柱のような細い壁を持っていることと同義となる。つまり、本当の意味で壁を持たないのは墺だけとなる。ただし、スイスはやはり小さいので、独はやはり隣接国が多くスイスには頼りきれない。伊については、陸海2軍ずつくらいで結構な防御力を持つことが可能であり、壁の恩恵は十分にあると言える。

そのため、中央三国同盟の枠組みというのは、現状その実質的な意味合いは変化している。墺独間は、お互い背を預けて壁を作るという本来の意味で変わりはない。伊独間は、そもそも侵攻ルートがTyrくらいしかなく(Bohに出れば違うが)、そのため敵国となりにくい。対仏で協力できる事もあって友好的である。しかし墺伊間は、どちらかというと伊側からの一方的な敵対関係にある。墺側からは攻めづらいが、敵国となりやすい事に変わりはない。よってこの同盟が成立するには、墺伊関係の友好化を望む国が主体となって交渉を行う必要がある。墺は伊の対墺を嫌う。これは直接的で分かりやすい。伊が墺伊友好関係を望むケースというのは、例えば伊の盤面戦略から言って対墺よりも対土や対仏の方が有力と考えているケースである。独が墺伊友好関係を望むケースというのは、(1)伊の対墺が墺の早期滅亡を招き東欧の進行が早まることで、独の西欧侵攻が間に合わなくなる事を忌避している場合や、(2)墺伊戦争が露の拡大やジャガーノートなどの引き金となる事を嫌う場合、が考えられる。

独墺伊の三国は、当然ながら全て全く同じ中央国では無いので、上記の利点が欠けたならば中央三国同盟は自然に瓦解する。例えば伊の思惑が元々対墺なら無意味だし、墺独どちらかが中央を奇襲して制覇する思考を持つならばもとより壁の思想も関係ない。中央三国同盟がその交渉のテーブルに乗るというのは、この思想に対する意思の確認と、それに反する国家があるなら他2国からその譲歩を得るかどうかを話し合うということである。現行、墺独間は流石に序盤の戦争はほぼなく、また独伊間は尚のことと考えるなら、伊の対墺のみがこの枠組みの懸念である。これを嫌うなら、墺独から伊に対価を出すのが筋であると言える。と言っても、情報の融通や伊の対土対仏協力が引き出せる関の山であるので、形骸化も止む無し、と言えるのかもしれない。

この枠組みの成立自体は、伊の対土対仏の確率が少し上がる程度のものであり、他国にさほど影響を与えない、というのも形骸化の実例と考えられる。

 

②三帝同盟(独墺露)

ディプロマシー中の3つの帝国の同盟のためこう呼ばれる。中央三国同盟よりも枠組みについての会話が減ってきた印象のある同盟思想である。この3国はディプロマシー中の3大陸軍国でもあり、そのためWar近辺で陸軍の衝突を起こしやすい。それは他国の利益となるので、陸軍国同士だが仲良くしましょう…というのが大元と思われる。実態としては露の拡大抑制の意味があり、対土対英に制限をかけている。墺に対しても対土という制約になるし、独にとっても対英とは言わずとも対露はできない、となる。

ただしこの同盟が最も有効に機能するのは1901年度中の話となる。というのは、三帝同盟に使われる交渉カードの中で最も基本的なものは独の持つSwe SOの権利だからである。露としては少なくとも01春に親墺親独を見せておかないと、Sweを貰えないという事になる。墺に切れるような有効な交渉カードは無いので、独が露墺戦争、特に露の対墺を嫌う場合に、この枠組みが成立し得る。露がSweを捨てる場合、あるいは墺独が元々対露思考だったりするとすぐ破綻するが。01春からの露土対墺と言えばジャガーノートがあるので、それを嫌ってこの同盟の話をする事もある。状況が許すなら、その後も三帝同盟が続くケースは稀にある。

尚、当然だが01春からの同盟選択肢が減る土にとっては痛手であり、逆に言えば成立しなければ墺にとって痛手になり得る。英にとって成立時露のStpシステムの可能性が上がり少し危険になる。仏にとっては対英選択が少ししやすくなるだろうし、伊は対土なら同盟を組みやすいかもしれない(ただし、結局Swe SOで瓦解するのは01秋で、伊が対土できるのは02以降なのがネックである)。

 

③対仏包囲(英独伊)

この同盟は比較的序盤組まれやすい同盟であり、逆にそれが仏のよくある序盤情勢になりがちなので、仏はよくよく警戒せねばならない。包囲される理由として、仏は勝率的には高い国であるからというのもあるが、もう少し別の側面が多いように思う。一つには、仏の補給拠点がイベリア半島であり、仏の後ろ側にあり他国は初年度誰も取得できない専用の補給拠点である事が挙げられるだろう。初年度どうしてもこれを取りに行く仏は、その序盤こそ最も隙ができ攻めやすいと言える。次に、墺土外交模様があるだろう。墺も土も伊の攻撃を受けたくはない。なので伊は西に行って欲しいが、その場合墺土の対称国である英独に対仏包囲を依頼する形になる。英独両国が呑めば、伊は簡単に西に行けるようになるだろう。ちなみに露は伊の対仏に反対するだろうが、少なくとも初年度の範囲で制裁を加えるなどは難しい。後ほど協力時に非協力的にしたり裏切りを交えるのが関の山であり、またGSLを越えるためと後で言われれば責めるのも難しくなるだろう。第三に独については、中央三国同盟の対墺しない対価として対仏となるケースもあるし、そもそも伊墺戦争(墺の早期衰退)、伊土戦争(独の友好国どうしの戦争)を望まない結果、独自ら伊を西に引っ張るべく動くというのもあり得る。英も対称国の墺の保護のため伊の対墺は望まない(対土は許すと思うが)事が多いように思う。これらの理由から選択されやすいが、仏の防衛が巧ければ時間稼ぎができ、また英独伊全て全力の対仏かどうかも場合によりけりなので、そこに崩しのポイントが出来ることも多いだろう。初手で選択された以降は、あまり綺麗に足並みが揃わないし、各国の思惑もまた変わってくるので、全力対仏というのは減ってくる所だろう。

 

今回は比較的有名でかつ選ばれやすい同盟について解説しました。今後段々とマイナーになって行きますが、3つずつくらいで、参考になる程度の情報が書けていけると良いかなと思っています。

ではでは、また次回に。

各国解説⑦トルコ

最後はトルコです。自分としては最も苦手ですね…。

 

1.概要

アナトリア半島を本土とする、東欧の国家。陸路が2つの海で分断されかかっており、防衛には有利に働くが攻め込むルートにも難儀する。攻防を成立させるために、ある程度海軍が必要となる。一度拡大してしまえば、囲まれても防衛は容易で、長い時間耐えられるので、その間に外交を通したり西欧側で事態が進行すればまた成長の目が出てくる。

コンスタンティノープルアンカラ黒海が分断しており、またその黒海は本土2拠点と土の第4補給地ブルガリアに隣接する。加えて、地中海側もエーゲ海が本土2拠点とブルガリアに隣接するため、この2海域の取得がとても重要となる。海域という観点では伊の領海であるイオニア海に隣接しており、そのため伊はマップ上遠く見えるが隣国である。しかし土は初期配置上地中海側に海軍を持たず、そのため最初は背中がガラ空きである。移動ルートの狭さから序盤の選択肢が少なく、結果序盤の外交カードが他国より少ない。しかし行軍力には強いものがあるので、そこで勝負していく。

 

2.周辺地域(重要度順)

黒海(Bla:土露)、アルメニア(Arm:土露)…露との緩衝地帯。Blaの重要度は接している本土数から言っても土の方が重要性が高い。露からの侵攻ルートを防ぎやすいアドバンテージをむざむざ渡す可能性が出てしまうため、安易には空白化も難しい。侵入された場合に02春前にCon海軍増設からのBla奪取も十分に視野に入る。もちろん、伊が地中海側(Aeg、Eas)に来ていると色々厳しくなるが。Armには陸軍に入られると厳しくなる。たまに露海軍がBla SOを躱してArmに入るのを見かけるが、Ankにしかアクセスできないためそこまで強くはない。

エーゲ海(Aeg:土)、東地中海(Eas:土)、シリア(Syr)…土の背後の領土。Eas自体に入られてもそこまで痛手では無いが、Syrに陸軍輸送や、特にAegに入られるとより厳しくなる。主に入ってくるのは伊であるが、伊が全力西進などで墺が対土の場合は墺が入ろうとする場合もある。Bluが取得できていない、あるいは1増設を陸軍にしたなどでなければ、墺伊連携がなければ入られづらいが、逆に入られれば滅亡を覚悟する必要がある。

ブルガリア(Blu:土)、ギリシャ(Gre:墺土伊)、ルーマニア(Rum:露墺土)、セルビア(Ser:墺)…土の第4補給地Bluと、第5補給地候補の数々。BulとConが1陸軍ずつしか通れないので、バルカン半島に兵を押し出すのに微妙に難儀する。初年度2増設あれば土にとってはかなりの成長速度と言えるが、周辺国の敵対心を煽る必要もないので、周囲の状況と相談して決めよう。ただし成長速度は西欧に負けたくはないので、そのあたり組む国としっかり打ち合わせしておく必要があるだろう。

 

3.各国との関係

英…対露で協力できるが、お互い対称国を挟んでおり遠すぎるため中々外交が通りにくい。お互いが端国なのも相まって、あまり大きくなられると妨害もできず困るのも一因か。英独を仲良くさせると、伊を西へ引っ張ってくれやすいので、親独を強く推すと伊土争わず済みやすい。

仏…お互い成長すれば対伊挟撃もできるのだが、その場合どちらも海軍で対伊することになり、その後の衝突は想像に難くない。また仏の対称国の露と土の関係によって外交の通りが変わる。ジャガーノートでも有効でいられる唯一の国なので、その場合対称国の独より仲良くなる場合もある。ただしやはりそのうち地中海で衝突しうることに変わりはない。

独…対称国。お互いが陸軍国/海軍国で住み分け可能なのはやはり相性かもしれない。ただしどちらも英墺ほど専門的では無いところも似通っている。土は外交面がとても乏しいので、特に東欧内での同盟関係については協力を仰ごう。大事な点として独にとって良い土でなければ、墺伊同盟などを独が推してしまうかもしれない。独の期待する土の方向性を聞いて、それに向かうようにしたい。独土間で上手く行かなさそうなら、ジャガーノートを選択するという考え方も可能である(が、ジャガーノートが成立するかは別の話である)。

伊…お互いに地中海に隣接する領海を持つ海軍国のため、マップ上だと隣り合っていないが敵対は非常にしやすい。しかも、初年度一度でもBla SOすれば地中海では一方的に伊側から侵攻が可能である。そのため最初は腰の低い外交となりやすい。だが墺伊間も摩擦が多いので、対墺で協力関係になる事もままある。Aegを守るために、地中海側に1海軍を置く権利くらいは外交で勝ち取っておきたい。

露…組む際にBlaで非常に悩む相手。ジャガーノートは土有利と言われたり露有利と言われたり、どちらも言われるくらいには均衡がとりやすいが、とにもかくにも最初の信用が難しい。Bla SOし続けながら同盟する道もあるが、Blaからの支援ができずあまり攻撃力が上がらない。伊が対墺に来ず、墺の行軍が上手いならば露土同盟でも弾かれてしまう。なんともジレンマの多い相手である。

墺…陸海分業で組める相手。ただし墺には伊も海軍国として選択肢にあるため、露より組んでくれるかというと分からない。土の対伊時は墺の協力無くしては地中海が進みづらいので、組まずして対伊は難しく、組めないならば組めるまで守って待つというのも選択肢だろう。その間に墺側が成長して安心できる状況になれば、土とも組んでくれるかもしれない。

 

4.初手戦術

ある程度は頻度順に記載

土は初手パターンが非常に乏しい

①ロシアンディフェンス

Con-Bul、Ank-Bla、Smy-Con

黒海を守りながら、陸軍を西へと押し出す。汎用的な初手であり、逆にこれ以外を選択しづらい。またGre取得など初年度2増設を狙いやすい初手でもある。対露・対墺・対伊どれにも派生ができる。(対伊時はConかSmyに海軍増設のこと)

②ロシアンアタック

Con-Bul、Ank-Bla、Smy-Arm

ロシアンディフェンスから、Smy軍の行き先をArmにしてSevを狙う。Blaに入れれば支援ができたり、また輸送でRumを急襲するなんて事も可能。Blaに入れない限りは2増設は難しい。

③ターキッシュ・ヘッジホッグ

Con-Bul、Ank-Con、Smy-Arm

ロシアンアタックから、海軍はBlaを取りに行かずConに行く。元々露の北方オープニングに対しBla周辺の拠点全てを狙うオープニングとして開発されたが、近年ではジャガーノート亜種のブラックシー・エクスチェンジに利用される。秋にCon-Aeg、Arm-Sev、露のBla-Conにより海軍を地中海へ押し出しながらSevとConを交換する。Sevを取得した土陸軍はまるで露陸軍のように、Conを取得した露海軍は土海軍のように扱い、露海軍は土海軍に続き地中海へ押し出していく。露土の信用が鍵となる。また、Arm SOで対墺する場合にも利用可能。

④ボスポラスオープニング

Con-Bul、Ank-Con、Smy-Ank

ターキッシュヘッジホッグからSmy-Ankに変更し露領には行かないようにする。Bla不可侵の通常版ジャガーノートで使える。

パスティス定石

Con-Bul、Ank-Bla、Smy H(or Smy-Ank)

スリングショット・ジャガーノート向けの行軍になる。その場合はArmに来た露海軍をSmy-ArmをBlaで支援して解体となる。ただし、土のBla入りを露が嫌う場合は、Ank Hとなるかもしれない(その場合、Ank海軍が地中海に出るのが1手遅れる)。ジャガーノートで無い場合は秋、Smy-Syrとするシリア定石に派生できる。状況を見てから海軍の増設位置を選択できるのがシリア定石の強み。

⑥ロシアの狂騒

Con H、Ank-Bla、Smy-Arm

ロシアンアタックよりも親墺な初手。Bulの侵入を遅らせて墺のSerやGreの取得率を高める。正直、そこまでする必要があるかは疑問だが、対土包囲で潰されるよりは…という選択肢。

 

5.増設方針

どこと組み、どこを攻めるかで増設は大きく変わってくるが、最初の増設は海軍にしたい。BlaとAegに船を浮かべておけば支援しやすいだけでなく、輸送により狭い陸路の進行ルートを多彩にできるし、一気に陸軍が移動できるようになる。土がBlaとAegを取得するというのは、一方的に支援や輸送が出せるという事で、このために初手海軍増設が推奨される。その後は墺土同盟で対伊を進めるなら海軍中心、墺土同盟で対露中心や伊土同盟などなら陸軍が中心となるだろう。ジャガーノート時など対墺は陸海をバランス良く増やすなど、組む相手から進行ルートを決めそれに合わせて増やそう。伊が土の海軍増設を1増さえも拒否するケースもあるが、それで伊土組むのは地中海側を全く防衛できず厳しい。スリングショット・ジャガーノートなどでBlaが空いてAegにしか船を浮かべなくて良いなどなら海軍増設無しもあり得るかもしれないが、そういう伊なら同盟相手としては諦めても良いかもしれない。

 

6.将来展望

GSLは英同様遠いため、どこで超えるかは考えておく必要がある。対称国である独が大きい場合は、Mun・Berは狙いにくくなる。この場合、露側のStp(厳しい)か仏側のMar・Spa(・Por)辺りが選択肢になるだろう。墺滅亡後で英が対称国に成り変わった場合などは、Mun・Berが選択肢に上がる。

基本、序盤は対土包囲(特に墺露伊)を避ければ良いが、仏と似て外交面での交渉力はそう強くはない。しかも初手の選択肢が少ないことが拍車をかける。外交をどれだけ頑張っても包囲になる可能性は低くない。包囲の可能性が高い場合は防御力の高い行軍(ロシアンディフェンスなど)を心がけ、西欧は動かし東欧を停滞させるなど、他国を焦らせて組み替えを図ると良い。ディプロマシーにおける防御は外交劣勢時非常に重要である。

対称国は独であるが、独にとって土は対露くらいしか協力できない、あるいは独の対仏時伊の西進を阻むので滅亡しても構わない、もしくは成長すると墺が滅亡しても止められず西欧より東欧の進行が早まってしまう…などと、なまじ独が東欧の墺伊とも仲が良いために、協力してくれない場合もある。独の協力を得たいならば、時に成長を遅らせたり、裏切りたくない場面で裏切るなど、独にとって理想の土を演じる必要もあるかもしれない。一応、一般的には独は土>伊>墺で考えてくれるだろうが、そうでないケースも多いということである。そうなった時こそ、ジャガーノート専守防衛の選択肢の選び時と言える。

同盟は墺土同盟、対墺包囲(露土伊)、ジャガーノート(露土)、伊土同盟辺りが選択肢ではあるが、どれもシビアになると思った方が良い。組んでくれるならなんでもアリくらいに幅広く考えておこう。でないと早期滅亡もあり得る。

墺土同盟…基本的には土が対伊して墺が対露する形になる。陸軍国同士と海軍国同士がぶつかり、それにお互いが協力する形である。土の協力は墺海軍やTri陸軍が、墺の協力はBla海軍やArm・Bul陸軍が中心となるだろう。拠点振り分けは墺がSer・Rum・Ven・露領など、土がBul・Gre・Tun・Napなどになる。墺は中央国なので、拠点数への配慮に注意が必要となる。また、伊領であるIon・Tysの突破には苦労するので、時間を稼がれぬよう注意。なるべくバルカン半島内の陸軍を減らしたほうが墺側が安心するので、墺と組むにはその辺りも配慮が必要な場合がある。輸送も上手く使って読み合いを有利に進めたい。組めそうだからといって初年度Greを取りに行くのは少し強欲であるだろう。(Serに2陸軍が隣接してしまう上、対露行軍を取れないため) もし、土が対露で墺が対伊なら、土は陸軍を増設できる。この場合は盤面端をより多く取得できるためさらに硬くなる。墺に海軍増設される危険もあるがよっぽど対伊より進みも早ければ強くなれるので、許されるならばありありな選択肢だろう。

対墺包囲(露土伊)…これの成立は怪しい。というのは、対墺完遂前後に露伊挟撃の危険性が高い。かといって土に特段多く拠点が貰える感じもなく、また長蛇陣のように細く長くなりがち。拠点割り振り案は、伊露の要請なども加味すれば土はBul・Ser・Budの6、伊はTun・Gre・Triの6、露南軍はRum・Vieで5などだろう。露Vieと土Rumを交換、また伊Greと土Serを交換できれば少し安定するが、海軍をその後の対仏対土のため増やしておきたい伊が海路のGreを渡すかどうかは非常に微妙である。姿勢だけ見せて完遂前に親墺反転もアリだが、その場合は墺に敵対されないよう拠点数の調整が急務になるだろう。土側有利のまま進められるとは思えない。もしくは伊露離間を外交で進めて完遂直前にどちらか一方を押し込んで拠点数有利を作っておくのが良いかもしれない。

ジャガーノート(露土)…ジャガーノートである必要は無いが、これで記載。ジャガーノートをすると独は親英対露に回りやすいので注意、対称国で大切にして欲しいなら上手く事(行軍)を運ぶか、対称国を仏などに乗り換えるしかない。ジャガーノートは基本形、ブラックシーエクスチェンジ、スリングショットの3種類が中心だが、どれもどちらか一方、あるいは両方に裏切りやすい要素があり、一筋縄では続かない。続けるにしても裏切るにしても、細やかな外交が求められる。基本形だと土Ank-Conに対し露Sev HをSev-Blaとされやすい。ブラックシーエクスチェンジは露Sev-Blaに土Smy-Armで取りに行ったらその後露Bla-Conを弾いたりArm-Sevが弾かれる、あるいは露にBlaに居座られたり、また初年度は乗り越えてもSev陸軍をMosに進めるとかCon海軍がBulを突いたりなど多くの裏切りパターンがある。スリングショットは土がBlaから地中海に軍を出さないケースが考えられる。初手を乗り越えれば良いわけでは無い、と心得よう。裏切りの怖いジャガーノートではなく露土同盟で行くなら、Blaは毎回合意SOでも構わない。スピードの低下は招くがジャガーノートより安定した同盟ができるだろう。

伊土同盟…お互いにあまり選びづらい選択肢。ではあるが、露のプレイヤーが信用できない場合などに、対墺包囲からの派生で選ぶこともあるだろう。基本的に地中海には1海軍が伊側にとって限度なため、最初の1増設以外はほぼ陸軍となるだろう。お互いに強くなってきたら地中海の2海軍目がひょっとして許されるかもしれないが、その場合常に2軍合意SOの約束などになるかもしれない。北に陸軍で進み、北欧に行けないとそのうち独領に行き当たる。こうなれば、組んでくれるかは別として英を対称国に切り替える他ない。

 

7.その他

とにかく「外交でなんとかする」が通じないので、行軍力が要求される。拡大しても防御を常に見据え、攻められる状況を待つ。動かざること山の如し…が時に強く求められる国。といっても外交が不要ではない。ちゃんと協力国を得ておくこと。防御時に協力してくれるようになる国が出てくるはずだ。

各国解説⑥オーストリア=ハンガリー

6ヵ国目は東欧の中央国。ラストスパートと行きたいですね。

 

1.概要

バルカン半島から北へ、東欧の非常に多くの補給拠点と隣接する火薬庫。それを抱える国がオーストリア=ハンガリー(ディプロマシーではオーハン、墺)。墺は英仏以外と隣接するが、伊とはまさに隣り合わせで気が抜けない上、補給拠点の取り分からずっと他国に囲まれっぱなしとなるため独以上の上級者向け国家である。

バルカンの補給地(Ser、Rum、Gre、Bul)にアクセスが良く、そこに干渉する力が強いのがメリットであり弱点でもある。外交を強気にすれば危険視して潰され、弱気にしても利用され潰される。海軍増設港がTriの一つしかなく、しかも伊本土のVenに接しており、易々とは海軍を増やせないことと、バルカン半島との位置関係から陸軍ばかりを増やして固めて運用することとなるだろう。独に近い成長速度や交渉力を持つものの、近いだけでどちらも独以下であり、そのプレイスタイルは異なってくる。マップ上不利をこれでもかと活用する必要のある、最難国と言われるだけはある国。

 

2.周辺地域(重要度順)

セルビア(Ser:墺)…墺の第4補給地であるが、状況にもよるが本土以上の価値がある。Serを含めて周囲6補給地にアクセスできる「東欧のNth」にあたる墺の力の源である。初年度で確実に取得したい拠点と言える。逆に言えば、失うとリカバリーには非常に苦労するので、常に注意を払う必要が出てくる。

ルーマニア(Rum:露墺土)、ブルガリア(Bul:土)…露土の第4・5補給地候補であるが、取得できる状況も大いにある。Serに隣接する2拠点であり、ここにいる他国軍が陸軍か海軍かは墺の安全性に直結する。

ギリシャ(Gre:墺土伊)…墺海軍で取得できる空白補給地。隣接するIonは伊の領海、Aegは土の領海であり、ここに墺海軍を置けば伊土戦争のどちらに着くかの選択権を得られる。ただしどちらに着いたとしても、Greの領有権は要求されやすい。序盤では制海権を求める余裕も興味も少ないので、伊土には海軍での取得をお願いしてSerへの圧力を下げたい。

ヴェニス(Ven:伊)、チロル(Tyr:墺伊独)、アドリア海(Adr:墺伊)、アルバニア(Alb:墺)…伊との境界線。本国が隣接しているだけでも辛いが、これらをどれだけ空白化できるかが2国間の摩擦を減らすポイントになる。Tyrは中央三国同盟(独墺伊)での空白化を依頼し、Adrは墺伊間の不可侵、VenはできるならTriと合わせての空白化交渉を通したい。またAlbは墺は軍を割きづらいが、輸送拠点になったり海軍の支援ポイントになったりするので、基本気にならないが案外無碍にもできない地点である。

ガリシア(Gal:墺露)、ボヘミア(Boh:独墺)…Galは墺露戦争の進行ルートであり、お互い陸軍国であることから非常にぶつかりやすい。幸いGalが空白であるのなら、墺露間は友好的にしやすい(ので、大きく作られているとか)。独が墺の早期衰退を望まないならば、独に依頼すればSwe SOしない条件に初年度のGal空白化を含めてくれることがある。Bohはほとんど使うことは無いが、Galに支援出すとかWarへの進行ルートなどで中盤に軍の余が有れば使うことがある程度。その際は独への許可願いを忘れずに。

 

3.各国との関係

英…唯一の対称国であり、基本的にずっと信用して問題がない相手。墺は最大の陸軍国であり、英は最大の海軍国と言う点でも完全な陸海分業がなされ得るため、一方の国だけ大きくなるなどで無ければ全く同盟に問題がない。英の方が外交的不利を負いがちであるのでそこを墺がサポートし、墺の行軍的不利を英の対露・対独・対仏いずれかでサポートするなど、長く協力できる。

仏…墺と接しない2つ目の国だが、その仏の対称国が露であるため、情報の交換が微妙にスムーズにいかない相手。挟撃するにも、墺からは押し切りにくい伊と、東西GSLを挟み墺からは攻め込む余裕の作りづらい独であるため、リスキーで協力自体が難しい。対伊については仏側も実行の真偽が不明な状況が多く、墺だけ対伊して膠着状態から背中を露土に取られるなどしたら本末転倒となる。英滅亡時などは、代理の対称国としてある程度機能するが、英ほどの組み合わせの良好さはない。露墺関係が良好なほど情報の融通が良くなる相手。

独…中央三国同盟(独墺伊)と三帝同盟(独墺露)を共通して持ちうる相手。お互いに囲まれれば速攻で滅亡し得るが、相手が速攻で滅亡するというのは、墺にとって言えば西欧の決着が早まるということ。お互い相手の早期滅亡は望まないので、対称国ではないながらも比較的良好な関係を築きやすい。独の外交力を活かし、伊露に対墺を止めるよう説得してもらえると嬉しい。見返りとしては墺の対露などの行軍確約よりもこちらが比較的得やすい西欧(英仏)の情報が良いだろう。特に英の親独が得られれば独は序盤は安定しやすいはず。陸軍国同士、成長後には衝突しやすい間柄ではあるが、逆に言えば成長前ならちゃんと協力できるはずであるので、上手く関係性を利用したい相手。

伊…本土隣接により外交がシビアになる相手。最序盤にこちらから攻め入るのは背後の露土もあり戦力的に難しく、また侵攻ルートに海軍を含めないと戦力が揃いづらい。しかも対伊時の同盟相手(主に土仏)が来るのには時間がかかる。中盤以降余裕を見て対伊となるだろう。同盟時は安全のためにこちらから譲歩しても良いが、やはり外交上はなるべく対等な関係を目指したい。幸い伊側は海軍国であるため、その点で上手く住み分けする様に進めたい。序盤は動きづらいTri海軍の動きも伊にとっては馬鹿にならない影響があるので、しっかり活用しよう。Tri・Venの空白化が成れば、墺としては外交成果が高いと言える。個人の発想なので実現するかどうかはともかく、Ven-Tri交換ができるとより組みやすいかもしれない。

露…東欧で陸軍国同士で衝突しがちな相手。墺側は初年度の陸軍数には余裕が無いので、安易に合意SOとはしたくない。しかし安全を確保したいならGalは確実に守らねばならない。土を懸念する気持ちはBlaの存在により露側の方が大きいところがあるので、上手く露土衝突させたい。せめて、Bla SOであって欲しい(空白化は最悪)。露のStpシステムは墺の安全性は確保されるが、英が苦しくなるので複雑な心境になる選択肢と言える。

土…東欧の海軍国で墺としては組みやすい相手。ただし拡大後これを抑える事は可能でも、衰退させるのは墺単独となりやすく、しかも海軍が必要で難儀する。伊が生きているなら、伊海軍と連携したい。土に露側に成長されると、陸軍を増設して成長するので墺にとって余計に脅威となりかねない。海軍を増設してもらい地中海を侵攻して貰おう。もし墺が海軍を増設し土領を全て掌握できれば、黒海の制圧もでき対露も優勢に進む。ただしあるあるとしてその前に包囲されるだろうが…。なるべく露伊に土を「脅威」と思ってもらうようにしたい。

 

4.初手戦術

ある程度は頻度順に記載

①バルカンギャンビット

Tri-Alb、Bud-Ser、Vie自由(-Tri、-Gal、-Bud、-Tyrなど)

01秋:Alb-Gre、Ser S Alb-Gre

Vieの動きで「〜バリエーション」と呼ばれる(Vie-Triなら「バルカンギャンビットTriバリエーション」)。近年確立されてきた、墺の初年度2増を狙う手。初手でSerに移動する事で、秋にはGreに2軍で臨めるし、SerからRumに干渉しても良い。ただし本国防衛がVieの1軍になるので、対露防衛で-Gal、対伊(Ven-Triやチロルアタック)防衛で-Tri、露伊挟撃がない場合にRumへのアクセスを可能とする-Bud、伊のチロルアタック1点読みの-Tyrなどが候補に上がる。不利な墺を初年度で比較的安定した立ち位置に引き上げられるギャンブル手だが、その見返りは大きい。尚、対土時もこのオープニングが選ばれやすい。キーレパント(イタリアを参照)時も、墺伊間の友好関係を隠すのとGreは取りに行くのでこれに近い形となるだろう。特にTriかBudバリエーションからは、イオニア海の籠手に派生しやすい。Alb-Ion、Ser-Greとする。イタリアを地中海から強襲するが、後述のブルーウォーターレパント(墺伊)へさらに派生が可能。ただし結構な伊の負担になるので注意。

②サザン・ヘッジホッグ

Tri-Ven、Bud-Ser、Vie-Gal

対露対伊防衛の初手。基本的に初年度1増で安定しやすい。海軍が伊の本土Venに移動するが、海軍であるため大抵秋には弾かれて終わる。そのため攻撃用ではなく防御用と言える。Serを取りに行かずにBud-Rumとすると冠詞なしでヘッジホッグと呼び、より対露色が強くなるが土にお腹(Ser)を見せてしまうのであまり推奨できなくなる。またBud S Vie-Galとすればヤマアラシと呼ばれる。この場合秋にBud-SerでSerは取りに行けるが、土が対墺路線ならSOの可能性が出てくる。逆に、Vie S Bud-Galとすると「死せるヤマアラシ」となりSerを取りにいけなくなる。メリットは微妙だがより親土感があるくらいか?

③ロードホッグ

Tri H、Bud-Rum、Vie-Gal

サザン・ヘッジホッグ同様、ヘッジホッグの派生行軍。Tri Hとした事で、親伊を示す…のだが、Tri-Albでも無いので保険の意味合いがある。強烈な対露に変わりは無い。Bud-Serとすればサザン・ロードホッグも。ヘッジホッグのバリエーションとして記載。

ブルーウォーター

Tri-Adr、他自由

初手でAdrに入る。バリエーションとしてフォンメッケブリッツ(Vie-Tyr、Bud-Tri)が有名。3軍での全力の対伊になるが、取得できるのはVenのみ…と寂しい。むしろヘッジホッグ系(Tri-Ven)で良いように思う。伊がVen空白化に同意した場合、Tri-Serにより2増の可能性が生まれるが、そこまで計画的に外交で盤面を動かせるなら他のオープニングでも十分と思われる。他のバリエーションとして、Vie-TriやBud-SerまたはBud-Galなどと組み合わせると良いかもしれない。ブルーウォーターの派生でブルーウォーターレパントがあり、01秋にAdr-Ionとして、02春に伊のTunとNapの海軍でこれを撤退させ、撤退フェイズにてIon-Eas  or -Aegを確実に成功させるという手がある。どちらかと言うとフォンメッケブリッツから墺伊和解の選択肢…とした方が良いのかもしれない。ただし、土がジャガーノートを選択し初年度で土海軍がAegまで出てくると、Smy海軍増設によりブルーウォーターレパントはEasもAegも空かなくなる点には注意。ブルーウォーターレパント自体はTri-Adrからでも実行可能。もちろん、これと見せかけてIonからTysなど西側に行くと…後は想像にお任せする。

 

5.増設方針

基本的に陸軍で良い。陸軍が4以上になり安定したぐらいから、海軍増設をすべきかどうか考えておこう。少なくとも、海軍がいなくても墺の序盤にそこまでの問題は発生しにくい。むしろ、仮定だが初期配置でTriが陸軍だったら、もっと最序盤は安定したのかもしれない。地中海の覇権は露と長く組むならば必要になるが、伊土どちらかと長く組む場合は必要ない…というより、伊土には海軍国になって貰わないと襲われやすくて困ってしまう。なので、例えば伊が対仏していて対土に海軍が必要な時など、稀なケースでしか2隻目の海軍増設はできないと思った方が良い。拠点数減少で軍が減る場合も、海軍は有力な解体先となる。バルカンの安定こそが墺の安定である。陸軍で固めるようにした方が安全。

 

6.将来展望

東西GSLの観点では、とても越えやすい位置にいる。墺独間のマスは細かくて攻めやすい。その上でMunは大きくBerも狙いやすいので、陸軍の余力さえあれば簡単に奪えるだろう。もちろん維持には非常に苦労するので、どのタイミングで越えるかはよく考える必要があるが。

最序盤から、中長期目線で考えてくれる相手を探したい。墺の周囲の国(露土伊)が全て長期同盟に向かない場合、待っているのは滅亡と心得よう。バルカンの周囲で裏切りが飛び交うなら、その裏切りの対象になるのは補給拠点の多いバルカン半島での約束が大半になるからである。下手な拡大よりも信用である。ただしもちろん、中央国なので不利な外交(例えば、同じ拠点数での同盟など)を呑めば、そもそもタイマンでも拮抗してしまう。こちらだけは背後に壁はなく、挟撃されるのを待つだけ…なんて事にならないように。

東欧の国の中でも比較的、西欧に仲の良い国を持ちやすくはあるので、独同様に西欧の情報収集から外交コントロールをするプレイイングは可能。独のコントロールが弱いようなら、西欧コントロールを利用して欧州全体をコントロールしてしまおう。そんな外交が通るだけのマップ上の不利を墺は負っている。独が外交を大事にする相手なら、情報を交換しながら相手の腹の内を探っていくことになるだろう。墺をぞんざいに扱うなら、英仏を独にけしかける…という手もやればできるところを場合によっては見せる必要がある。あらゆる弱さを使って、周囲の国を跳ね除けるように強くなる必要がある。

同盟としては、墺土同盟、対土包囲(伊墺露)、墺伊同盟あたりが選択肢。墺露同盟も不可能ではないが特に墺側が厳しい。一度だけ東欧三国同盟(露墺土)も見たことがあるが、確率的には非現実的であることに変わりはない。

墺土同盟…墺土で対露伊をするのが通常。陸海分業の為には、墺が対露して土が対伊することになる。拠点の割り当ては墺:Ser、Rum、Ven、Rom、露領(Sev・War・Mos)、土:Bul、Gre、Tun、Nap辺りが望ましいだろうか。Sevが墺に無いと(陸軍のArmの経路が消えるので)裏切りが土側から一方的になりやすく、また海軍を西に押し出していく形にしたいのでなるべく海路を土に渡していく。この比率だと拠点数10:7だがRomを土領とするなら9:8。この辺りは西欧攻めのタイミングと合わせて状況判断しよう。Rom土領の方が安定はする、その代わりに墺がMun・Berなら11:8で理想的かもしれない。この同盟に限った話では無いが、お互い及び英の成長速度には注意のこと。

対土包囲(伊墺露)…あまり良い拠点数振り分けがない。やるなら伊Tun・Gre・Smy、露Rum・Ank、墺Ser・Bul・Conだが完遂時露南軍5、伊6、墺6で墺が挟撃回避が不可能なレベルになる。Greを墺領にしても5:5:7で挟撃はやはり厳しいし特にConが形も悪い(Rumと交換もアリか?)。しかし土領を3分割にしないと完遂前に反転されやすい。そのため対土包囲は途中で墺が対露に反転しやすいと言われており、実際そうせざるを得ないことが多い。対露であって対伊ではないのは、陸軍による攻め込みやすさの差である。最序盤に対土するのは、その後墺土同盟に移行したとき拠点数の振り分けを墺優位にしやすいメリットがあり、そういう考え方で選択するのもアリか。

墺伊同盟…キーレパントなどで選択肢に上がる。墺土同盟から伊土交換した感じになる。拠点数振り分け例として墺:Ser・Blu・Rum、露領(Sev・War・Mos)、伊:Tun、Gre、土領(Con・Smy・Ank)とすれば9:8である。Gre墺領で10:7になる。伊は対土から対仏反転に時間がかかるので、墺の侵攻が早ければGreやBluで調整するのもありだろう。伊側が拠点維持のために1軍くらいは陸軍が土領に残る想定なら、土領に閉じ込めておくように。伊が露の滅亡を許すかどうかが微妙な点だが、そもそも優勢にならなければ制覇は有り得ない、その為には高い信用の同盟が必要と考えるタイプなら、墺伊同盟は成立し得るだろう。

墺露同盟…拠点数振り分けはともかく、お互いに陸軍国同士、そこそこ理想から外れて仕方なく選択すると思われる。対土完遂後、墺海軍を生産し西へ、露は北側海軍や陸軍で北軍を西欧へ…となる。仏を同盟に組み込めれば、海軍が少なくても墺仏による対伊挟撃を成立させられるが、仏が大きくなれば仏露挟撃の憂き目に…。とても難しい同盟。

露墺土同盟…露土はスリングショット・ジャガーノートの形で露海軍を消し、露は北側に注力する。土は対伊、露は対独、墺は対独対伊の2正面作戦。やはり中央国なので少し多めに拠点を貰おう。その後英仏も潰せば完遂だが…同盟序盤が難関すぎる。

 

7.その他

長期同盟の視点については、今後別途解説予定であるが、別にその重要性は墺に限った話ではない。ただ墺は長期同盟になれなければ滅亡が見えやすい、つまるところ長期同盟をしてくれる国なんだと「思わせる」ことができれば…勝機もきっと見えてくるだろう。

各国解説⑤ロシア

5カ国目はロシア。イタリア同様、東欧と西欧の間にいる国ですが、その立ち位置もプレイスタイルも大きく異なります。

 

1.概要

マップ東端に大きな本土を持つ大国。最初から4拠点もある上に全てのマスが大きく描かれているため本当に大きく見える。1日卓など時間制限で拠点数を競う場合は別だが、ロシアは南北に海軍が割かれており、通常の拠点数でのカウントでは有利不利を数えることができない。尚、ディプロマシー中では北欧やサンクトペテルブルクは「西欧」という括りとなる(東西GSLの影響)。露の南軍は東欧に、北軍は西欧に…という扱いだが、陸軍はどちらにもシフトできる。このためディプロマシー2番手の陸軍国であり、上手く活用できると良い。

初期配置の東欧側…南軍が3軍、西欧側…北軍が1軍であるが、ワルシャワから西へ、モスクワから北へ行けばどちらも西欧側にアクセスできる(用途は大きく異なる)。露は最初から東西GSLを超えているため、拡大さえできればあまり深く考えずとも制覇しやすい。ただしもちろん、この記事を読んだ方など有識者はそれを踏まえて外交と行軍を考えるため、一筋縄では行かなくなるだろう。

 

2.周辺地域(重要度順)

ルーマニア(Rum:露墺土)…露が墺土露の3国のうち2対1の多数派に入ることができれば取得できる。初期の最有力追加補給地なので、是非とも取得したいが、南に3軍向けたとしてもGalやBlaでSOしていると支援込みでは入りにくくなる。どちらかのOKが貰えるよう、墺土離間を進めよう。伊も協力してくれる。Rumを陸軍で取得するのが通常だが、海軍で取得すると(対墺しづらくなるため)親墺となる。この時Blaを土に取られる事もあるが、陸軍がSevにいるなら土の背後Armを睨める。よく考えて選択する事。

ガリシア(Gal:墺露)…墺との緩衝地帯。初手対土を見せるなら不可侵や合意SO、逆に対墺を見せるなら不可侵からの裏切り侵入になる。最悪の場合墺側は支援付きで侵入され露のRum取得は難しくなるが、その場合墺も2増設は厳しくなる。墺と仲良くしたいなら、合意SOも含めて空白化を維持する事。独が親墺の場合、SweでSOしない条件にGalの空白化を含めることがある。

黒海(Bla:土露)、アルメニア(Arm:土露)…土との緩衝地帯。Blaは頻繁に土海軍とのSOが為される。周辺に多くの拠点を持つため土と駆け引きの場となるが、海軍国である土に勝ちBlaを維持することは、墺伊双方の協力がなければ難しい。Sevへの海軍増設が増設バランス的に難しい事もあり、取れてもあまり長時間の維持は出来ないだろう。ジャガーノート(露土同盟・対墺速攻)の亜種などでは、露海軍がBlaを通過し地中海に出たりArmに行って解体されたりなどする。そのArmは、陸軍で侵入できれば土の首根っこを掴めるのだが、奇襲で海軍で入るのが関の山でむしろ土側の対露用陸路として使われやすいので注意。

スウェーデン(Swe:露独)、バルト海(Bal:独)、ボスニア海(Bot:露)、フィンランド(Fin:露)、リヴォニア(Liv:露)…北欧の南側海域。独露間の緩衝地帯その1。初期配置で海軍がStp南岸にいるため、初年度狙える補給地はSweとなる。だが独海軍が初手でDenに行くと独にSOの選択権が行ってしまうため、最初からそのつもりで外交を進めること。基本はBot経由でSweを狙えば良い。そこからSOを察知してBalに行った場合、独と険悪になるのはもちろんだが北側に増設がなければStpが英から空き巣を狙われる。Mosに陸軍がいれば守れるがそれはそれで動かせる軍の数の負担になるので、空き巣はBot海軍に守らせる方がやりやすい。リスキーな選択と理解したうえでBal行きを実行すること。尚、親独時はSwe侵入後Stp増設してSwe海軍をNwyに動かしてSweを独に明け渡す方が、StpもNwyも守りやすく対英もしやすく手堅い。Finは陸軍がいると北欧が安定するがそこに割く軍が無いことが多い。Livは昔、Sweへの輸送拠点などで使われたことがあるようだが、StpやMosへの支援地点としての意味合いくらいしか無く価値が低い。

ノルウェー(Nwy:英)、バレンツ海(Bar:露)…英露間で衝突し得るエリア。特にNwyは英の第4補給地となりやすいが、Stpと隣接されるため同盟には骨が折れる。対独でSwe露領、Den英領となればStpから順に補給拠点が縞模様のようになり、とても不安定な形となる。対独包囲ならむしろ独本土を貰うなど策を練ろう。初手をMos-Stpとした場合、英のNwy取得を妨害できる(もちろん、支援で無理やり入られる事もあり得るが)。逆に英の対露で、Nwyへの輸送やBarへの侵入が行われるとStpが維持できなくなる。特に陸軍がStpに入るのは滅亡の危険が大きい。仏など含めてよくよく抑え込むようにしたい。

シレジア(Sil:独露)、プロシア(Pru:独露)…独露の緩衝地帯その2。こちらは完全に独の背後であるが、露は南軍が忙しいと手を出す余裕がない。独側も対仏が忙しい時手を出す余裕が無いが、逆に対英時は陸軍が余るため手を出してくる可能性が否定できない。仏を救う場合など、ご利用は計画的に。成果なく押し戻されて信用を失っても損するだけである。

 

3.各国との関係

英…北欧で睨み合う関係。独の協力が無ければこちらからの手出しは難しい。下手に大きくなると、海軍数の差で露が協力しても押し返せない場合が多い。最悪北軍を捨てて、ただしStpは海軍で取ってもらおう。それならいつか取り返せるかもしれない。対独協力できるが拠点の振り分けは根気よく繊細に行い、お互いが納得のいく形としたい。

仏…露が仏の唯一の対称国であるため、情報はほぼ筒抜けになる関係。変に策をこじらせる必要もない。ただし、仏の対伊だけは情報が来ない場合がある。弱い北軍を上手く運用し、南北共に拡大していく為にしっかりと連携したい。

独…陸軍国同士であまり仲が良くない上に、SweのSO権で難しい関係になりがち。ただし独は対英にも難儀しやすいので、そこにつけ込む隙があるだろう。ただ、Swe取得条件の一つにStp北岸への海軍増設というものがある。Stp北岸海軍は対英だが、露としてそこまで対英に攻め込む気が無いなら陸軍の方が南にも気を使えて重宝するので難しいところ。仏に加え伊の協力があれば、同盟はともかく不可侵程度の友好関係は築きやすい。

伊…露の大事な南軍側の対称国。ただし露からはコントロールが難しく、対仏に行ってしまったり墺と仲良くして墺の対露を放置する場合なんてのもある。伊が盤面をどう捉えて露にどう動いて欲しいのか、しっかり話さなければきちんと組んでは貰えない。露をちゃんと長い目で同盟国と捉えてくれれば、英独の情報なども貰えるため勝率は大きく上がるだろう。

墺…独以上、露以上の陸軍国でとてもぶつかりやすい。露からすれば補給地の塊であり、陸軍は邪魔なので組みたい相手とは言いづらいが、伊や独の要請、Blaで土と揉めるなどで対墺ができないケースも多い。墺側が海軍を作るようなら、墺露長期同盟もあり得るのかもしれないが…それ自体が難しいというのがハードルが高い。一応、Galの空白化とRum露領さえあれば墺露間は基本平和でいられる。

土…Blaで海軍同士の衝突が多く、また露側の侵攻ルートの少なさから攻めづらく、組みづらい相手。伊が海軍で背を突きやすいが、その場合露墺程ではないが時間がかかる。組む場合は後ほどの事を考え、伊滅亡後でも仏の海軍と協力して止められるようにしておくなどの策を考えておこう。色々な同盟策が考えられてきたが、最も簡単なのは墺とのGal同様BlaでSOし続ける事である。ただし、その場合対墺攻撃力はとても下がる。

 

4.初手戦術

ある程度は頻度順に記載

南側に3軍向けるのを「南方オープニング」、北側に2軍向けるのを「北方オープニング」と呼ぶ。これはロシア共通。

①サザン・ディフェンス

Mos-Ukr、War-Gal、Sev-Bla、Stp(sc)-Bot

汎用的な南方オープニング。BlaやGalは合意SOの場合も多い。様子見しつつUkrに進軍しRumを窺う。汎用的だが対墺・対土などの姿勢は見せづらい。土Smy-Arm、Ank-Conとなると、秋に土Arm-Sev、露Bla-Conとしてジャガーノート(露土同盟・対墺速攻)の一種のブラックシーエクスチェンジへの派生がある。

②ターキッシュアタック

Mos-Sev、War-Ukr、Sev-Bla、Stp(sc)-Bot

Gal不可侵合意時の南方オープニング。土のターキッシュヘッジホッグ(Ank-Con)などでBlaでSOしない場合にSevに陸軍を置けるようになり土にとって非常に驚異的となる。が、大抵はBlaでSOするので、Mosに残りやすい。ただし土のロシアンアタック(Ank-Bla、Smy-Arm)などでMos軍はSev防衛に回せるので損はしない。

オーストリアアタック

Mos-Ukr、War-Gal、Sev H(or -Rum)、Stp(sc)-Bot

対墺用南方オープニング。通常Sev-Rumだが、墺の対露がBud-Rumの時代にSO目的などで選択されたようなので、現行主流のSev Hで記載。この場合、秋にRumへの支援をSevから出せるのが利点。土との合意次第ではSev-Arm(Arm合意SOや、秋にArmを土軍で解体(スリングショット・ジャガーノートへの派生)狙い)もアリ。Bla不可侵合意時などに。露よりも土にとって重要度が高いBlaに侵入される可能性は高いので、その点注意は必要になる。伊土に親土対墺の姿勢を見せることができるオープニング。

④Stpシステム

Mos-Stp、War-Ukr or Gal、Sev-Bla、Stp(sc)-Bot

北方オープニングのうちMos-Stpを選択するものをStpシステムと呼ぶ。現行の北方オープニングはこれが主流。アシカ作戦(仏独露による対英速攻)ではこれが採用される。このうち、War-Ukrはスクイッド(イカの英訳)、War-Galはオクトパス(タコ)と呼ばれる。最も主流はスクイッドである。三帝同盟(墺独露の3つの陸軍国家による同盟)成立時などでGalは不可侵となり、南側が初年度対墺でなければ陸軍を割く必要が薄いので、スクイッドが候補に上がる。北の英を妨害できるが南は大分脆くなるので、墺露対土の確信が持てる時に実行しよう。また、伊側がこのオープニングを嫌う場合もあるので、そこを外交で躱せる場合でないと難しい。北方オープニング自体の採用率が高くないが、特にスクイッドが有力手なのは間違いがない。対英の重要度が高いと判断されたら、Stpシステムを選択肢に入れよう。

ワルシャワシステム

Mos-War、Warは自由(War-Ukrなど)

War-UkrならばGalに2軍隣接させられる。墺との関係性がどうしても悪く墺Vie-Gal、Bud S Vie-Galが見えている場合などに。SO狙いならサザンディフェンスでも問題ないが、こちらなら対墺しない姿勢を見せられる。

⑥ジャーマンアタック

War-Sil、Stp(sc)-Bot、他自由

仏のBur侵入が無いと厳しい対独の北方オープニング。北方オープニングは陸軍を投入するのでどうしても対墺防御は下がる。墺露同盟して独の対称国たる対土に残りの軍を使う感じになるだろうか。

リヴォニアシステム

Mos-Lvn、Stp(sc)-Bot

01秋:Bot C Lvn-Swe、Lvn-Swe

昔使われていた北方オープニングの一つ。Sweを陸軍で取得し海軍はBalを睨むので対独寄りであるが、他の北方オープニング同様墺に弱い。また現環境は独Kie-Denがとても多い為、輸送までしてSwe SO貰うくらいならSilに入ってしまう方が良いだろう。

 

5.増設方針

南北の軍の連携をとるために陸軍を基本とする。しかし近隣国の要請は大概、その近隣国に攻め込めない位置への海軍の増設(例:独のStp(nc)海軍増設要請など)である。時間制限などであまり外交が多くない卓なら、話してないのをいいことにしれっと陸軍を増やすのが良い。少なくとも最初の1増設は陸軍としたい。北側に1、南側に3も陸軍があれば本土がとても安定し動きやすい。もちろん、海軍が減れば対土・対英は難しくなるが、そこは元々他国の力も頼って攻略する位置である。陸軍増設チャンスを逃さないようにしたい。ただしもちろん陸軍が増えてくれば対墺対独路線なので、その点は把握して先を読んで運用すること。

 

6.将来展望

GSLで言えば、初期配置で東西GSLを跨いでいる上に、少し南下すればすぐ南北GSLを越えられるので、他国に比べあまり悩む必要はない。露は敵対しやすい近隣国(英独墺土)と、協力しやすい対称国(仏伊)がはっきりしており、近隣国間では露を抑える方策(どの国が抑えていくか)が議論されている。この近隣国間が友好的なままだと、そのうち滅ぼされるか、良くて成長できない生殺し状態にされてしまう。なので外交で粘り強く墺土間、英独間の離間を進めよう。そこに亀裂が入れば、露の成長の目が出てくる。

基本は南方オープニングを選択すれば良いが、北方オープニングも忘れないようにしたい。南方には余裕があるのに北方(Stp)が潰された…では勝機が遠のく。南北どちらも少しずつ上手くいくように、常に盤面を見て南北の勢力をコントロールしていく。他国と比べて南北どちらでも成長でき、また盤面端を背にすることから拡大を急ぐ必要はない。攻め時を見誤らないようにしたい。

同盟では、南方は対土包囲(墺露伊)、対墺包囲(露土伊)、ジャガーノート(露土)が有力な選択肢。北方はアシカ作戦(独仏露)、対独包囲(英仏露)辺りが選択肢に上がるだろうが、オープニングの選択によって力の配分が大きく変わり、両立しづらい択もある。

対土包囲(墺露伊)…露のSev海軍一隻ではBlaを奪う事は難しいので、墺伊の海軍に動いてもらいAegやEasを狙う形になる。Rumを取得して以降はしばらく待ち状態となるため、Gal不可侵が成立すれば北に手を割きやすい。露の取り分はRumに加えAnkである事が多いだろう。特に墺が土の拡大を危険視する際に選択されやすいが、やはり陸軍国同士なので対露反転も割と多いので注意はしておくこと。完遂後は伊と対墺挟撃するか、対独などに路線変更があり得る。

対墺包囲(露土伊)…墺を攻めるのは露が主体となる。この場合、伊が完全に東欧に絡む場合は、Greを伊領とするか土領とするかという問題が始めに生じるが、そこは伊土間に任せて良いだろう。露の取り分はRum、Vieとなる。伊がTriとGreまたはBudなど、他が土領…という具合に変化しやすい。Rumを土に渡して露がVie・Budというのもアリ…というか、土はこちらを好むかもしれない。ジャガーノートの形に伊が加わる場合もこの状況になる。完遂後対土するか対独などに路線変更するかは好みと状況で分かれる。対土包囲に比べて陸軍を増設しやすいので、陸軍を少し北に動かせば対独は実現できるだろう。ただし初年度から2陸軍を対墺に使うので、北方オープニングは選択不可となる。

ジャガーノート(露土)…露土による対墺速攻。同盟が続くなら北側を露が南側を土が西へ西へと制圧していく。増設はWarやStpが主体となる。割合などは要相談だろう。伊が対墺時に加わると侵攻が早まるが、その後の状況をジャガーノート継続にするか伊と組むか悩ましくなるだろう。ジャガーノートは主に派生が現在3種類ある。①Sev H又はSmy-ArmとのArm合意SOなどでBla空白化するタイプ(通常版)。②Sev-Bla-Con、Smy-Arm-Sevとして初年度初期拠点と1軍をを交換、後は土陸軍はバルカンへ露海軍は地中海へと押し出していく黒海交換(ブラックシー・エクスチェンジ)。③手間はかかるが初手Sev-Armとし土に2軍で解体させ陸軍に変えるスリングショット・ジャガーノート。提案する場合はこれらの派生のメリットデメリットを把握してから提案しよう。ただしBlaを土に取得されると土はとても硬く、また露としても攻め込まれ得る危険性が生じるので、Blaを空けるというのはとても難しい。それを乗り越えた上にジャガーノートは成り立っている。もちろん、北方オープニング非対応。

アシカ作戦(独仏露)…アシカ作戦とは、独仏で初年度からNthを奪いに行き、露は北方オープニングからNwy取得を妨害しにかかる3国共同作戦のことを示す。対英包囲ならばアシカ作戦である必要はないが、アシカ作戦の方が仏としては好ましい場合がある。南方が対土で決まり、北方オープニングに問題ないと判明した状態で行うこと。基本的に、北方オープニングの情報は墺伊土には知られてはならないのでその点も注意。(英に流されやすい)

対独包囲(英仏露)…この場合、無理に北方オープニングで干渉する必要は無いかもしれない。独が「露には味方でいて欲しい」と思えばSweをくれるかもしれないし、そもそも3国間でBot-Balの作成になる可能性もある。Swe SOを誘発してマクデブルク(露Mos-Stp-Nwy、Stp(sc)-Bot-Bal、英Edi(or Lon)-Nth-Den(or Nth C Yor-Den)、独Kie-Den-Swe)とする手もあるが、初手から選ぶ理由が少ない。英が露の対墺を極端に嫌うならあり得るかもしれないが…。ともあれ、Stp(sc)海軍は普通に対独には使えるので、War-Silも視野に入れつつ無理のない手を選びたい。尚一点注意として、独に仏への応対が悪かったりするとスチームローラー(英仏長期同盟)に持ち込まれる恐れがある。その辺りよく話しておく必要がある。

 

7.その他

南北をかすめ取るようにして拡大していくには、近隣国同士の不和が不可欠である。その溝が大きければ大きいほど旨味がある。ただしある程度侵攻したならちゃんと滅ぼす判断も必要である。

世界の2大大国へ向けて、欧州を席巻できるよう地道に外交を重ねよう。

各国解説④イタリア

東欧に分類され、一応は中央国の仲間とされるが実態は…そんなイタリアで折り返しです。

 

1.概要

イタリア半島を本土とする国家であるが、海軍国としての立ち位置が強い。中央国の一国としてカウントされるが、中央国と言うには盤面南端を取得でき、スイスとの間で柱のように国家を形成できることから中央国とも言いがたい。イタリア半島は陸路はスイスで塞がれ、海路は拠点密度が低く地形が大きいため、陸海ともに進軍されにくく、結果挟撃も受けづらい。

初年度安定して取得できる拠点としてTunを持つが、それ以外の空白補給地にも海軍でしか手出しが難しい。また、防衛も陸軍2あれば陸路はほぼ事足り、海軍の重要性がとても高い。そのため英以外の国と地続きでありながら本ゲーム中2番手の海軍国となっている。その海軍の進軍の難しさから、その行軍には非常に気を使わされるため上級者向けと言える。

 

2.周辺地域(重要度順)

ティレニア海(Tys:伊)、トスカーナ(Tus:伊)…伊の弱点とも言える領海・領土で、ここに敵国の海軍/陸軍が侵入すると伊の勝機が見えなくなる。仏のGas以上に追い出すのには苦労するので、確実に守りたいエリア。攻勢時はあまり出番はない。

イオニア海(Ion:伊)、アピュリア(Apu:伊)…Tys、Tus同様に伊の領海・領土であるが、Tys、Tus程の危険性はない。それでも侵入されるととても苦労するので、気は抜けない。基本的には東欧への輸送など対土・対墺攻撃拠点として機能する。

チロル(Tyr:墺独伊)、トリエステ(Tri:墺)、アドリア海(Adr:墺伊)…墺伊間は本土が隣接しており、VenとTriは緊張状態になりやすい。そこにさらに支援を加える為の2地点がTyrとAdrとなる。ただし、Tyr・Adr両方に軍を入れられなければ2軍で基本どちらも防衛できるため、渋滞しやすい。同盟時はお互い空白化合意がベスト。本土にTriしか港を持たない墺に海軍の増設をされたく無いなら、Venに軍を置いておくのも一考の価値があるかも。

チュニス(Tun:伊)…伊のために作られた補給拠点だとか。初年度から安定して取得できるが、最近は初年度に取得しない選択肢もリスキーだが出てきている。対墺ではない場合、Ionから輸送による陸軍で取得するかそのまま海軍で取得するかで、対土(陸軍時)か対仏(海軍時)かが定石によりある程度判断される。

ピエモンテ(Pie:伊仏)、リヨン湾(GoL:仏)、西地中海(Wes:仏伊)、北アフリカ(NAf:伊仏)…仏伊間の緩衝地帯。基本は空白化で合意するが、伊の対仏時に特に守られることは無いし、序盤にはあまり無いが仏の対伊時にも守られることは無い。Pieは唯一初手で行ける対仏で、ただし陸軍1つなので他は対土に使うなどもできる。GoLは入れると対仏を強力にアシストできるが、ここにスムーズに行く初手行軍はウェスタン・レパントというリスキーな行軍のみ。Wesは対仏で入りやすいが、どちらかと言うと対仏攻撃よりも英海軍をMidに誘導するための拠点として機能する。NAfは、西側と戦争する際に、Midにアクセスできる場所として使うことがある。あまり陸路としては利用されにくい。

 

3.各国との関係

英…対仏で協力できるが、その後Midを巡る海戦となりやすい。完遂前ならPorを渡さずにいられると考えればMidの取得はしやすくなる。また、英が拡大するのを独仏露で止められなくなった場合、止める役目になるのも伊になる。北欧を伊の対称国である露と奪い合いになりやすいが、北欧に陸軍を輸送されなければ露の南軍は生き残りやすい。英露関係も含めて、中々一筋縄ではいかない外交相手となる。

仏…露が仲介する事で仲良くできる相手ではあるが、親仏で動いたとしても特に情報共有以外で協力できる事は少ない。むしろ成長競争となり、軍に余裕が出来た方がもう片方に攻め込むという展開になりがち。対仏については、伊の対仏は特に一国では攻め込みづらく、英独の協力無くしては進まない。対仏をやると決めたらちゃんと、特に海軍を用いて攻め込まないと成就しづらいが、そこまですると今度は露の南軍が厳しくなる。対仏はよくよく考えて選択したい。

独…西欧での対称国と呼べる立ち位置。陸海分業も頼もしい。伊が対仏時は結構譲歩を要求できる相手であるが、東欧攻略時は情報共有に留まる。ただし、独の所持する東欧の情報量は非常に多く、独にとって伊が好ましい動き方(対仏・対墺・対土など)でないと良い情報をくれない事も多い。友好的なら、本来得づらい土や墺の情報が得られるなどメリットが大きい。スイスのおかげでお互い攻め込みづらいので仲が悪くはなりづらいが、悪くなるならなるでちゃんと他国からの情報収集ルートを確立しておきたい。対仏にせよ対墺・対土にせよ、陸路からの対露は控えてもらうよう気をつけておこう。

露…東欧の対称国で、独よりも頼り頼られる相手である。攻撃力の低い伊にとって、露の南軍が生き残るかどうかは、伊が東欧に侵攻できるかに非常に大きく関わる。その点と、露の北軍が仏の対称国となる事が合わさって、仏伊戦争を嫌うが、どこかで対仏はしないといけない事を覚えておこう。仏の初手からの対伊は滅多に無いが、逆は大いにあることから、対称国でありながら初年度から全ての情報が露伊間ではやりとりされないことを念頭に置いて外交を進めよう。

墺…本土が隣接するため非常にシビアな外交が展開される。ただし初年度に墺側から伊に手出しする事は難しい。防衛のための攻撃はたまにあるので驚かないように。この本土隣接問題を解決し同盟するための方策が幾つも考えられてきた。独を仲介役とする中央国三国同盟、Ven・Triの空白化、南から対土で陸軍を輸送するレパント(伊)、伊の陸軍を初年度にSerまで押し出すキーレパント(伊墺)、さらにその派生で初年度Tunを取らない対土強襲キーレパント(伊墺)(Nap-Ion-Aeg)…と言った具合である。成長速度としては墺が勝つので、放置し過ぎれば攻め込まれ得る。そのため墺の成長前に攻め込みたいところだが、序盤の対墺は独土がそれを許すかどうかが難しい。一度同盟を組んでも、ずっと粘り強く外交をし続けなければ、同盟を維持できない難しい関係となる。

土…伊を第2の海軍国とするなら、第3の海軍国は土である。Aeg(とEas)を領海とする土は、海軍で成長されると敵対せざるを得ない。土が親露でも親墺でも、墺露どちらも陸軍国なので放置すると海軍を生産されやすい。伊土友好時は地中海側の海軍は1隻までに抑えてもらう必要がある。2隻目を許すと、Ionの大きさが邪魔をして攻め込めず一方的な防衛となりやすい(Greに2隻目の海軍を持ってきてようやく戦力2、土側はAeg・Wes・Bluの3隻まで並べられる)。露の南軍が落ちて墺がTriに2隻目を建造するなどのやむを得ない事情がない限り、あまり大きくなって欲しくない相手となる。対仏時も、土の動き、特に増設については常に気にかけておきたい。

 

4.初手戦術

ある程度は頻度順に記載

レパント

Rom-Apu、Nap-Ion、Venは自由(HやTus、Pieなど)

01秋:Apu-Tun、Ion C Apu-Tun

01増設:Nap海軍

02春:Ion-Wes(or Aeg)、Tun H、Nap-Ion

02秋(02春Ion-Wes時):Tun-Syr、Ion C Tun-Syr、Wes C Tun-Syr(or -Smy)

対土のための行軍として開発されたが、01秋の動きで対仏転換も可能(その場合Ion-Tun、元Ven軍はPie以西に進軍)であるので自由度も低くないため、初手としては選びやすい。対墺にはあまり向かない。対土続行の場合は、Aegを睨みながら(土の海軍と読み合いにもなるが)Wesを奪って土の背後であるSyr(あるいは直接Smy本土)への輸送を実現させる。輸送で海軍がIonから1ターン動かない事がミソで、余りがちな陸軍を有効活用する思想から、この行軍が実現している。対土としてはとても早く有効なのだが、02年は成長できないので、成長速度が早い訳ではない。その時間がもたらす欧州の状況の変化が、あまりレパントの完遂をさせない要素となっている。アレンジとしてVen軍をTri経由で墺領を通過させる(通常、墺の了承が必要)のをキーレパントと呼び、さらにその際墺領で得られる1増設があることから、秋にTunを取得せずIon-Aegとする手もある。この場合、墺は代償として墺の対露の許可を伊に要求するため、その覚悟が必要である。

②チロル・アタック

Ven-Tyr、Rom-Ven、Nap-Ion

中央三国同盟で不可侵とされるTyrに初手から突っ込む事で、Triに2軍で攻め込む姿勢を見せる。墺のサザンヘッジホッグ(Tri-Ven、Bud-Ser、Vie-Gal)や、余裕によっては独のMun-Tyrなどで防がれる事もある。直接的な対墺の1手であるが、これ以外に初手Ven-Triもアリ(スタブレパントと呼ばれる)。墺の滅亡が早いのとMunに隣接するので独に嫌われやすいため、その点は注意。ここからさらなる対墺としてボヘミアンクラッシャー(Tyr-Boh、Ven-Tyr、Ion-Tun、Ven陸軍増設)への派生があるが、土に地中海での海軍数で負けないように注意が必要。また対仏への派生として秋の祭典(ミュンヘンギャンビット(伊が独領Munを借りる)の派生)がある。01秋Ven-Pie、Tyr-Mun、Ion-Tunとし、Nap海軍と、Rom海軍かVen陸軍(墺の信用度などにより変化)を増設する。ここからさらに02春Tun-Wes、Mun-Bur、Pie-Mar(SO)、独Ruh S Mun-Bur、英Bel S Mun-BurとしてBurに伊陸軍を進軍させる事で、Marを伊独力の2〜3軍にて攻撃できるようになる。Mar取得が確約された時点でMunを独に返却するので、増設には良く良く注意が必要。支援カットされやすいBur軍が伊軍であることにより、Marを伊領とするためにBurから支援ではなくBur-Marと移動すれば良いため、比較的スムーズに対仏できる。独の負担はかかるが伊としては有力な一手。

③アルプスのチキン

Ven-Pie、Rom-Ven、Nap-Ion

対墺対仏どちらか分からない、中途半端と言われる初手のため、チキンの名がついている。Tunは取りに行くが、Pieを攻めでもTyrに2軍で攻め込める…という状態になる。レパントではないため対土にはなりにくい。対墺防衛でも機能する。

ウェスタン・レパント

Ven-Pie、Rom-Tus、Nap-Tys

01秋:Tus-Tun、Tys C Tus-Tun、Pieは自由(通常、Pie-Mar)

01増設:Nap海軍

02春:Nap-TysTys-GoL、Tun Hなど

全力の対仏行軍。Tunを取得しながら02春にGoLに到達できるのが魅力。自動的にVenが空いてしまうため、墺側がバルカンギャンビット選択など伊に向かう気が全くない場合などに選択できる。またIonも比較的無防備になってしまうので、墺土戦争とは言わずとも露土墺の駆け引きで墺土間は同盟ではなく泥沼…くらいの状況は必要。攻め込めるチャンスがあれば早めにTun陸軍を仏領に輸送し、危険を感じるならこの場合も早めに本土防衛に戻す必要がある。

 

5.増設方針

初年度の1増設は、攻防一体のNap海軍が推奨される。それ以降の増設は、墺領や仏領に陸軍でなだれ込める状況や、土領へ輸送できる状況なら陸軍を選択しよう。他は海軍が良い。東欧には、海軍で維持しやすい拠点(伊領Nap・Rom・Tun、Gre、土本土(Smy・Ank・Con)程度)のうち空白補給地が驚くほど少ないので、序盤は海軍の方が大切ながらも、動かしづらい陸軍も運用せざるを得ない。仏領であるイベリア半島(Spa、Por)も西欧ながら海軍で維持しやすい拠点であるため、伊にとっては垂涎ものであるが、取得のし辛さとそこを攻撃中に放置されやすい対称国の露の南軍の事を忘れてはならない。

伊の場合は基本的には、割合というよりも取得した拠点を維持できるように増設を考えていく。

 

6.将来展望

東欧と西欧の間のような立ち位置で、どちらも攻撃できるがとにかく移動に苦労する。またTun以外の拠点も取得後安定しづらく、維持に軍を割くため国力が増えても攻撃力がさほど上がらない。防衛も考えると攻撃に使えるのは最大3軍、少ないと2軍どころか1軍のケースもある。

攻撃力が低いのに攻められては全くもって成長できない上、多少の成長では押し返されるので、墺土同盟で攻めてくる土や、初手たまに攻めてくる墺、成長すると攻めてくる仏の攻勢は外交戦略で回避しよう。例えば、言葉尻を捉えられるなどで、こちらが「攻めたい」と思っている気持ちを悟られて先に反撃されてはならない。伊の成長後も、伊よりも攻めねばならない国を残しておくなどの策が必要となる。

成長のためには、もちろん同盟国が必要で、西欧なら独(次点で英)、東欧なら露の南軍を頼りとする。特にどちらかと言うと東欧なので露の南軍が潰されないようにしたい。あるいは、対仏して中途半端に信用を失ってジャガーノート継続に持ち込まれる、または英独同盟から独の裏切り無しで英に地中海まで南下されるのも負けパターンとなるので、望みの枠組みを作れたからといって油断しないこと。基本自由に動けるが、常に同盟国を持たねばならない意識が重要になる。同盟するにはその状況だけではなく、中長期的な視点で信用できるかどうかも問われやすい。軍を動かすのに時間がかかるのなら、尚のこと先を考えて動くように気を配ろう。

 

7.その他

伊の外交は特殊で、交渉カードは「どこに攻めるか」というもの。拠点を渡すかどうか、とある地点を空白化するか、何を増設するかなどではないのが特徴的。そのため他国も外交時は「枠組み」での交渉となりやすい。一味違うディプロマシーを体感できるが、この点はあまり初心者向けとは言えないだろう。

各国解説③ドイツ

各国解説も3カ国目です。西欧最後の国となりますね。

 

1.概要

ディプロマシー地図上、北よりの中央に位置し、土以外の5カ国と隣接する中央国。中央国であることから、比較的陸軍が多いと動かしやすいが、陸軍では英を相手しきれない。また仏との国境も陸軍のみでは独優位ながら、スイスに阻まれ膠着しやすい。さらに弱点を海域に多く持つことも重なって、海軍はどうしてもそれなりに必要となる。

本国拠点付近に隣接した多くの空白補給地(北欧Den・Swe・Nwy、低地諸国Hol・Bel)から得られる序盤の成長スピードと、中央から増設されることで各地へのアクセスが近いこと、攻め込むのに向いた地形であること(比較的マスが細かい)、さらに外交面でも中央国=盤面端を持たない防御力の低さを交渉に活かすことが可能であり、序盤の有利を取りやすいことから非常にスピーディーな拡大が持ち味となる。中央国のため外交量も必然的に増えるので、ディプロマシー(外交)そのものを堪能できる国家だと言える。

 

2.周辺地域(重要度順)

オランダ(Hol:独)、デンマーク(Den:独)…独の第4、5補給地として安定する2拠点。この2拠点では無くても良いが、初年度2増設無ければ独にとっては非常に辛い展開となることを覚悟しよう。序盤にどちらを海軍で取るかで展開は大きく変わる。Hol側に海軍を向かわせれば対英寄り、Den側に向かわせれば対露寄りになる。

ベルギー(Bel:英独仏)、ルール(Ruh:独)、ブルゴーニュ(Bur:仏独)…対仏前線。Belをどの国が取得するかは不明だが、親仏ならばMunを含め上手く交渉してしっかり線引きをし、良好な関係を築きたい。

北海(Nth:英)、ヘルゴランド湾(Hel:独)…英との境目。Belを含む多くの独領に接しており、動向の見逃せない海域。ここに他国の軍がいると、綺麗に守りきるには相当の軍の数が必要となる。対英の際はここを抑えるのが攻防ともに重要となる。親英の場合でもHelは絶対に、Nthはなるべく空白化交渉を通したい。

バルト海(Bal:独露)、スウェーデン(Swe:露)、スカゲラク(Ska:英独露)…独北東の海域。基本的には露と接する。Balは独領3拠点+Sweに隣接しており、独の弱点となっている。侵入を許したくはないが、あまりここに軍が割けないことが多い。露と組むのならば、Skaを利用して露海軍を英に押し出していく。逆に押し込まれる場合の尖兵となるのもSka。初期に北欧を制圧するので無ければ、この辺りは出来るだけ外交で押さえ込んで行きたい。

チロル(Tyr:墺伊独)、ボヘミア(Boh:独墺)、シレジア(Sil:独露)、プロシア(Pru:独露)…独の背後にあたる空白地帯。東欧に手を出すならば使うこともあるが、あまり序盤に進むことは多くない。ジャガーノート(露土同盟・対墺速攻)が見えているなどで、かつどうしても独の行軍で抑え込まねばならないなら、手を出す選択肢が出てくるだろう。Silに露が入って来る可能性はゼロでは無いので一応気をつけよう。Tyrは三国同盟で少なくとも表面上は空白化合意されやすいが、ミュンヘンギャンビット(伊独対仏同盟)などで利用することもあるにはある。

 

3.各国との関係

英:陸海分業によって同盟が比較的組みやすい。しかし一度海軍を揃えられてしまうと崩すのが難しくなる。崩そうとするとBal防衛・Swe進軍にかこつけた海軍の増設や、Nth空白化交渉からの奇襲などの搦め手がどうしても必要になる。本土攻撃するには遠く攻めづらい上に、Nth奪取すると軍数としては楽になるが英からはNthの再三返却要求が来るだろう。攻めるなら一気に攻めるか、Nthの地盤を固める工夫が必要になる。

仏:対英で組める相手だが、その場合余った陸軍をBurに干渉しないようにする必要が出てくる。英を滅ぼす場合、その後北欧を取るにも仏を攻めるにも海戦になるので、仏露の裏切りを考慮しない分には海軍は半々弱くらい作ってもあまり問題にならない。対仏の場合はBurを中心に攻めていくが、独が3陸軍、仏が2陸軍の前線となり陸路では有利が取れる。

伊:近隣国ながら、移動ルートがTyrしかなく、また伊が海軍重視になりやすいため戦争になりづらく、大体の場合友好的でいられる。対仏で組む事が可能だが、伊仏関係は海路距離が遠いため、伊は初手はどちらかと言えば東欧戦線に参加しがちとなる。伊がどこを狙うかによって、西欧・東欧のバランスが大きく変化することから、西欧ながら仲の良い独との関係は欧州全体に波及する問題となる。始めの中央三国同盟でTyrを空ける交渉から、欧州全体を意識して外交するべき相手である。

露:対英以外では直接的な外交が難しい相手であるが、隣接国である事を気にかけなければならない。基本的にSweでSOする権限を独が持つので、独優位で話が進む。やりすぎは厳禁だが、露独の緩衝地帯(Pru、Sil)の不可侵は最低限として、その他自身の路線で色々注文をつけておこう。露側が「現実的」と考えてくれるラインなら、Sweと引き換えられると思って(引き渡すとは言っていない)受け入れてくれるだろう。序盤以降は、拡大させ過ぎに注意しながら北欧の戦力を利用できると良い。

墺:最もコントロールが難しい相手。独と同様の外交の手広さを持っており、また背を預ける相手とも取れる。GSL突破を考えれば、いずれは侵攻する国どうしではあるが、序盤に速攻で潰されるのは中央国不利や東欧有利を作るために良くもない。親交の良い伊土やSweの権利で優位な露を使って、戦力コントロールを仕掛けるのが良いだろう。場合にも寄るが、ずっと背を預け合うつもりでやっていくのもアリではある。その場合は、Munを奪われないようにだけ注意しておこう。

土:独にとって唯一の隣接しない国家であり対称国。当然外交はやりやすく、最も気楽に外交できる相手になる。ただし状況悪化するとジャガーノート(露土同盟・対墺速攻)を選択され、こうなると独も東に軍を割く必要が出てくる。独に良い外交を選択してくれる事が多いので、長期的に同盟を考えるなら「独よりもゆっくりと」成長させるのが良い。独の盤面状況の見やすさを利用して上手く活用していく。

 

4.初手戦術

ある程度は頻度順に記載

①ブリッツ・クリーグ

Ber-Kie、Mun-Ruh、Kie-Den or Hol

DenバリエーションとHolバリエーションがある。Denバリエーションは、独領内でDenとHolの確保を目指しつつ態勢を整える最も堅実な手で、ほぼどこにも敵対姿勢を見せる事が無い。外交との噛み合わせにもよるが大抵の状況に対応でき、かつ2増も難しく無いというかなり万能な一手であるが、どこにでも行ける分、逆にいえばどこに行くか分からないということ。行軍で姿勢を見せるのには向いていない。最大3増まで可能。Holバリエーションは対英寄りのバリエーションで、Belを2軍で狙いつつNthに睨みを利かせられる。ただしSwe SOの権利を失うので、露には友好的な増設をしてもらう必要がある。

ブルゴーニュ・アタック

Mun-Bur、Ber-Kie、Kie-Den or Hol

読んで字の如く、対仏用に陸軍を動かす…のだが、合意SOの場合はその限りではない。Kie軍は、ブリッツ・クリーグ同様Swe SOの権利を失わないKie-Denか、対英寄りのHol行きになる。

③ラインランドオープニング

Kie-Den、Ber-Mun、Mun-Ruh (or Bur)

Holでの1増を捨てて対仏前線を構築するオープニング。Mun-Ruhならば、仏のマジノオープニングにも対抗でき、仏がSpaの取得を優先するならBurに侵攻できる(仏がBur侵入した場合、撤退でのBel占領を防ぐためBelは英領にして貰う必要があるが)。スチームローラー(英仏同盟)などが懸念される場合に選択する事がある。

④バルバロッサ

Ber-Pur、Mun-Sil、Kie-Den or Bal

強烈な対露オープニング。バルバロッサは通常Balに行くが、Denに行く方が安定するためそちらで記載している。英相手もそうだが特に仏に対し背後がガラ空きになる上、2増設も確約されない。墺土(英)と連係してWarを初年度で独領とし、対露速攻を完遂させるための行軍。実現にはかなりの外交手腕が問われるだろう。

ボヘミアン・ラプソディー

Kie-Hel、Ber-Pur、Mun-Boh

墺露英に向けて軍を進めるネタ行軍。HolかDenで一増しやすいが、何よりも信用を失うのは中央国では致命的と言える。

 

5.増設方針

対仏ならMun陸軍が優先されるが、Munは埋まっている事も多く、陸軍であれば親英という意味ではそこまで問題にはならない。しかし後程の対英を考えるなら、最低でも2海軍にはしておく必要がある。その事を把握している英なら、交渉条件に海軍増設をBerにすること、増設は1海軍までとすることなどが条件に含まれる(でなければ、独が組んでくれないから)。言い訳には北欧とBalの制圧が挙げられやすい。

対英時はKieへの海軍増設が主になる。しかし陸軍が無ければ仏露挟撃には耐えられないので、陸軍は最低でも3は用意、できれば4にしておきたい。ただしNthに海軍がいると、何かと使い勝手がいいので対英後にも海軍数は必要となる。陸軍の方が海軍より少なくならなければおおよそ問題ない。

 

6.将来展望

東西GSLに接しているため、越えるのは容易…ではなく、逆にMun・Ber辺りが狙われやすいことに注意が必要。西欧から取りやすい東部GSL内部の拠点はTunであるので、独が東西GSLを維持するのは難しいだろう。取るならVieやVenなどよりもWar&Mos辺りが取りやすいだろうか。

序盤はとにかく拡大をする、というプレイイングも可能だが、まずは独は外交の目を磨こう。独は土>伊>墺の順で東欧に仲の良い国が多い。そのためその中で各国が盤面をどうしたがっていて、どことどう組みたいかという情報が最も集まるので、独が育つ盤面になるよう必要なところに情報を流して反目させたり、友好関係を後押ししたりし、また想定される東欧の状況と併せて英仏露の中で組む相手を決めて行く。露とのSwe SOの権利も含めて、外交カードが多いので上手く切っていこう。そうして、最終的に望む形で成長できるよう手を回していく。

同盟では、対仏包囲(英独伊)、英独同盟、独仏露同盟(アシカ作戦)、独仏同盟(アシカの日)が主体となる。他、対露速攻や対墺も選択肢としてあるが、かなり選択されにくい。中央国である以上、同盟できたとしても、同盟完遂後の挟撃や反撃不能な膠着状態を作り出さないよう立ち回っていく必要があり気が抜けない。

対仏包囲(英独伊)…伊を西進させるには、東欧の対土包囲が要求されるケースなど、伊の要求をある程度飲む必要があるケースも多い。しかも、独の取り分はBel、Parの2拠点となり、完遂後北欧のSweを加味せず7拠点、英伊はStpが露領なら6拠点ずつであり、あまり間の国としての有利が無いように見える。しかしこの同盟のメリットは、英伊がどちらも海軍国となるため、その陸海分業を続けながら英伊どちらにつくかを決める権利を独が持てるところにある。もちろん、英伊が大西洋と地中海で住み分けしないよう外交のコントロールは必要になる。

英独同盟…仏露挟撃に対応する同盟。完遂後、英海軍に対抗する手立てが必要なのがネック。英が海軍での成長を望み、そのまま対伊に向かうか、陸軍を露領に送り込んでそのまま南下を狙うならずっと組むことは一応可能である。しかし英独どちらかが西欧の覇権を望むなら、反撃の手段を用意しておかねばならない。手始めはNthの取り扱いであり、Nth空白化を要求する必要がある。Nthを握られている以上は独領の防衛に多くの軍を割かねばならないので、対仏・対露へのスピードアップに軍の必要性を説くなどしてNth空白化を達成させ、Nthを狙いながら英本土以外の拠点を奪い取り海軍数で上回ろう。もちろん、伊露が生きているなら利用するのも○。

独仏露同盟(アシカ作戦)…速攻を選択した場合は「アシカ作戦」と呼ぶ。仏Bre-Eng、独Kie-Hol(Denでも不可能ではない、その方が奇襲味は増す)、露Stpシステム(Mos-Stp)から、秋にEngの支援でHol-Nthと奪う。撤退させた英Nthが空白補給地に入れないようにしておく必要もある。Nthを奪うと英と和解はかなり難しくなるので、Nth奪取後は完遂を目指すと良いと思われる。拠点の振り分けは、個人的に独Bel、Swe、Lonをオススメしておく。露がNwy、Edi、仏がLvpとなり、露の北軍3、仏6、独8となる。仏のLvp取得が早い場合には仏の対独反転による同盟瓦解の危険が出てくるので、外交による進捗管理をしっかりと。露にEdiを取得させるのは、Edi取得を目標とさせ時間をかけさせる事で、対英協調を続け露仏の対独挟撃を遅らせる狙いである。そのためにも、一時Swe露領としてからNwyに海軍を押し出すことをオススメする。露が北欧に興味が薄いなら、Edi仏領でも構わない。

独仏同盟(アシカの日)…速攻に露が参加しない場合を

アシカの日と呼ぶ。ただし同盟関係的にも領土権的にも独仏露同盟と大きくは変わらない。信用が高く問題ないと思える場合には、独仏同盟を続行して対露や対墺する場合もありうる。

 

7.その他

…こだわりのため多少多く書いたが、各国の情報を収集し、その中で理想とする盤面を決め、それに向かって各国を動かしていくという基本が最も求められるのが独と言える。中でも、各国を動かす力は高いので、それを有効に活用するように。他国からもそれを「各国に望ましいように」求められるので、そこを上手く時には受け止め、時にはかわし、時には反抗していくと良いだろう。

尚、ネタ行軍として「ケーニヒグレーツの幻想」というのもあるが、ここでは紹介しない。

各国解説②フランス

続いてはフランスです。苦手国家を説明できるか!?…まあ理論は知っているつもりですけども。あくまで“つもり”ですが。

 

1.概要

ユーラシア大陸の西側、ディプロマシーにおいては西端に位置する国家。攻防バランスが良いが、その本領はイベリア半島を制してからになる。

陸軍と海軍がちょうど半々くらい必要になる。その理由は、陸にも海にも重要地点を持ち、また攻めにもどちらか一方では難しいためである。ただし当然ながら、組み方次第で割合は変えていく。露を除き、腹の内は仏の意思に反したことを考えている国が多いのが欠点。通常、隣接国とは組んだり戦ったりできるものだが、伊だけは戦うことはあっても、スイスが邪魔で中々協力…支援ができない。そんなこんなで、親仏国家を見つけるのに比較的難儀しやすい国となっている。幸い行軍のポテンシャルが高い国なので、行軍で外交をカバーできると良い。


2.周辺地域(重要度順)

ポルトガル(Por:仏)、スペイン(Spa:仏)…仏の初年度獲得補給地の主力候補地。Porは特殊な地形になっており、隣接するのがSpaとMAtしかない。Porに軍がいるととても取りづらく、Porからの支援はカットもしづらいので、早期取得しておきたい。SpaはMarに隣接しており、BurやPieで初手合意SOしても取得しやすい。伊とはTunからWes経由で1年で到達してしまうので、伊が対仏の際は狙われやすい。

ベルギー(Bel:英独仏)…3国で誰が取得するかの駆け引きが行われる地域であり、仏としてはまずここにアクセスできる地点に行くかどうかから駆け引きが始まる。3国ともエサと捉え不要と答えたり、3国とも欲しいと言ったりする、そんな拠点。Spa・Marのうちどちらかしかとれない移動を考えるなら、交渉次第でもらえることもある。

ブルゴーニュ(Bur:仏独)、ピカルディ(Pic:仏)…Burは本土2拠点に隣接するため、仏領と言って差し支えないが、独もMunが接するため同盟では仏陸軍の退去と空白化を要求されがち。幸い同盟時はまずは英を狙うので、陸軍は余りやすく、その余剰陸軍で合意SOを繰り返してもそれほど痛手にはならない。本当に不可侵を結ぶなら、MunやRuhも空白化してほしいところ。独仏の前線は、仏陸軍2に対し独陸軍3並ぶため注意が必要となる。

中大西洋(MAt:仏)…仏の領海。はっきりと領海と呼べるのはここだけであり、しかも本土は1拠点(Bre)しか隣接していないが、仏の力の源であるイベリア半島の両拠点(Spa、Por)にも隣接しているのが大きい。ここから北に3箇所、南に2箇所侵攻することができ、これは仏の強さ…攻めやすく守りやすい地形に繋がっている。特に北側へは、IriまたはNAt経由でLvpに1年で行け、またEngへの支援も可能と出来ることが多い。

ガスコーニュ(Gas:仏)…仏の庭であり、何とPorを除く仏領4箇所に隣接する。ここに陸軍に入られた場合、非常に苦しい戦いを強いられる。読み合いではあるが、Burからの侵入(撤退含む)やMAtからの輸送には注意。

イギリス海峡(Eng:英仏)…英仏の仲を悪くする一因であり、またどちらにとっても陸軍の輸送ルートとなる。初手でここに入るには陸軍で2拠点取れる工夫が欲しくなる。ここに初手で入るのならば、Spa・Porを取るイベリアンギャンビットで2増となるが、独の理解が得られるならSpaよりもBelを優先した方が、前線の軍を残しやすくて良いかもしれない。

ピエモンテ(Pie:伊仏)、リヨン湾(GoL:仏伊)、西地中海(Wes:伊仏)、北アフリカ(NAf:伊仏)…初年度から、仏伊間で不可侵が結ばれる地点。数の多さで分かるが、仏伊戦争は空白地が多く距離もあるため、時間がかかりやすい。不可侵とは言っても仏伊には結構な差がある。序盤は伊の方が攻めやすく、しかし地形的には仏の方が優勢になりやすい。GoLはどちらかというと仏の領海、PieとNAfは伊寄りの土地で、Wesはほぼ中立となる。パワーバランスを考慮しながら交渉したい。


3.各国との関係

英:常に背後を狙い合う間柄。しかし地理的なパワーバランスはこちらに利があり、MAtの所持だけで英の背後を脅かす事が出来る。Engもあるため外交には多少の配慮が必要となる。同盟するにせよしないにせよ、露と北欧を奪い合う事が多いので、対露を認めるスチームローラーやEFGの時を除きうまく英の対露欲求を抑えていきたい。対独親英は、マジノオープニングで示しやすいのは一つのメリット。

独:Burを挟んで陸軍で衝突しやすい。アシカ作戦など対英時には、お互い陸軍が余るためしっかり線引き(合意SOや不可侵)しないといけない。初手自体にはマジノオープニングやBur自己SOなど2軍で接しているので、仏に利がある…と言うよりは、焦点になるのが仏領のBurなので防衛しないと厳しい。しかし、初手対英親独しつつ2増するイベリアンギャンビットは裏切りがとても怖い。露の協力の有無にかかわらず、同盟時には慎重さが必要。尚、長期同盟は露が弱った時に次善の策として考えておくと良い。

伊:GSLを挟んで睨み合う相手。お互いに東西GSLの越えた先で取る拠点の候補地となっており、しかも移動不可のスイスを挟むせいで侵攻の協力も出来ない。成長するまでの序盤は仏から手を出すのは厳しいので、間に空白地帯が多い事を活かした外交で不可侵として行きたい。特に露の協力が重要となるが、英独に対仏選択させない…少なくとも、迷わせて対仏同盟を阻みたい。直接対決なら、地理的優位で勝ちやすい。

露:仏にとって頼り頼られる相手でありパートナー。北軍は対称国として、軍の数は少ないながらも英独の挟撃ができるし、英独が仏露のどちらかを攻めるなら背後から抑えに行ける。南軍は伊を東欧攻めの同盟に組み込んでくれる=伊仏不可侵に協力してくれる。また、もし露がジャガーノート(露土長期同盟・対墺速攻)を選択するにしても伊は結果的に東に向きやすいし、仏はフリーになるのでメリットが大きい。基本は露に益があるように外交していく。ただし、仏のスチームローラーやEFG(西欧三国同盟)時は別で英に対露を許すので、やる時はバレないように注意。

墺:露とぶつかりやすい陸軍国。対伊は協力できるが、どちらかというと伊の矛先を押し付け合うだけであまり挟撃にならない。上手いこと露を拡大させ、伊をこっちに来ないように誘導したいが、中々思惑が噛み合わず難しいところ。

土:墺と同じく、遠方国ながらそこまで仲が良くもない。海軍国であるため、墺よりは対伊してくれる事が多い。ただしそれが墺土同盟だと露が墺に襲われる。対伊完遂後、仏に来る事が多いのでそれも注意が必要。そこまで来たら仏が土を抑えるしかない。


4.初手戦術

戦術名が無いものもある。ある程度は頻度順に記載。仏は非常にパターンが多いため、なるべく主要(と思われる)ものを記載。これを軸に臨機応変にいじると良いと思われる。

①アトランティック・オープニング

Bre-MAt

MAtに海軍で進出するオープニング。様々なバリエーションに派生する。親英よりで2増が比較的安定するオープニング群。

①-1 ブルゴーニュ・オープニング

Bre-MAt、Par-Bur、Mar-Spa

独とのBur合意SOで行なったり、不可侵でも英のご機嫌取りで行う場合がある。最大3拠点取得できるが、序盤の脅威となるためあまりオススメできない。英独のBel取得に支援を出すことも可能だが、独にはPic進出の方が喜ばれるだろう。

①-2 マジノ・オープニング

Bre-MAt、Par-Bur、Mar S Par-Bur

重要地点であるBurに、無理矢理にでも進出するオープニング。独に対する強烈なオープニングであるが、初年度の交渉と増設次第で和解も不可能ではない。不可侵よりも合意SOの方が、心象は悪くなるだろう。

①-3 イベリアン・ギャンビット

Bre-MAt、Par-Gas、Mar-Spa

3軍ともが西へ向かう。独伊の牽制が無ければ、2陸軍でイベリア半島(Spa、Por)を取得できる。MAt海軍は秋にどこへ動かしても良いが、対英なら春からEngでも良いだろう。親独しつつ対英、対伊もあり得る手だが、Bur、Pie、Eng全て防御できないため、防御力は低い。ギャンビットの名に恥じないギャンブル手。

①-4 リスボンのかえる跳び

1901春 Bre-MAt、Par-Gas、Mar-Bur(SO)

1901秋 Mat C Gas-Por、Gas-Por、Mar-Spa

イベリアン・ギャンビットと同じく2陸軍でイベリア半島を取得する。独とBurでの合意SOにより春に独のBur侵入を避けることができ、かつ海軍のロスはPorに行く2手よりも輸送の1手で抑えることができる。扱いやすい防御手だが、独側がわざと合意SOをスカす「かえる釣り」と呼ばれる手もあるので注意が必要となる。

①-5 Bur自己SO

Bre-MAt、Par-Bur、Mar-Bur

名称が検索しても出てこない初手。英独どちらにも喧嘩を売らないでBurを守る。2拠点を取得しながら様子見という点ではリスボンのかえる跳びに近い。

①-6 ピカルディ・オープニング

Bre-MAt、Par-Pic、Mar-Spa

Belに対し圧力をかけながらイベリア半島を取りに行く。Engに入られても2増が見込める、対英防御の構え。対英攻撃ならBre-Engとなる。

①-7 ベルジアン・ギャンビット

Bre-MAt、Par-Pic、Mar-Bur

ピカルディ・オープニングとは打って変わって強烈な対独オープニングとなる。英に対する罠の意味でなければBurは不可侵で交渉する。英とスチームローラー(SR)で合意しているならば、Belはもらえるかもしれない。

②マンシュ・オープニング

Bre-Engを含む対英オープニング群。マンシュは英仏海峡の仏語名だとか。独(および露)と組むことでアシカ作戦(アシカの日)と呼ばれる、対英包囲となる。Engに出るためにもEngは不可侵で合意し、英の裏をかくようにする。(あるいは、特殊な合意条件を持ちかける等)

②-1 対英攻撃

Bre-Eng、Par-Pic、Mar-Spa

Picからの輸送を匂わせつつ、実際に輸送したりBelを取りに行ったりする、強烈な対英の初手。MarはホールドやBur又はPie合意SOに使っても問題ない。

②-2 対英防御

Bre-Eng、Par-Gas、Mar-Spa

ある程度SO前提でEngに進出し、イベリア半島は陸軍で取得する。イベリアン・ギャンビットの亜種。アシカにももちろん使える。伊独が親仏なら2増が確定する。

③ピエモントシステム

Mar-Pieを含むオープニングを指す。基本的に合意SOで選択するが、初手対伊の場合もこうなる。春にBre-MAtとして秋にMAt-Wesは流石にしないと思うが…。

ボジョレー・ヌーボー

Bre-Gas、Par-Gas、Mar-Gas

英の初手ヨークシャープディングの亜種だが、仏はこれでも初年度1増できる可能性がある。そのためネタ度が薄いという意味でヨークシャープディングには負けている。

 

5.増設方針

陸海のバランスが偏らないようにするのが基本。そうすることで高い防御力を得られる。初年度2増設を得られたならば、対独で2陸軍、対英でBre海軍、対伊でMar海軍の増設となり、誰から見ても分かりやすい。しかし、1増で陸軍のみならば分かりづらい。2枚舌のジリジリとした序盤で優位を取ろうと思うなら、2拠点を取得しつつも1増にする選択肢もゼロではない。対英もしくは対伊の場合において、2海軍増設は独に対する防御力が極端に下がることと、軍を回すまでの間に狙っていない方(対英なら伊)に不信感を与えやすく、結果対仏包囲につながりやすいためオススメできない。陸軍が3か4くらいあれば対独防御は安定するので、そこからは海軍の方が多くなることもあるだろう。


6.将来展望

序盤は西欧3国の中で、2対1の2の方に入れば良い。遠方国は、スチームローラー(SR。英仏)やアシカ作戦(独仏露。アシカの日なら独仏)、または西欧三国同盟(EFG。英仏独)からの近隣国長期同盟などの狙いが無ければ、露と仲良くしていけば安定する。

将来を見据えた時に、最も悩ましいのは伊の取り扱いである。まずは共通の味方となりやすい露を利用して、露伊仏同盟を結び伊仏間不可侵を承諾させるのは常套手段である。しかしそれが成立した上で仏が成長した時、いつどのタイミングで対伊をするかは非常に難しい。チュニス(Tun)を取得すれば東西GSLを越えることができるが、当然ながら露伊仏同盟を失う事になり露の協力が得られなくなる可能性も高い。西欧で成長する時間の過ごし方を間違えないようにしたい。

墺土については、親露に誘導しながら情報収集を行い、仏にとっての理想の東欧が出来上がるように微妙な調整…例えば、均衡させるために裏切らせるとか、GSLを引かれないようにある程度拡大させるとか…そういった外交をずっと繰り返していく必要がある。

対英包囲(仏独+露)…序盤から仕掛けるならアシカの日になる。東欧の状況次第では露を誘ってアシカ作戦に持ち込もう。仏の方が独より英に近いため、英本土への侵攻は仏の方が速いことが多い。それは独の方が裏切りやすいことを示しているため、独軍を「待つ」ことが時には必要になる。Belを軍の調整用の拠点とし、Bur周辺をきっちり住み分けしながら対英を行う。仏の取り分はLvp以外はあまり安定しない。その後対独をするつもりがあるなら、海軍で独領となった北海(Nth)を落とすことを常に視野に入れておくこと。

対独包囲(仏英+露)…SRの選択肢もあるが、露の状況を考えながら選択する。露を捨ててもいいまたは捨てざるを得ないならば、SRは有力な選択肢となる。英仏同盟は拠点数に偏りを減らすのが難しく、特に独領に仏側に多く拠点があることからお互いに接触しやすく、こまめに外交して英側の裏切りがないように注意が必要となる。英への裏切りに露を使うなら、海軍力として用いても良いが、その後西欧を制覇するつもりならば北欧の英領を退かさせるくらいで良いだろう。海軍を増やされると後々Nthが脅かされやりづらくなる。

西欧三国同盟(仏英独)…通称がアルファベット3文字でEFGとか他にも言い方がある。西欧の決着があまりにも速い場合(特にジャガーノートがすんなり決まった場合)に、表向きにはGSLを引く名目で組まれる場合がある。この場合仏は対伊となり第6補給拠点の取得が遅れるが、GSL突破の名目にもなる。英独は対露を行い成長が早いことと、英の行き先が無くなってくることから英独を先に半目させれば仏のメリットも十分に出てくるだろう。やるならば長期的な目を持って実行しないと、補給拠点も取れず時間と信用だけを損して同盟が切れる。


7.その他

何かあったら追記

 

フランスはここまでです。次回は独の予定。気長にお待ちください。急かすと筆が進むかも分かりませんが…。